卒業生の活躍
2023.07.13

【台湾で活躍する卒業生】「常識を疑う」ことで養った国際感覚 ~台湾クロス留学・ネパール国際協力活動・黒須ゼミでの経験を通して~

【台湾で活躍する卒業生】「常識を疑う」ことで養った国際感覚 ~台湾クロス留学・ネパール国際協力活動・黒須ゼミでの経験を通して~

2018年3月に麗澤大学を卒業後、台湾にて日本と台湾の経済連携促進プロジェクトに携わっている木村隆さん。大学4年間では、台湾へのクロス留学や自主企画ゼミナールでのネパール国際協力活動、黒須ゼミでの卒業研究など、様々な取り組みに熱心に励んできました。今回は台湾にいらっしゃる木村さんに、大学時代や現在のお仕事内容について、また現地での生活について、台湾にてインタビューを行いました!

木村 隆
外国語学部 外国語学科 国際交流・国際協力専攻(現在の国際学部 国際学科 国際交流・国際協力(IEC)専攻)2018年3月卒業
千葉県出身、台湾台北市在住。幼少期にミステリーハンターに憧れ、海外に興味を持ちはじめる。大学卒業後は、台湾にて日本と台湾の経済連携促進業務に従事。休日はジムや登山で汗を流したり、テレビゲームを楽しんでいる。
目次

    「世界の文化に触れてみたい。」国際交流・国際協力(IEC)専攻へ

    • taiwan-kimurasan2.jpg
    • 私は子どもの頃から、TBSの番組「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターに憧れていました。世界の様々な歴史や文化遺産などを自分の目で見に行く姿にとても魅力を感じ、いつか自分もミステリーハンターのように海外へ行き歴史や文化に触れてみたいと強く思うようになり、海外に興味を持つようになりました。
      高校生の頃、実は自宅から比較的近い他大学に進学しようと考えていたのですが、当時の担任の先生から海外に興味があるなら麗澤大学はどうかとおすすめされ、麗澤大学のオープンキャンパスに参加することにしました。その時はじめて国際交流・国際協力(IEC)専攻の存在を知りました。

    中学生時代に、英語の先生から海外で国際協力をしていた時の話を聞いていたこともあり、もともと国際協力の活動に関心を持っていました。さらに、海外の文化の多様性を経験することで将来はその経験を活かした仕事ができるようになるのではないかと考え、国際交流・国際協力(IEC)専攻がある麗澤大学への入学を決めました。

    クロス留学で台湾の淡江大学へ! 日常生活レベルの中国語を身につけた

    留学先は1年次生の頃に中国語ハイパークラス研修で訪れた台湾を選びました。「クロス留学」という留学制度を利用して、2年次生の夏から約1年間台湾の淡江大学(たんこうだいがく)で中国語を勉強しました。クロス留学とは第二外国語として学んでいる言語を母語とする地域へ行って、日常生活を通して現地語を身につけつつ、授業で専攻語(英語)も同時に習得するという留学スタイルです。私も台湾での生活を通して日常生活レベルまで中国語を身につけることができ、英語もネパールでの国際協力活動や麗澤大学内の授業・イベントなどで不自由なく使いこなせるレベルには達することができました。台湾に働きに来てからは、英語はさっぱり使わなくなったので今は怪しいですが(笑)。

    • 留学先の淡江大学のある淡水区は夕日がきれいで環境もよく、中国語を勉強するには最適な場所だと思います。台湾での生活や言葉に馴染めるよう、留学前に淡江大学のサマーキャンプにも参加しました。留学中は大学敷地内の寮に入り、欧米や東南アジア、韓国からの留学生たちとともに生活を送りました。特に生活面で困ったことはありませんでしたが、台湾と日本とでは美容院での髪型の仕上がりが違うので、自分たちですきバサミを使って髪を切ったりしていました。振り返ると今でも印象に残っている楽しい思い出です。中国語を使って日々の生活を送り、とにかく友人たちと中国語で話すことが、中国語習得のためにとても大事なことだったと思います。

