卒業生の活躍
2022.10.13

【イギリスで挑戦する卒業生】人とのつながりは財産。その出会いが今の自分をつくっている

【イギリスで挑戦する卒業生】人とのつながりは財産。その出会いが今の自分をつくっている

2021年3月に麗澤大学を卒業後、同年9月からイギリスのロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)で国際政治・外交を学んでいる金田さん。この道に進むきっかけとなった麗澤大学模擬国連団体での経験や、外交官を目指す現在の様子について伺いました。

金田 裕作
ロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)MA International Studies and Diplomacy (国際政治・外交専攻) 修士課程 在籍中
[麗澤大学 外国語学部 外国語学科 英語コミュニケーション専攻 2021年3月卒業]
千葉県出身。小・中・高校はサッカー一筋の学生時代を送る。2018年に麗澤大学の2年次へ編入。大学を卒業した年(2021年)の9月から人生初の長期留学であるイギリスのロンドン大学東洋アフリカ学院(SOAS)の国際政治・外交専攻の修士課程に在籍し、現在は外交官を目指している。
目次

    サッカー少年が英語漬けに。英語を使う仕事を目指すきっかけをくれた恩師たちの存在

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    • 私が英語に興味を持ったきっかけは、中学生の時にNHKで流れていた海外ドラマ「glee」を観たことです。小・中・高校時代はサッカー一筋の生活でしたが、テレビでたまたま観たそのドラマに心を奪われました。当時は日本語の吹き替えで観ていましたが、主題歌の英語の歌詞が格好良く、その時に英語が話せるようになりたいと思い始めました。

      そんな折、私が通っていた高校で「受験英語」や「英語を使って仕事をする際に必要なこと」など、英語に特化した内容を幅広く学べる英語のゼミナールと出会いました。このゼミナールでは毎週テストがあり、成績順位が発表されました。

    なかなか厳しいゼミナールで、公立高校でここまで英語に特化したゼミナールがあるのは珍しいかと思います。ここで上位の成績を収めていた先輩たちが、国公立の有名大学に進学したという実績もあり、それがとても魅力的で、何としてでもここで頑張りたいと思いました。

    このゼミナールのおかげで、高校時代に英文法に関してはある程度熟知したと思っています。英文法を中心とした日本の勉強法は時に批判を受けることがありますが、問題点は圧倒的に話す機会が少ないことだけで、学び方としてはこの勉強法が一番良いと私は感じています。文法を疎かにしていると、正確なスピーキングを習得する際に一番の障害になるからです。英語ができるようになるには、まずは中学・高校時代に習ったことをしっかりと反復し、身につけることが大切です。

    文法以外にも、ゼミナールでは多くのことを学びました。例えば、海外で生活している今、そのゼミナールで教えてもらったフレーズなどを振り返ってみると、実際にネイティブが使っている言い回しなど、生きた英語だったことに気づき、英語ゼミナールを担当していた先生の偉大さを改めて感じます。また、高校の担任の先生が英語の先生で、進路の相談をした時に「英語を学べる大学に行きたい」と言っていた私に、「英語を使って何をするかが大事。英語を話せれば将来の仕事は何でも良いの?」と問いかけてくれたことで、自分は何がしたくて英語を学んでいるのかを考えさせられ、ハッとしました。私が今、英語と国際政治学・外交を掛け合わせて突き詰めていき、自分の強みにしたいと思えているのは、これらの先生方からの指導や助言があったおかげです。

    世界に出て突きつけられた現実。挫折をバネに頑張れたのは同志のおかげ

    高校卒業後、大学編入をするために大学編入制度のある専門学校に進学しました。高校生の時にお世話になった先生方の影響もあり、英語の教員になるために麗澤大学の2年次に編入しました。2年次の12月までは教員を目指し教職関係の授業を履修していましたが、同年の11月にワシントン D.C.で行われた模擬国連会議全米大会に麗澤大学模擬国連団体として参加したことをきっかけに、私が目指したいのは教員ではなく、国際機関で働くことだと思い始めました。

