卒業生の活躍
2022.03.03|最終更新日:2022.05.26|

【タイで活躍する卒業生】麗澤大学は「なりたい自分」になるきっかけを与えてくれた

【タイで活躍する卒業生】麗澤大学は「なりたい自分」になるきっかけを与えてくれた
阿久津 千尋(旧姓:髙野)
外国語学部 外国語学科 英語コミュニケーション専攻 2018年3月卒業
千葉県出身。国内自動車メーカー傘下の物流会社に就職。2021年3月から単身でタイに駐在。日本の生産管理システムと現地のワークスタイルとの狭間で、多忙な日々を送る。
目次

    バスケットボール一筋の人生に終止符を打ち、新しい自分に出会う

    私は昔から体を動かすことが好きでした。小学校高学年から高校生までバスケットボール部に所属し、中学と高校ではキャプテンとしてチームをリードしてきました。ところが、高校2年生の夏、練習中に膝のじん帯を切る大怪我をしてしまい、10ヵ月間のリハビリを余儀なくされました。

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    • しかし、そこで自分を奮い立たせ「高校生活最後のインターハイ予選までには絶対に治してみせる」と決め、諦めずに頑張りました。今思い起こすと、インターハイ予選に向けてさまざまな角度から目標設定をしたこと、顧問の先生と協力し合いチームメイトを引っ張り鼓舞したこと、それによって皆から信頼を得られたことなどなど。キャプテンとしてチームメイトの前では辛い時にも涙をこらえて皆を励ましていたことは、私にとって素晴らしい良い経験として思い出に残っています。

    その後、高校3年生になりコートに復帰しましたが、6月のインターハイ予選を数週間後に控えた矢先、練習試合中に今度はもう片方の膝のじん帯を切ってしまいました。この瞬間、バスケットボール人生に終止符を打つことを決めました。大学でもバスケットボールを続けたい、そして体育教師になるという夢が急に崩れ去ってしまいました。当時、立ち直れないほどのショックを受けたことを覚えています。

    しばらくして、夢を失った私は進路について考え直すため、恩師であるバスケットボール部顧問の先生に相談しました。すると、英語教員でもあった先生から「英語科の高校教員になったらどうか?」というアドバイスが。それまで英語に苦手意識を持っていましたが、先生の一言がきっかけで英語に興味を持つようになりました。そして英語教員になるという目標を持ち、麗澤大学の英語コミュニケーション専攻に進学、日々勉強に励みました。

    麗澤大学に進学を決めたのは、オープンキャンパスに参加したことがきっかけです。麗澤大学にはアットホームな温かい雰囲気を感じましたし、小規模な大学なので先生と学生との距離が近いというところ、そして自宅から通学しやすいところを魅力に感じ、進学を決めました。

    英語コミュニケーション専攻の私がタイに魅了された。将来はタイを舞台に活躍したい!

    麗澤大学では、英語科教員になるために教員免許の取得が可能な外国語学部の英語コミュニケーション専攻を選びました。そして1年次の夏休みにはアメリカへ一人旅を。アメリカは、日本で味わうことができない自由な雰囲気に満ち溢れており、すべてが新鮮で魅力的に感じました。2年次に上がり、アメリカで学びたいという気持ちが芽生えていた頃、恩師である山川和彦先生の「異文化研究F」という授業で、タイのパヤオ大学との国際交流プログラムに参加する機会がありました。わずか2週間の国際交流プログラムでしたが、初めて訪れたタイはアメリカと異なる独特な雰囲気で、衝撃を受けたことを覚えています。

    • もともと、私は東南アジアというと衛生環境が整っていないなど、マイナスイメージを持っていました。けれども実際訪れてみると、現地で出会うタイの人々の温かさや優しさに魅了されてしまいました。アメリカの自由な雰囲気も魅力的でしたが、現地で生活するには少しシビアで疲れてしまいそうだと思うことも少なくありませんでした。ところが、タイは居心地が良く、何だかホッとするのです。タイには「サバイ」という言葉があり、よく現地でも耳にします。それは「心地良い」「快適」といった意味で、まさに私にはタイの雰囲気が性に合っているんだと思いました。