    • taiwan-kimurasan3.jpg

    麗澤大学のクロス留学制度は二言語同時習得を目指す方には本当におすすめで、韓国や台湾といったアジア圏、またドイツなどの欧州圏といった、多くの国や地域に提携校があって魅力的ですよ。

    相手を理解するきっかけとなった自主企画ゼミナール「Be a Bridge!」

    麗澤大学には自主企画ゼミナールという、学生自身が主体となって授業計画を立て、単位として認められる制度があります。私は自主企画ゼミナール「Be a Bridge!」のメンバーとしてネパールで国際協力活動を行いました。台湾留学と比べると滞在自体は短期となりましたが、ネパール渡航前の日本での活動も含めとても貴重な経験でした。

    • taiwan-kimurasan4.jpg
    • 実をいうと国際協力活動の前に、1年次生の時に秋田県で国内ボランティア活動も当時のメンバーと行っていました。ボランティア経験の浅い私たちがいきなり海外に行ってもできることは多くないと考え、まずは身近な国内ボランティア経験を積み、課題解決のノウハウを培うことにしました。そうすることでその地域が抱えている問題を把握し、地域住民とともにより良い環境づくりができるのではないかと思ったからです。

    日本でのボランティア経験をもとに、いよいよ本格的にネパールでの国際協力活動に向けて動き始めました。ネパールを活動地域に決めたのは、在学中の2015年に発生したネパール大地震がきっかけです。国際協力の場において、現地で受け入れを担当する機関や人のことを「カウンターパート」と呼ぶのですが、ネパールでの活動中にもネパール人のカウンターパートが、ネパールについての基礎知識を教えてくれました。

    ネパールには3年次生の春休みに5日間、4年次生の夏休みに10日間ほど滞在し、主に防災教育を行いました。環境の違うネパールでは、日本の知識をそのまま適用できないため、教育といっても一方的に教えるのではなく、小学校で子どもたちと一緒に防災や避難方法について考えるというものです。震災が多い日本で生まれ育ち、学校で防災教育を受けてきた自分たちの経験を活かせる機会であり、また、この活動を通して相手の環境や価値観を理解しようと努めるということを学ぶきっかけとなりました。

    厳しくも学びの多い黒須ゼミ! 卒業論文のテーマは「多言語社会・台湾における言語使用とアイデンティティの現在」

    • 在学中、一番大変だったのは卒業論文です。私は、1年次の基礎ゼミナール、3年次からの専門ゼミナールにおいて、どちらも黒須ゼミ(黒須里美教授:社会学・人口学専門)に所属していました。黒須ゼミは「厳しいけれど、その分学びも大きい」と言われているのですが、まさにその通りのゼミナールでした。夏休みの合宿や学園祭の討論会の準備なども大変でしたが、やはり卒業論文はそれ以上でしたね。

    • taiwan-kimurasan5.jpg

    台湾に留学していたこともあり、卒業論文は多言語社会から何かを考察するというテーマにしようと決めたものの、その「何か」を定めることに難航し、ゼミナールの仲間からも中間発表で色々と厳しい指摘を頂きました。仲間からの貴重な意見の中からできそうなこととできなさそうなことを洗い出し、最終的にその「何か」はアイデンティティに決まりました。卒業論文のテーマは「多言語社会・台湾における言語使用とアイデンティティの現在」です。

    卒業論文はテーマが決まってからがむしろ大変で、自分の理論を組み立てるための参考文献の収集や自分の理論を証明するためのインタビューや分析など、楽な工程はひとつとしてありませんでした。国会図書館を利用したり、留学中にできた台湾の友達に中国語力を活かしてインタビューしたり、また写実的に社会が描かれている台湾映画も視聴し、状況分析を行い、卒業論文の質を高めるためにできるだけ努力をしました。そのおかげで卒業論文コンテストでは佳作に選ばれ、本当に嬉しかったです。