    模擬国連会議全米大会とは、世界中から集まった学生が国際連合(以下、国連)の会議を模し、各国の国連大使になりきって議論や交渉を行う大会です。チームごとに担当国があり、私は過去に「アルゼンチン」「シリア」「メキシコ」の3ヵ国を担当しました。会議ではそれぞれの国の代表の外交官として3日間議論し合い、実際の国連議会が行う形に則って決議案を作成します。また、2021年にハーバード大学主催の大会にも参加しました。最初はそのルールについても分からないことだらけでしたが、3年間を通して4つの会議に参加したことでその仕組みが理解できるようになり、国際機関で働きたいと思っている私にとって、非常に良い経験になりました。

    • 私が麗澤大学模擬国連団体に入ったきっかけは、新入生歓迎会の勧誘の中で、英語で毎週プレゼンテーションをするチャレンジングな団体があるということを知ったことでした。麗澤大学に編入したからにはさらに英語力を向上させたいと思っていた入学当初、興味本位で説明会に参加し話を聞いてみると、所属する先輩たちの熱量が高く、こんなに勉強に意欲的な人たちが集まる団体があることに驚きました。そんな意欲が高い人たちが多いことがとても魅力的で、良い気づきや刺激がある団体でしたし、自分もこうなりたいと憧れました。

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    また、模擬国連団体の当時のリーダーがとても魅力的な方で、その先輩の存在が模擬国連団体に入る最後の決め手にもなりました。その方は1年次の時に模擬国連団体に入るも内容が難しすぎて一度辞め、その後留学をして英語力を伸ばして団体に復帰するも、本番の模擬国連大会では何度も挫折を経験したそうです。しかし、その都度自分で課題を見つけ、その克服に向けてまた走り出すことを繰り返してきたというエピソードを聞き、感銘を受けたことを覚えています。また、常に周りに人が集まる温かい人間性にも惹かれました。海外でのインターンを在学中に行うなど常に意欲的で、今では中国語も習得し、上海で活躍されています。

    私自身は初回の模擬国連大会では、自分たちが用意した内容をただ暗記して伝えるだけで精一杯で、議論についていくことはできず、英語力だけを見ても周りとかなりの差があることを痛感しました。議論をする相手の中には辞書くらいの厚さのファイルを持ち歩く人もおり、テーマに対する莫大な知識と情報から、何を述べても即答され、全く太刀打ちできずにトイレに隠れるなんていうこともありました。特に2度目の参加の時は、私の担当国「シリア」の内戦がメインの議題となる中、英語のネイティブ話者の鋭い指摘で論破されたとても苦い思い出があります。ただ、そこで挫折を味わっただけではなく、自国の主張がある一方で、他の国とどう調整していくかが国連の主な活動となっていることを知ることができ、私が国際機関や外交に興味を持つきっかけとなりました。

    さらに、そこに参加している他国の学生たちは、国際問題に対する問題意識がとても高く、大会が始まる前からホテルのロビーですれ違う人同士で「あなたはどこの国の担当?」と話し出し、議論が始まるほどでした。私も頑張らないといけないと気持ちを奮い立たされる環境でした。そんな知識も豊富で即座に論破できてしまうような世界の学生たちが、現状に満足することなく勉強し続けていたり、大会の後にニューヨークの国連本部でインターンをしたりと、皆何かしら悩みを持ちながらも自分の目標へ向かって貪欲に走り続けている姿を見て「自分の挫折は大したものではないな。もっと頑張ろう」と自分自身を鼓舞することができました。イギリスに来てから模擬国連大会で出会った友達と再会することもあり、今でも各国の友達とつながっています。お互いに国際機関で働くことを志し、刺激し合える良い友人関係があることは私の強みになっています。

    背中を強く押してくれた永田先生。この出会いがなければ今の自分はいない

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    • 私は今ロンドン大学で国際政治や外交を学び、国際機関で働くことを目指していますが、そのきっかけは先程述べた模擬国連大会の最初に担当したWHOの「AIDS(エイズ)」のテーマで、当時解決策として出された啓蒙活動のような内容に疑問を感じたことです。一方で、国連と提携しているビル&メリンダ・ゲイツ財団からの支援金を途上国の開発に投入するなどという具体的な資金計画は今までの自分の知識にはなく、模擬国連大会の会議はとても勉強になりました。今後本当に国際機関で働くことを目指すのであれば、開発経済学の基礎から学ぶ必要があると思い、他学部履修制度を利用し、専攻外の経済学を履修することにしました。そこで出会ったのが永田先生です。

