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2022.11.02|最終更新日:2023.10.04|

【後編】課題がなければ、データ分析ができても意味がない。解決したい課題を見つけよう!

【後編】課題がなければ、データ分析ができても意味がない。解決したい課題を見つけよう!

麗澤大学でプログラミング、統計学、データサイエンスなどの授業を担当する新井先生。学生時代は「経済物理学」を専門とし、データ分析の手法の研究に取り組んだ後、民間の調査研究機関にてデータサイエンスの業務に携わられました。そんな新井先生へのインタビュー後編では、「データ分析のスペシャリストとして学生に伝えていきたいこととは何か」を伺います。

新井 優太
経済学部 経営学科 助教
栃木県出身。新潟大学理学部卒業。新潟大学大学院自然科学研究科数理物質科学専攻博士後期課程修了。博士(理学)。株式会社リクルート SUUMO リサーチセンターでの勤務を経て2021年9月から現職。専門分野はデータサイエンス。趣味は料理。
目次

    人事でも営業でも、ビジネスパーソンなら誰もが必要とするデータ分析

    企業でデータ分析の仕事をしながら実感したのは、データや統計学の基礎知識は私のような専門家だけではなく、実は誰もが必要とするものだということです。「データ分析って専門家がやるものでしょ」と思う人もいるかもしれませんが、人事部でも営業部でもそれぞれ現場特有のデータを持っていて、それを自分たちで分析し、業務上の課題改善のために活用する場面は少なくないのです。

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    • たとえば人事部なら、社員の離職率を下げるという課題があり、改善策のひとつとして、社員の性格特性などから上司と部下の組み合わせを最適化する方法があります。その組み合わせは人事データから導き出すことができ、統計学の基礎がわかれば自分たちで分析することができるのです。そして、このような基本的な分析であれば、自分たちでやるに越したことはありません。なぜなら、「何が課題で、解決のためにデータから何を知りたいか」ということを一番よく知っているのは、現場にいる自分たちだからです。やり方さえわかっていれば、誰よりも適切な分析ができるはずです。また、まずは自分たちで分析してみて手ごたえを感じたら、コストをかけて外部により精密な分析を依頼することもできます。

    ところが実際の企業は、「統計はわからない」「数値が読めない」という人が大多数です。勉強しようにも、日々の業務に追われ、社会人になってからではなかなか身につきません。そんな現状を見るうちに、一番良いのは、学生のうちにデータサイエンスの重要性を理解し、基礎的なスキルを身につけておくことだと思うようになりました。麗澤大学の学生の皆さんには、統計学やデータの基礎知識と共に、どうしてこれが必要なのか、社会で活用するにはどうすれば良いのかということを、私自身の現場での経験も交えながら伝えていきたいと考えています。

    課題を発見し、その解決のためにデータサイエンスを活かす

    私が担当する「経営学基礎演習」(2年次対象)で今取り組んでいることは、学生が課題を自由に設定し、その解決に必要なデータを集め、実際に手を動かして集計し、結果を資料にまとめて発表するということです。社会に出たら必須となる一連の流れを体験しながら、データ分析の実践を学んでほしいと考えています。まだ始めたばかりですが、学生はそれぞれ「空き家状況と住宅価格の関係」や「テーマパークの入場者数とコロナ禍の関係」など、多種多様なテーマに取り組もうとしていて、今後の展開が楽しみです。

    • データサイエンスを社会で活かすには、統計学やデータ分析、プログラミングの基礎知識が必要なのはもちろんですが、それ以上に私が重要だと思うのは「課題を見つける力」です。そもそも、なぜデータ分析をするのかといえば、解決したい課題があるからで、課題がないのにデータ分析だけしても意味がありません。統計学やデータ分析は授業で学ぶことができますが、課題発見力を身につけるには、授業の場だけでなく、普段から身のまわりや社会にアンテナを張り、「何が課題なのか?」「解決するにはどうすれば良いか?」と自分で常に考えながら生活することが大事でしょう。そして、何が課題なのかを見極めるには、社会やビジネスに対する理解も不可欠です。麗澤大学の学生には、自ら課題を発見し、その解決のためにデータサイエンスを活かせる人材になってほしいと思います。

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    麗澤大学の学生の学ぶ姿勢に、いつも「ほー!」「おー!」と感心しています

    麗澤大学の学生は、真面目な学生が多いと思います。私の研究室にプログラミングの勉強をしに通う学生もいれば、ノートにみっちりと書きこみをしている学生も少なくないですし、グループワークもおしゃべりして終わるかと思ったら、皆真剣にディスカッションしていて「ほー!」「おー!」といつも感心しています。

    一方、教員は教育熱心だなと思います。授業だけでなく、学生が企画するイベントや学外の活動のためにも協力を惜しまず、すごいなと敬服しています。よく、授業外で教員と学生が企画の打ち合わせをしているのを見かけるのですが、見ているうちに面白そうだなと思って、最近は私もお手伝いさせてもらうようになりました。

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    • 私は新米教員ですが、学生に教えるのは楽しいです。学生が研究室へ来やすいよう、授業の初回では必ず「研究室に来る際は特にアポはいりません。部屋にいればいつでも歓迎します。」と伝えています。最近では、何人か遊びに来てくれるようになりました。私が仕事をする横で自習する学生、お菓子を食べながらおしゃべりする学生など、皆自由に過ごしていますよ。今はゼミナールを持っていませんが、ゆくゆくはゼミナールを持ち、将来、社会人になったゼミ生と一緒にお酒を飲みに行けたら良いなと、実は今から楽しみにしています。

    全力でやるからこそ、得られるものがある

    勉強だけでなく、遊びでも何でも、全力でやることは大事だなと思います。全力でやるからこそ、得られるものがありますから。高校生の皆さんには、せっかくの高校生活を、全力で楽しんでほしいなと思います。

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