    今でも書店へ行くと、つい社会学関連の本を手に取ってしまいます。それだけ黒須ゼミで受けた影響や学びは大きかったのだと感じています。黒須先生がよく仰っていた言葉は「常識を疑え!」ですが、海外に出ると日本や自分の常識は海外の常識ではないのだと深く実感します。また、同時に、価値観の似通った日本国内においてこそ、この考えがより必要であるとも感じています。

    日本・台湾産業連携推進業務に奮闘する日々! 日本語ができることが武器ではないと知った

    今、海外で仕事をする上でも、台湾クロス留学・ネパールでの国際協力活動・黒須ゼミという3つの経験は多方面で活かされています。私は日本と台湾の産業連携を推進する政府外郭団体での仕事に携わっており、相手に対し一方的な押し付けにならないよう、日々意識して仕事をしています。

    • taiwan-kimurasan6.jpg
    • 仕事内容は、商談会や産業セミナーの開催、日本企業と台湾企業の会議のセッティング、その際の通訳など、多岐にわたります。そのほか、日本の自治体からの依頼で市長訪問や企業訪問のセッティングを行ったりすることもあります。
      日本と台湾をつなぐという業種柄、日本語が堪能な台湾人職員が多く在席しているので、日本人のお客様との対談において私の母語が日本語であることが強みになるということは決してありません。しかし、日本語翻訳文などのネイティブチェックは非日本語母語話者にはできないことなので、その際には日本語ネイティブであることが重宝されていると感じます。

    現在入社5年目ですが、最初の1、2年はメールや資料、レポートなどを中国語で作成することに苦労しました。日本語ではレポート作成も普通にできることなのに、中国語でとなるとうまくいかず、もどかしく感じましたね。また、上司からも「できるだけ中国語で話すように」と叱咤激励を頂き、その言語的な苦労を乗り越えるために、参加しなくてもよい会議にも積極的に参加させてもらうなどして中国語力を伸ばしました。

    海外に住む私にとって、生まれ育って慣れ親しんだ日本が「非日常」で、文化も言葉も違う台湾での生活が今ではすっかり「日常」となっています。先日の日本への一時帰国は、観光客目線で生活をするというちょっとおもしろい体験となりました。私は台湾の春節時期が仕事の長期休暇になり、その時期を日本で過ごしたのですが、もちろん日本は平常運転。平日にゆっくり過ごすというのは不思議な感覚でした。

    海外での経験は大きな財産! 自分の常識を疑いながら国際人として羽ばたいて

    麗澤大学は、留学や自主企画ゼミナールなどの様々な制度やプログラムが充実していて、留学生もたくさん在学しているので、国際感覚を養うことができます。

    • 私は、特に大切なことを2つ学びました。「相手を最大限に尊重し、否定しないこと」と「自国と相手国の歴史的な関係を学ぶこと」です。まさに黒須ゼミでの教えである「常識を疑え!」という言葉が表すように、一歩立ち止まって物事を考えたり、相手の立場に立って考えたりすることが大切です。自分の考えがいつも正しいとは限りません。歴史的観点から見ると日本には反省すべき点もありますし、特に海外の方と接する際には一方的な押し付けにならないよう、自分自身日々の発言には気をつけるようにしています。国際人に必要なことは語学力よりも、「自国の歴史的立場を理解する姿勢を持ち、かつ相手を尊重する気持ちを持ち続けること」だと思います。例えば「親日」と言われている台湾の方と接する際も、歴史的な関係を考えると決して単純なことではないと思います。

    • taiwan-kimurasan7.jpg

    外国人と友好関係を築くことは難しいことではありませんし、海外で生活しているとワクワクすることもいっぱいあります。留学と仕事とでは責任の重さが違いますので、今は留学の時の気持ちとは少し違いますが(笑)。学生時代の海外での経験は将来大きな財産となります。自分の中の常識を疑いながら国際人として羽ばたいてください!

    SNSでこの記事をシェア