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    それからというもの、タイに魅了された私は、山川先生の観光学を学ぶゼミナールに参加。観光業を中心に学びを深め、海外の提携大学で唯一、観光学の科目を履修できるタイのサイアム大学へ約半年間留学し、ホテル&ツーリズムについて学びました。サイアム大学での授業では、ひとつのトピックに対して何時間もかけて学修します。そのおかげで、高い専門性と実務に対する理論を身につけることができました。一方で、留学経験のある人の多くが直面する問題ですが、異なる言語や文化背景を持つ学生同士が議論するので、自分の意見を相手に上手く伝えられなかったり、グループワークでは意見をまとめるのに苦労することもしばしばありました。

    それでも積極的に自分の意見を伝えることを意識し、個人の意見を押しつけるのではなく相手を尊重したコミュニケーションを心がけ、目標を見据えて協力しながら課題解決に取り組みました。留学中は学ぶことが多く多忙な毎日でしたが、仲の良い友達もできたことで留学生活をより充実させることができました。この留学経験をきっかけに、将来はタイを舞台に活躍したいと思うようになりました。

    目標を見据えて自分でチャンスを掴む!

    留学生活も終わりに近づいてきた頃、サイアム大学日本語学科の先生の紹介で、日系の物流会社の社長にお会いする機会をいただきました。その社長の思想やビジョンに感銘を受けた私は、後日、改めてその会社に出向き、インターンシップのお願いを直談判しました。会社は、タイの首都、バンコクから南東にあるチョンブリー県にあります。土地勘のない異国で、バスやバイクタクシーなどの公共交通機関を乗り継ぎながら数時間かけて訪ねたのは、ちょっとした冒険でしたね。結果インターンを受け入れていただき、2ヵ月間のインターンシップを体験できました。現地スタッフの方々とともに汗水流しながら物流のイロハを学んだ経験は、何よりも有意義な時間となりました。この経験を活かして、将来はタイで物流関連の仕事に就くことを決意しました。

    帰国後、就職活動や教育実習を経て、在学中に目標としていた英語科教員免許も取得することができました。そして卒業する数ヵ月前に沖縄県の石垣島にあるリゾートホテルのインターンシップに参加しました。このインターンシップは、麗澤大学のタイや台湾からの留学生も多く参加しており、彼らと一緒に石垣島の住人たちの生活を覗かせていただきながら、ホテルのハウスキーピングやレストランの接客業務など身をもって経験し、ホテル業界や石垣島の観光業について学びを深めました。

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    • 沖縄を代表するお酒「泡盛」は、実はタイからもたらされたお酒であることを知っていますか? タイ産の米を原料として使用する泡盛は、琉球王朝時代に中国や東南アジアと盛んに交易をしていた時、東南アジアで発達した酒の蒸留技術が中国からタイを経由して琉球に伝わったといわれています。石垣島でのインターンシップを通して、日常生活では知り得ないタイと日本のつながりや、石垣島の文化について知見を広げる経験になりました。そして、卒業旅行はタイを中心に東南アジアを周り、私とタイの結びつきはより一層深まり、「将来はタイで働く」という目標に対する思いがさらに強くなりました。

    卒業後は、世界各国に拠点がある日本国内の自動車メーカー傘下の物流会社に就職。入社前から海外勤務の希望、特にタイ駐在の希望を会社に伝えていました。そして、入社4年目にして業務にひたむきに取り組んできたことが実を結び、憧れの海外勤務のチャンスを得ることができました。しかも勤務先は念願のタイです。

