【前編】まるで留学。1年次から、中国語ネイティブの留学生がいる「チャイハウス」で一緒に生活しませんか?!
「チャイハウス※」とは麗澤大学の学生寮「Global Dormitory」の中の1ユニットで、外国語学部中国語・グローバルコミュニケーション専攻の学生と中国語ネイティブの留学生がともに生活し、日常的に中国語や中国語圏の文化に触れることができる空間です。2021年4月から始動し、現在は、中国語・グローバルコミュニケーション専攻の学生3名と中国人留学生2名がチャイハウスで生活しています。前編では「チャイハウスを作った目的は?」「そこでの生活とは?」チャイハウス構想に携わった清水先生と、チャイハウスで生活するメンバー3名にお話を伺いました。
※2022年1月現在、女子学生のみ参加が可能です。
清水先生の過去のインタビュー記事:自分が元気になるために、好きなことをたくさんしましょう!
※取材時、4年次生
(現在の中国語・グローバルコミュニケーション専攻) 2019年入学
※取材時、3年次生
※取材時、1年次生
人生で初めて中国語を学ぶ学生が、留学前に日本で中国語ネイティブの留学生と生活を送るとどうなる!?
―どんな想いでチャイハウスを作られたのでしょうか?
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清水先生:中国や台湾に留学し、中国語漬けの生活を送れば、中国語初級レベルの人であっても、数週間で見違えるように中国語が上達します。多くの人は、語学力をある程度身につけてから留学します。しかし留学を待たずに、初めて中国語に触れる入学時から、隣に中国語ネイティブの留学生がいて、ともに生活する環境があったら一体どうなるのか?実はそんな発想を盛り込み作り上げたのが、麗澤大学の「チャイハウス」です。
教員が教え、導く授業での学びとは異なり、学生同士で楽しみながら毎日を過ごす中でこそ、生まれるもの(価値)があると思います。たとえば、留学生と一緒に生活していれば、今日あったことや感じたことを「今すぐ」相手に伝えたいと思う瞬間がきっとあるはず。そんな時に「伝えたいこの気持ちは、中国語で何と表現するのだろう?」となれば、授業の進捗状況に関わらず、自分で中国語を調べ、すぐ使いますよね。授業でも中国語に四苦八苦する中、プライベートな生活空間でも中国語を毎日話すことは、初めは苦しいと思います。しかし、この空間に身を置くことで「言葉がそこまでわからなくても何とかできる」というタフさが身につくと思いますし、このタフさは、留学先でも必ず活きてきます。そして、ある時突然、中国語がなめらかに頭の中を流れるように聞こえてくる。そんな瞬間を、1年次から体験してほしいのです。
―チャイハウスのメンバー構成について教えてください。
清水先生:2021年度は、コロナ禍の影響で変則的になっておりますが、原則的には、中国語・グローバルコミュニケーション専攻(以下、中国語GC専攻)の1‐2年次生4名、中国語ネイティブの留学生2名の計6名を1つのユニットとして2年間過ごし、3年次から中国語圏へ留学する流れが理想です。
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この「チャイハウス」という環境をどのように活用するかは学生次第。学生の活動を見守り、一緒に楽しみ、かつ、サポートしていくことが私たち教員の役目だと考えています。サポートが必要でなければ、こちらからはあまり手を出さないように...と思っています。とはいえ、日本人学生と留学生がただ生活をともにするだけでは、交流や関係は深まりません。そこで、中国語ネイティブの留学生に協力してもらいながら、メンバーが中国語や中国語圏の文化に触れる機会を作るなど、様々な仕掛けづくりをしています。
中国語ネイティブの留学生の存在とは?自分が話せる中国語で積極的に留学生と交流する
―チャイハウスの生活はどのようなものでしょうか?
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坂本:チャイハウスの中は、リビング、キッチン、シャワールームなどの共有スペースと、各自の部屋(個室)があり、基本的にはそれぞれ自由に生活しています。ここで使う言語は、日本語と中国語の2ヵ国語です。1年次生の尾添さんと3年次生の私とでは中国語の修得レベルが異なりますので、皆、自分が話せる中国語レベルで留学生と交流しています。会話のほかにも掃除当番表を中国語表記にして、常に中国語に触れる機会を増やそうと意識しています。
―留学生とどんな交流をしているのでしょうか?
坂本:私は、留学生とキッチンやリビングで会った時には、授業で学習した中国語を実際に使って会話をするようにしています。先日は新たな取り組みをしてみようと、留学生の孔さんに中国語だけで1~2時間集中してマンツーマンで話す時間を設けてもらい、中国の旅行事情をテーマに話をしてみました。わからない単語や早くて聞き取れないこともありますが、まずは何を言っているのか想像しながら話を聞いて、わからなかったところは確認をしながら会話をしていますよ。
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尾添:私も毎週月曜日は、孔さんと中国語の勉強をする時間を30分ほど、意識的に設けています。授業で学んだ中国語の発音や表現をチェックしてもらったり、テキストにある会話文を孔さんに話してみたり。ほかにも、中国で人気の音楽を教えてもらったり、この間も「キンモクセイは中国語で何というの?」と聞いたり、他愛もないことを中国語でお喋りしています。
―孔さんは「中国語ネイティブの留学生」として、具体的にどんなことをしているのでしょうか?
