
麗澤大学には、日本での生活やルールに馴染むのに時間がかかる留学生を、日本人学生がサポートする"カンバセーション・パートナーシップ"という活動があります。留学生と日本人学生が交流しながら大学生活をともに過ごすことで、外国語でのコミュニケーション能力の向上を図るとともに、異文化理解を深めることを目的としています。今回は、2023年度の秋セメスターにカンバセーション・パートナーシップのペアを組んだ、中国からの交換留学生の徐(ジョ)さんと、日本人学生の林田さんに約4ヵ月間のさまざまな交流活動をお聞きします。前編では、カンバセーション・パートナーシップの仕組みや具体的な活動内容について伺います。

※取材時、4年次生。

※取材時、4年次生。
日本人学生と、日本に来たばかりの留学生がペアを組み、交流が始まる
―カンバセーション・パートナーシップの活動について簡単に説明をお願いします。
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林田:カンバセーション・パートナーシップは、麗澤大学の日本人学生と留学生がペアを組み、来日したばかりの留学生が日本の生活に馴染めるように日本人学生が手助けをする活動です。月に1回ほど学内での交流イベントがあるほかに、お昼を一緒に食べたり、休みの日には観光地に出かけたりするなど、さまざまな交流を通して仲を深めています。
また、4ヵ月におよぶ活動の総まとめとして、「協働学習発表会」というイベントがあります。これは、各ペアが好きなテーマをひとつ設定して、調べた内容をパワーポイントにまとめ、皆の前で発表します。私たちは、ディズニーが大好きなので、日本と中国におけるディズニーランドの違いについて調べ、発表をしました。
―林田さんがカンバセーション・パートナーシップに参加された理由も教えてください。
林田:2年次生の冬休みにマルタ島へ留学したことがきっかけです。自分が留学をした際に、不安や緊張などさまざまな感情を味わったので、帰国後は、日本に来る留学生を手助けしたいなと思いました。私は3年次生の時からこの活動に参加しています。
緊張した初対面。会話を増やし、徐々に深まる仲
―徐さんが日本に興味を持ち、日本語学科に進学したきっかけを教えてください。
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徐:私は中国の雲南省出身なのですが、小学生の頃、「ポケットモンスター」や「名探偵コナン」など、たくさんの日本のアニメに触れたのがきっかけです。日本の文化を深く理解し、ひとつでも多くの言語をマスターしたいと思い、日本語学科に入りました。在学中に日本の大学に交換留学をして、実際に日本の生活や文化に触れることは入学時からの夢でした。麗澤大学に交換留学生として来た日が、初来日でした。
―カンバセーション・パートナーシップのペアが決まり、実際に会うまでの流れをお伺いしたいです。
林田:大学の職員の方がマッチングをしてくださいます。基本的にはランダムで決まりますが、英語、中国語、韓国語など、自分がコミュニケーションを取りたい語学の希望を相談することができます。私は第二外国語として中国語を学んでいたのですが、たまたま過去の2回は台湾からの、今回は中国からの留学生とペアを組むことができました。
ペアが決まったら、まずはメールでのやりとりを始めます。「何月何日に初めて会うからよろしくね」と挨拶をして、初回ミーティングで初めてお会いします。最初の方はお互いに緊張もあるので、学食で一緒にランチをするなどして、会話を増やし、少しずつお互いのことを知っていきました。
観光に出かけ、私的な時間も一緒に過ごすかけがえのない4ヵ月
―具体的な活動内容を教えてください。
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林田:日本語の課題を手伝ったり、東京をはじめとした首都圏の観光スポットに出かけたりしました。授業の空き時間や昼休みも一緒に過ごすことが多く、結構深い交流をしました。大学の職員の方からも、「プライベートな時間を使ってコミュニケーションを深めるプログラムなので、休み時間などにもまめに会って、日本に来たばかりの留学生の不安な気持ちを早めにやわらげてあげてほしい」ということを事前に言われていました。
徐:倫実ちゃんと一緒に、大学の国際交流センターが主催するさまざまなイベントに参加しました。例えば月に1回のミーティングやハロウィンパーティー、クリスマスパーティーなどです。
まめなやりとりで、飛躍的に伸びる語学力
―特に思い出に残っているエピソードをそれぞれ聞かせてください。
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徐:浅草やスカイツリーに遊びに行って、一緒に食事をしたり、たくさん写真を撮ったりしました。国際交流センターのイベントで、倫実ちゃんと一緒にゲームに参加して、盛り上がったことも印象に残っています。
林田:浅草観光ももちろんですが、日々の一緒に食べるお昼ご飯とか、何気なく過ごす瞬間が本当に楽しかったなと思います。あとは、イゼンさんが私の所属するバスケットボール部の活動を見に来てくれたこともとても嬉しかったです。イゼンさんはダンスが得意で、麗澤大学の名物ダンスサークルに参加していたので、ダンスの発表会を見に行ったことも良い思い出です。
―間もなく4ヵ月の活動期間を終えますが、お互いの印象と、これまでの活動の感想をお願いします。
林田:イゼンさんの第一印象は「綺麗でスタイルのいい人だな」でした(笑)。外見だけでなく、内面も女性らしくて、仕草から考え方まで、見習うことがたくさんあります。私がイゼンさんの日本語を直すと、積極的に吸収しようとしてくれるエネルギッシュなところも、素敵だなと思います。約4ヵ月一緒に活動してすごく楽しかったですし、出会えてよかったなと心から思います。
徐:倫実ちゃんは親切で、朗らかな人です。面倒見が良く、前向きな気持ちにさせてくれるポジティブな力があります。私のたどたどしかった日本語も、倫実ちゃんのおかげで約半年で飛躍的に向上させることができ、かけがえのない日本留学生活となりました。