    私は、大学卒業後に民間企業が行っている留学奨学金制度を利用してアメリカに行く予定を立てていました。現地の大学でネイティブの学生と一緒に授業を受けながら英語とビジネスを学べて、インターンもできてビザも取得できるという魅力的な制度です。しかし、奨学金が出るといっても自費の出費の方が多く、またアメリカへ行っても学位がもらえるというわけではなかったので、この選択で良いか悩んでいました。

    そんな折、永田先生にそれまでの経緯や将来国際機関で働くことを考えていることを含め相談したところ、「金田くんならできると思うから大学院に行った方が良い。イギリスの大学院に行った方が学位ももらえて、経済的にも優しいので良いのではないか」と提案してくださいました。その話を伺った時に「自分の英語力はまだ足りないし、政治学の基礎も知らないので、まだ早いのではないか」と正直な気持ちをぶつけると、永田先生は「能力は後からついてくる。今のあなたの英語力なら出願はできるし、とりあえずやってみなさい。もしそれでダメならその時辞めれば良い」と背中を強く押してくださいました。その言葉は今でも強く覚えていますし、その後押しがなければ今の自分はいないと思っています。

    刺激のある環境に自ら飛び込む。そこでの人とのつながりは自分の財産となっている

    私の今後の目標は、外交官になることです。現在の国連のあり方について疑問を持つところがあり、まずは国連の内情を自分の目で見て把握したいという思いがあります。というのも、クラスメイトに日本の外務省から派遣されて来ている方や、他の国の外務省の方、元国連職員の方などがいる今の環境で、皆さんから外交についての話を聞く機会がある中で、自分の国の外交に関わっているんだという意識の高さを肌で感じ、日々とても良い刺激や影響を受けているからです。日本人のクラスメイトはすでに英語力があるのに、イギリスにいる間も毎日オンライン英会話を受講しており、おごらない謙虚なスタンスを私も学ぶべきだと思っていますし、自分にとって大きな存在となっています。

    • 今の修士課程を終えた後は、外務省の専門調査員というポストに就きたいと思っています。この専門調査員というのは、特定の地域や国連本部、世界各国の大使館で勤務する民間の職員です。公務員試験ではなく独自の試験を受け、合格すると現地に入り、2年間その地の政治経済のことや政策に対する世論などをリサーチして、定期的に外務省に伝達するという業務を担います。その業務の中には、ニューヨークやジュネーブの国連本部で働く仕事もあり、それはまさに模擬国連でやっていたことなので、もし実現したらと思うと、とても感慨深いです。実はこの専門調査員のことは、その日本人のクラスメイトから教えていただきました。今まで私の周りには外交官を目指す人がいなかったので、そういった情報に触れる機会はありませんでしたので横のつながりは大事だなと強く感じています。

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    イギリスの大学院には、他にも良い刺激をくれる仲間がたくさんいます。その中の一人に、トルコの外務省から来ているクラスメイトがいます。彼も大変努力家で、外交には社交とコネクションが大事だと言っており、諸分野に関する政策立案・政策提言を主に行う研究機関、シンクタンクのフォーラムやセッションに毎月積極的に参加しています。彼から「名刺交換や質問などを積極的にする姿勢が外交官として大事だよね」という話を聞いた時は、深く共感し、自分もそうあるべきだと思いました。彼は常に情報収集をしていて、今年の2月には前国連事務総長の潘基文氏がオックスフォード大学で講演をするという情報をキャッチし、そのおかげで一緒に聴講することができたのです。このように、自分の興味のあることに常にアンテナを張ることは仕事にも直結するから大事だ、ということを彼から教わりました。