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孔:メンバーの日本人学生がチャイハウスの中で中国語を話す機会を作ったり、中国語でコミュニケーションを図るための練習相手になったり、その他にも皆で楽しめる交流イベントを企画したりしています。このようなイベントはコロナ禍もあり頻繁にはできませんが、月に1回は皆で餃子づくりや日本の折り紙、お好み焼きパーティーなど、チャイハウスの中で楽しめるイベントを開いてきました。皆で餃子やお好み焼きを作った時には、材料や作り方を中国語で何と言うか教え、お互いの食文化を学びました。一緒にゲームをして盛り上がることもありますし、皆でインテリアショップに出掛けたこともあります。
中国語で家具の名前を教えてあげたり、皆と一緒に食事をしたりと楽しかったです。日常に中国語をプラスして一緒に過ごすだけでも、言語が違うと楽しめるので、出来るだけ取り入れるようにしています。
こうしたイベントとは別に、メンバー全員で取り組んでいる取り組みもあります。日本と中国の歌の歌詞を翻訳して一冊の歌集にまとめようとしており、私が卒業するまでに完成させることが目標です。
中国語を学ぶだけでなく、中国語圏の文化を肌で感じることができる空間
―チャイハウスの生活で成果を感じることはありますか?
尾添:毎週、孔さんにお願いして中国語の発音や会話を練習しているので、最近はその成果を授業でも実感できるようになってきました。イベントや孔さんとの会話で先に覚えた単語が授業で出てきた時には「あ、これ知ってる!」と嬉しくなります。
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坂本:私は、チャイハウスで生活を始めてから中国語がすごく上達したと感じています。3年次になると、中国語の授業は文法の説明や先生とのやりとりもすべて中国語で行われるようになり、初めはほとんど聞き取れませんでした。しかし、チャイハウスで孔さんと普段から会話をしているうちに、先生の話す中国語も自然と頭に入ってくるようになりました。ネイティブスピーカーの中国語が、中国語のまま瞬時に理解できることも増えたと思います。
―チャイハウスの生活で大変だったことはありますか?
坂本:大学での授業が毎日大変な上に、私は、プライベートの時間を過ごすチャイハウスでもできるだけ中国語を話そうと意識をしているので、時々、疲れてしまうこともあります。そんな時は「チャイハウスでは中国語をちょっとお休みしよう」と、自分の中で意識的にバランスを取ることを心がけています。
―チャイハウスに入って良かったことは何ですか?
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孔:私は、中国と日本の架け橋になりたいと思っているので、今こうしてチャイハウスの中でその役割を果たせていることは光栄ですし、毎日が楽しいです。そして、私自身もチャイハウスでの生活は、教えるだけでなく学ぶこともたくさんあります。皆から中国について聞かれた時、私自身でさえもわからないことがあるので、改めて母国のことを調べ、理解を深めています。また、私は中国の北部出身ですが、もう1人の中国からの留学生は南部出身です。同じ中国出身でも北と南では文化や言語が大きく異なるので、彼女から教わることもたくさんあります。
尾添:孔さんが中国の伝統的なお菓子を教えてくれて、皆で食べた時には、中国の文化をとても身近に感じることができました。これは、授業ではなかなかできない体験だったと思います。また、チャイハウスで一緒に頑張っている先輩方は同じ中国語GC専攻なので、どうやって単語を覚えてきたのかなど、勉強の仕方や工夫などを教わりやすい環境であることもありがたいです。
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坂本:何といっても、留学生がいつもすぐそばにいて、私たちが中国語を学ぶ上でわからないことをすぐに聞ける環境があることです。日本にいながらにして、中国語圏の文化を肌で感じることができるのもチャイハウスならでは。イベントや留学生との何気ない会話の中でも、たとえば料理について日本と中国の料理や調理法、食材の違いを知ることができたりして、私自身の世界感が広がります。生活をともにする日本人学生の存在も心強く、中国語の勉強に挫けそうな時には「大変だけど頑張ろう!」といつも励まし合っています。
相手の声に耳を傾け、理解しようとする心こそが本当の語学力。チャイハウスで磨いてほしい
―チャイハウスの様子を見守ってきた先生の感想をお聞かせください
清水先生:チャイハウスを立ち上げた当初は、生活の中に学びを取り入れるというのは思った以上に難しく、日本人学生と留学生の交流の時間が作り出せないなど、上手くいかないこともありました。今は、試行錯誤を重ね、チャイハウスのメンバー全員が中国語で話す機会を自ら作り出し、積極的な交流の場が確実に増えています。大事なのは「自分が、今話せる中国語で相手に何とか伝えようとする気持ち」が、日本人学生に芽生えたこと。それが何よりも素晴らしいですね。また、イベントの参加率も高く、企画してくれている孔さんも他のメンバーも、授業もあり大変なのに本当によく頑張っているなと思っています。
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チャイハウスは、24時間の語学学習塾ではありません。日本人学生と中国語ネイティブの留学生がともに生活をしながら、お互いの異文化に「そんな発想もあったのか!」と目を見開いたり、常識を覆されたり、実際に体験しながらタフさを身につけていける環境だと思っています。また、相手の声にしっかりと耳を傾け、理解しようとする心を育んでいってほしい。それを支えるものこそが本当の語学力であり、麗澤大学の中国語GC専攻が目指すものです。
―チャイハウスの今後の展望についてどのようにお考えでしょうか?
清水先生:日本人学生と留学生との出会いの場、そしてその出会いを通して自分の視野を広げる場として、将来的には留学生のネットワークも活かしながら、中国や台湾はもちろん、アジアやヨーロッパ、世界中にいる中国語ユーザーとつながる拠点にしていきたいですね。
※2022年1月現在の情報です。募集状況など変更になる可能性がございますので、チャイハウスへの入寮をご希望の方は、必ず事前にお問い合わせください。