教職員
2022.02.03|最終更新日:2022.05.26|

【後編】コミュニケーション力を高める近道は、仲間(peer)とともに学び合うこと。「ことば」は人と人とをつなぐ

【後編】コミュニケーション力を高める近道は、仲間(peer)とともに学び合うこと。「ことば」は人と人とをつなぐ

日本語教育の研究者として活躍されている金先生。協働学習(仲間と学び合う学習法)「ピア・ラーニング(Peer Learning)」を教育やビジネスの現場で活用すべく、研究・実践に取り組んでいます。インタビュー後編では、金先生が担当されている授業について伺います。

金 孝卿(KIM, Hyogyung)
国際学部 国際学科 教授
韓国全州市出身。1997年に来日。お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了。博士(人文科学)。2021年4月より現職。朝の日課は、ピアノを15分間弾くこと。好きな作曲家はベートーヴェン。
目次

    あなたなら、外国人の子どもがクラスにいたらどうしますか?

    • 3・4年次生が履修対象の上級科目には「多文化共生社会」、「外国人支援」、「日本語教育・日本語学習支援」などに関する授業があります。たとえば、「多文化共生のメソドロジー上級演習」という授業では、国際結婚や外国人労働者、合理的配慮など、日本社会における多文化共生にまつわるテーマを学生自らが決め、情報を調べ、皆で議論します。学生が、社会的な課題を自分事として真剣にとらえ、「自分はこう思う」と声を上げるところまで主体的に取り組んでいる姿は、とても素晴らしいなと感心します。

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    「外国人児童」をテーマにした時には、一人の学生が「実際に当事者の声を聞いてみよう」と、外国にルーツのある友達に、当時どんな問題を抱えていたか、インタビューをしていました。そして、インタビューした内容をクラス全員に共有し「自分が教師や児童の立場なら、外国人児童にどう対応するか?」と皆に問いかけ、ワークショップを行いました。すると、来日した外国人の子どもたちが日本の学校に慣れることができるように、日本語が理解できなくても楽しめる図工イベントを開催してはどうかなど、素晴らしいアイデアがたくさん出ました。学生には、授業で考えるだけにとどまらず、そのアイデアをぜひとも実現させてほしい。そして社会貢献にもつなげてほしいですね。その時は、私も全力でサポートしたいと思います。

    日本語を学ぶ海外の学生と「ピア・ラーニング」しましょう!

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    • 今後に向けて実践しているのが、海外で日本語を学んでいる学生とつながり、交流する授業です。日本学・国際コミュニケーション(JIC)専攻には、日本語や日本語教育を学ぶ学生も多いです。彼らが将来、生活や職場で、あるいは世界を舞台に、隣人として、仲間として、日本語を学ぶ人や日本語を使って暮らし、働く人たちを支援する上で、日本語学習者が実際どのようなプロセスで学んでいるか、また何のために日本語を学ぶのかを知ることは大事なことです。彼らにとって、きっとこの交流は貴重な機会となるでしょう。

    2021年現在の交流先は、韓国とマレーシアの大学生です。国や地域が異なれば、学習の動機や学習環境も異なりますから、その違いにも触れてもらいたいですね。そして、ただ「交流して楽しかった」で終わらせず、社会に役立つ課題解決策の立案にも一緒に取り組んでもらおうと考えています。お互いことばが上手く通じないかもしれませんが、どのようにコミュニケーションを図ればわかり合えるのかを実践し、相互理解を深めてほしいと思います。これこそが、ピア・ラーニングなのです。

    当たり前ではない、留学生と日本人学生がともに学ぶ環境。その基盤が麗澤大学にはあります

    ある学生がこんな声をきかせてくれました。「麗澤大学は、留学生と日本人学生が一緒に学ぶ機会が多い。これを当たり前に感じていたが、実はそうではないことに気がついた」と。その通りで、留学生と日本人学生がともに学ぶ環境は、留学生がいれば自然に生まれるものではありません。教職員が、学生のために色々工夫して創り出している環境であり、しかも一朝一夕にできるものではなく、基盤があってこそ。この基盤こそが麗澤大学の素晴らしいところです。

    • また先日、こんなことがありました。「私、韓国語をもっと話したいんです。聞いてくれますか?」と、一人の学生が私の研究室を訪れて、それはもう楽しそうに韓国語でお話をしてくれました。そして「韓国語を話している時は、日本語を話している時の私とは違うもう一人の私になれる気がします。韓国語を話していると、新しい自分を発見できるんです」と。この学生にはもうひとつの世界があるんだな、素敵なことだなと感動しました。

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    このように、いつも学生の皆さんには、私が思い浮かばないような考え方や悩みごとなど、気づかされることがたくさんあります。私は、そんな学生の皆さんとともに学びながら、これから一緒に何かを創り上げていくのがとても楽しみです。

    私たちは学生の皆さん一人ひとりに寄り添い、学びの旅に伴走します

    高校生の皆さんは、どんなことに興味や関心を持って大学で学びたいですか?母国の文化と異なる文化に育った人たちと、どのようなことについて話し合い、交流したいですか?
    私たちは、皆さん一人ひとりの興味や関心のあることに寄り添いながら、学びの旅に伴走します。これを読んでくださる高校生の皆さんが、麗澤大学で素敵な発見、学びができますように。

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