    バックグラウンドの異なる仲間と働く。大切なのは「柔軟性」

    タイで勤務することはスキルアップにつながると期待していましたが、実際に駐在をしてみると良いことばかりでなく、日本人スタッフとしての責任の重さに身の引き締まる思いがしました。

    現在、私が担当している業務は、自動車組み立て工場への部品納入管理です。自動車は数万単位の部品から構成されており、世界各国で生産している部品を生産計画に合わせ、自動車組み立て工場のラインに数量や品質を維持しながらスケジュール通りにデリバリーします。慎重に業務を遂行するよう心がけていますが、トラブルが起こった時はお客様への迅速な対応や再発防止の仕組みを考え、三現主義の理念に基づいて対策を講じています。

    • 主な取引先は日系企業で、私の仕事ぶりをお客さまにも評価いただけることは、仕事に対するモチベーションにつながります。しかし、バックグラウンドの異なる現地スタッフとの考え方の違いにストレスを感じる時もあります。日本人の多くは勤勉で働き者。しかし、だからといって日本人の考え方や仕事の仕方を彼らに押しつけるのではなく、自分自身に柔軟性を持たせ、余裕を持って彼らと向き合うようにしています。相手が何を求めているのか、何に困っているかを相手の立場に立って物事を考えられることは私の強みでもあります。言葉の壁や文化のギャップなど海外で働くことの大変さを今まさに痛感しています。

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    大学生活では語学力を磨いただけでなく、留学やインターンシップ経験を通して知見を広げることができたからこそ、初の海外駐在にも関わらず柔軟な対応、スムーズなスタートを切ることができたと感じています。

    海外勤務を実現させるために、心がけた3つのこと

    1.海外で働きたいという気持ちを持ち続けること

    私は、タイでの勤務を決断するにあたって大きな問題を抱えていました。ちょうどその時、結婚の準備を進めていたので、両親をはじめ、主人、そして義両親など周囲の人との相談が必要でした。さらに、新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大している最中、2年間の駐在ということもあり、駐在期間中は一度も帰国できない可能性もありました。それでも海外で働きたいという信念は曲げず、周囲の理解と協力を得てタイでの勤務を実現させたのです。自分自身が「海外で働きたい」という強い気持ちを持ち続ければ、大きな壁も乗り越えることができると信じています。

    2.目標設定を行うこと

    自分が何を目的に海外に行きたいのか、どんな仕事をしたいのか目標を設定しましょう。高校生活でも同じことがいえますが、たとえば部活動で何を目標に練習をするのか、また将来どこでどんな仕事をするのか、そのためにはどこの大学で何を勉強すれば良いのかなど、何事にも目標を設定して取り組んでみてください。それは社会に出てからも同様で、仕事をやり遂げるためには目標をしっかり設定して仕事に取り組むことが大切だと思います。私は「持ち前の突破力と行動力を維持してさらなるマネジメント力を磨き上げること、周囲の協力を得てマルチに活躍できる人材になること」を2年間の駐在期間中の目標にしています。

    3.コミュニケーション能力の構築

    会社における活動でコミュニケーションが大切な理由は、活動は個人ではなく組織で行うことであり、目標の達成と結果を生み出すことを組織の皆で目指していくためです。海外勤務の場合は人間関係の構築がより重要になります。現地スタッフとの良好なコミュニケーションから必要な情報や業務に関する知識を得たり、さらには顧客から重要な情報が得られることもあります。高校生のうちからクラスの仲間、部活動のチームメイト、先生などと日頃からコミュニケーションをとることを意識してコミュニケーション能力を高めてください。

    最後に、私にとって麗澤大学で過ごした4年間は、素晴らしい経験ができた非常に内容の濃いものでした。そして、大学生活でのさまざまな経験や学びが今の私の財産となっています。高校生の皆さんの中には、学校生活を送る上で何のために勉強しているか、何をやりたいのかわからないという人もいるかもしれませんが、麗澤大学ではきっと「なりたい自分」になるきっかけを掴むことができると思いますよ。

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