
滋賀県高島市にある旧広瀬小学校を舞台に繰り広げられる「三方よし×SDGsの廃校再生プロジェクト」。このプロジェクトは、「麗澤・地域連携実習※」の一環として、2021年11月にスタートしました。挑戦するのは、全学部から集まった1年次生12名。前編では、プロジェクトリーダーの今城さんに一体どのようなプロジェクトなのかお話を伺います!
※「麗澤・地域連携実習」とは、自ら動き、課題解決に取り組んでいくPBL(課題発見解決型学習)の最初の一歩として用意されている1年次を対象とした授業です。行政や企業が現実として直面する問題を取り上げ、学生による調査や提案内容の評価を大学と受け入れ先の市町村や企業が連携して行います。

※取材時、1年次生

※取材時、1年次生

※取材時、1年次生

※取材時、1年次生

※取材時、2年次生
「三方よし×SDGsの廃校再生プロジェクト」について
担当教員 黒須 里美 国際学部 教授/麗澤大学麗澤会 会長
旧広瀬小学校は1886年に創立し、2016年3月に閉校となった滋賀県高島市安曇川(あどがわ)町にある小学校です。その跡地をモラロジー道徳教育財団が運営することになり、麗澤大学の同窓会組織である麗澤校友会を通じて「学生ならではの視点で残された校舎を有効活用するアイデアを考えてほしい」という課題が提供され、本プロジェクトが始動しました。
プロジェクトには前年の麗澤・地域連携実習に参加した2年次生の4名もアドバイザーとして参加してくれて、1年次生には良い刺激となり、2年次生にとっても成長につながったことでしょう。学部学科、学年を越え、さらには旧広瀬小学校の卒業生や地域の方々との交流から生まれた「つながりの力」、そして教室を飛び出し、現地での体験から生まれた「場の力」を感じる、刺激の多いプロジェクトとなりました。今後の展開も楽しみです。
地域が抱える課題に実践的に取り組む「麗澤・地域連携実習」
―「麗澤・地域連携実習」にチャレンジしたのはなぜですか?
今城:私は国際学部ですが、地方創生にも関心があり、地域の課題に実践的に取り組むことができる「麗澤・地域連携実習」の授業はぜひ履修したいと思っていました。プロジェクトはほかにも複数ありましたが、「廃校再生プロジェクト」はその響きだけで「おもしろそう!」と惹かれ、本プロジェクトに応募しました。
―プロジェクトのこれまでの経緯をお聞かせください
今城:2021年11月にメンバーの顔合わせがあり、その後、全国の廃校活用の事例を参考にしながらアイデア出しをしました。12月には現地を訪問し、実際に見たこと、聞いたこと、感じたことを踏まえてアイデアを再考し、2月の活動報告会で3つの活用案を提案しました。この報告会をもって麗澤・地域連携実習の授業は終了しましたが、有志のメンバーで引き続き提案の実行に向けて取り組んでいるところです。
私たちの想いを膨らませたい! 思いきり楽しんだ現地訪問
―12月の現地訪問ではどのように過ごしましたか?
今城:1泊2日と短い期間でしたが、「知る、楽しむ!」をテーマに、旧広瀬小学校の卒業生や地域の方々と交流したり、小学校で思いきり遊んだりと、とても充実した時間を過ごしました。
―現地ではどのような活動をしましたか?
今城:まずは校内を一通り見学しました。卒業記念品や児童の作品、掲示物などが当時のまま残されている様子を目にして、たくさんの子どもたちの思い出がいっぱいに詰まっている場所だと感じました。
卒業生や地域の方へインタビューもさせていただき、小学校の思い出やこのプロジェクトに期待することなど、小学校に関わる方々の想いを直接伺える貴重な機会となりました。
自由時間には、皆で校庭にある芝生の丘でそりすべりをしたり、校庭の遊具で遊んだりしました。夜も体育館でドッジボール、校庭で花火と目一杯楽しみつくし、校庭から見上げた星空があまりにきれいで「何て素敵な場所なのだろう」と感動しました。翌日も早朝から学校周辺を探索し、地域の方のご案内で学校の裏山を登って神社を訪ねたり、小学校のすぐそばを流れる安曇川で川遊びをしたりしました。安曇川町の自然に触れ、地域の方からも町の話をたくさん伺い、この場所に大きな可能性を感じました。
旧広瀬小学校への想いを大切に残し、安曇川町を元気に
―現地訪問ではどのような成果を得られましたか?
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今城:プロジェクトの方向性を見出すことができました。カギとなったのは、地域の方の「登下校する子どもの声、校庭で遊ぶ子どもの声が消えて寂しい」という言葉です。それを聞いて、ハッと気づいたのです。私たちはそれまで、校舎とその敷地をいかに活用するかということしか考えていませんでしたが、小学校の再生は、町全体を活気づけることにつながるのだと思いました。
廃校になってしまっても、旧広瀬小学校が卒業生や地域の方々にとって大切な場所であることに変わりはありません。現地訪問したことで「小学校にまつわる人たちの想いごと、この場所に大切に残し、活かすことで町を元気にしよう!」と、チームの考えがまとまりました。そこから「子どもの声を町に取り戻し、町を活性化する」ことを目標に、プロジェクトが本格的に動き出しました。