国際学部
2023.06.29

【前編】「トビタテ!留学JAPAN 日本代表」として、インドネシアへ。自然との共生について学んだ半年間

【前編】「トビタテ!留学JAPAN 日本代表」として、インドネシアへ。自然との共生について学んだ半年間

環境保全や少数民族の暮らし・文化に関心を持つ、国際学部 国際学科 国際交流・国際協力(IEC)専攻の中屋美里さん。2022年5月から11月までの約半年間、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム※」の派遣留学生としてインドネシアに滞在し、環境保全活動や少数民族の研究に取り組みました。その中で一体どのような体験をしたのか、お話を伺います。

※トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム:世界で活躍するグローバル人材の育成を目的とした、文部科学省と民間企業による官民協働の留学支援制度。派遣留学生は支援企業とともにグローバル人材コミュニティを形成し"産業界を中心に社会で求められる人材"、"世界で、又は世界を視野に入れて活躍できる人材"へと成長することが期待されている。日本の高校生や大学生を対象とし、返済不要の奨学金が給付される。

中屋 美里
国際学部 国際学科 国際交流・国際協力(IEC)専攻 2019年入学
東京都出身。高校2年生の時、写真家・ヨシダナギ氏が撮る少数民族の写真と出会い、少数民族に興味を持つようになる。趣味は、民族雑貨屋巡りとカメラ。自然を撮るのが好き。
※取材時、4年次生。
目次

    自分の好きな国でやりたいことにチャレンジしたい!

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    • 私はずっと海外に興味があり、大学に入学したら絶対に留学しようと思っていました。「トビタテ!留学JAPAN」(以下、トビタテ)を知ったのは、大学に入学して間もない頃、麗澤大学から初めてトビタテの留学生に選ばれた同じ専攻の先輩、櫻井翔太さんからお話を聞く機会があったことがきっかけです。自分の好きな国でやりたいことに自由に挑戦でき、しかも学力・語学力は不問で、熱意と独創性、好奇心があれば誰でも挑戦できるということに魅力を感じた私は、「ぜひトビタテにチャレンジしたい!」と思ったのです。

    応募したのは大学3年次の2月。応募にあたっては、留学先や活動内容、現地のインターンシップ受け入れ先機関などを踏まえた留学計画を作成・提出する必要があるのですが、自ら海外の機関と交渉し、受け入れ先を確保するのは特に大変な作業でした。しかし、何とか受け入れていただけるところを見つけることができ、審査も無事に通過。幸運にもトビタテ生として採用された時はとても嬉しかったです。

    私の留学計画は、インドネシアに留学し、「OISCA(オイスカ)インドネシア」で環境保全について学ぶというものでした。OISCAは「人々が様々な違いを乗り越え、自然と共生する世界」を目指し、41の国と地域で、人材育成を通した循環型有機農業の普及活動や環境保全活動などを行っているNGO団体です。2022年5月、私は待ちに待ったインドネシアへと渡りました。

    海に沈んだ村、環境難民。日本にいては知り得ない現実に直面する

    私が滞在したのは、インドネシアの首都ジャカルタの南方約100kmに位置するスカブミ県にある、OISCAインドネシアの研修センターです。そこでインドネシア人研修生とともに、植林活動や子どもたちへの環境教育など様々な活動を行いながら、環境を守る意識を形成したり、環境保全をどのように行うのかを学んだりしました。その中で、日本にいては気づけなかったことに、たくさん気づくことができました。

    • 忘れられないのは、マングローブ植林の視察に同行した時の体験です。マングローブは沿岸に生育し、高潮や海岸の侵食を防いで付近に住む人たちを守ってくれている木ですが、インドネシアでは近年、日本に輸出するエビの養殖場をつくるために伐採されるなどして、マングローブ林が急減しました。さらに気候変動の影響もあり、村の洪水・浸水被害が頻発しているため、それを食い止めようと、OISCAインドネシアはマングローブの植林に力を入れています。

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    視察中、ボートで海を渡っている時に「この下には村があって、人が住んでいた」と聞き、衝撃を受けました。その村には1家族だけが残り、マングローブを植えて故郷の村を守ろうとしていたそうです。そのご家族のお話によれば、インドネシアには、水害により村を出たにもかかわらず、移住先でもまた水害に遭い、行き場をなくしてしまう環境難民がたくさんいるそうです。環境問題については自分でも調べたりしていましたが、まさかここまでとは想像がつきませんでした。視察を経て、「何とかしなければ」という想いがいっそう強くなりました。

    困っている人たちのために、一生懸命に活動に取り組むOISCAインドネシアの方々の姿も強く印象に残りました。OISCAの皆さんは、地域の住民や行政、企業と協力し、励まし合いながら環境保全に取り組んでいます。自然環境を守るためには、色々な人たちの理解と協力が不可欠であることも学びました。

    650年前からの伝統を守る"カセプハン"の暮らしを体験

    今回の留学には、環境保全のほかにもうひとつ、少数民族について学ぶという目的がありました。そのために私は、スカブミ県の山奥にあるチプタグラル村のカセプハンの家庭にホームステイし、彼らの暮らしを体験させていただきました。

    カセプハンはインドネシアのスンダ族の一派で、650年以上続く伝統的な暮らしを今も守っている共同体です。竹や木でつくられた家に住み、農業を営み、飼っている山羊を自分たちでさばいて食べるというように、自然とともに、そして村全体が家族のように協力し合いながら暮らしています。

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    • そんなカセプハンにとって、お米は命のように大切なもので、お米を得られることへの感謝を表すため、調理するところから食事をするところまで、様々な決まり事があることを学びました。稲作にまつわる祭事もたくさんあり、私も稲刈り後の祭事に参加させていただきました。大自然の中、村の人たち皆で協力して行う祭事はとても楽しく、自分たちの文化・伝統を大切にしながら、自然の中でのびのびと生きるカセプハンはなんて素敵なんだろうと思いました。

    インドネシア留学を通して、自然とともに生きることの大切さを改めて身をもって感じることができました。「自然とともに生きる」とは、今私たちが当たり前のように享受している自然の恩恵は決して当たり前のものではないことに気づき、感謝する気持ちを持ち続けること、そして、人と人がつながり合って生きることだと思います。そのような社会をつくる一員になることが、帰国してからの私の目標となりました。

    ―後編では、IEC専攻での学びについてお話を伺います!

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