    また、ブルガリアから来ている学生で、すでに英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・ブルガリア語の5ヵ国語を話せるクラスメイトがいます。彼は現在SOASでさらにアラビア語を履修していて、アラビア語も習得できれば国連で使われる公用語の中で中国語以外の言語を話せるステージにいます。彼の祖父母が国連職員をしていたとのことで、彼も国連のWTO(世界貿易機関)で働きたいと思っているため、その祖父母から国連で働くための戦略やアドバイスをもらっているそうです。その中で、語学の習得と在学中にできるだけ多くのインターン経験を積むことが大事だと教えられていて、彼は学校での課題もこなしつつ、ずっとインターンで職務経験を積んでいます。彼曰く、国連職員となるとオックスフォード大学やケンブリッジ大学卒のような優秀な人がたくさんいる中、その人たちとの差別化を図るにはとにかく職務経験を積むことが重要だということで、今までインターンに関して疎く、経験も全くない自分が恥ずかしくなったほどでした。

    そんな完璧そうに見える彼でも、英語は母国語ではないので、学校で発言する際などは今でも緊張するし震えることがあると言っていますが、「でも、学びに来ているのに失敗を恐れる方がもったいないよね」と話してくれたことはとても印象的でした。それを聞いた時に、私も英語にまだ自信があるわけではないので少し救われた気持ちになり、そういう姿勢は見習っていきたいと思いました。その時の気持ちが今の私の原動力になっています。

    それぞれの場面で出会った先生や、模擬国連大会での友達、さまざまな国から来ている大学院のクラスメイトや同じ寮の友達との関係は自分の視野を広げてくれる貴重なもので、今後もずっと続いていくと思うので、今もそして今後の私にとっても財産だと思っています。

    経験や知識を英語と組み合わせていくことが海外就職を実現させる近道

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    • 麗澤大学時代、模擬国連団体に参加したことが今の大学院での学びに活きています。模擬国連で経験したことは挫折と達成の両方でした。模擬国連の会議で出会った友人たちは、自分の専攻している分野以外の内容も学んでいたり、辞書くらいの厚さのファイルを携帯しながら、それでもまだ足りないと勉強に励んでいたりしながら、常に謙虚な姿勢でした。

      私自身は、最初の模擬国連大会を経験したあとは、大きな挫折があったのにもかかわらず、自分は凄いことを経験したと自信過剰になってしまった時期がありました。

    しかし、現地でできた友人が国連のインターンシップに合格したり、成績優秀者として卒業したりする姿を見て、たったあれだけのことで何を舞い上がって自信過剰になっていたのかと、とても恥ずかしい気持ちになりました。優秀な学生たちは皆たゆまぬ努力をし、学び続ける姿勢を崩さないことを知り、自分も負けない、高みを目指したいと、とても刺激を受けました。模擬国連で得たこれらの経験がなければ、私は勉強もあまりしていなかっただろうし、勉強に対するモチベーションも維持できなかったと思います。そのおかげで在学中にTOEICは900点を超えることができ、IELTSではOA6.5を取得することができました。

    現在、イギリスでの生活は基本的に勉強漬けです。月に数回友人たちとオックスフォードやケンブリッジなど、ロンドンに近い場所へ旅行したりはしますが、それ以外は基本的に図書館で予習、復習、卒論を進めています。1年で終えなければならないイギリスの修士課程の性質上、ほぼ毎日勉強で忙しくなることは仕方ないと捉えています。そして、私はまだイギリスの修士課程に在籍しているだけで、海外で職も得ていないし偉そうなことは言えませんが、海外で働くためには、具体的にどのような分野で、どんな知識が必要なのかを考えることが大事だと思います。なぜなら、英語を話せるだけでは、現地のネイティブたちと比較した際に優位性がなく、またビザの問題等があり海外で正社員として働くことは難しいからです。私の好きな英語系YouTuberのAtsuさんは、英語と大学で専攻していた会計学を掛け合わせて、海外での就職を実現させました。私にとっては、英語と国際政治学と外交がこれに当たりますが、特定の専門分野で磨いた経験や知識を英語と組み合わせることが、海外での就職を実現させる方法だと思います。

    私も自分の目標を実現させられるように、残りの在学期間、頑張っていきますので、海外に飛び出したい高校生の皆さんも一緒に頑張っていきましょう。

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