【後編】「やさしい日本語」の普及で、社会をもっと豊かに。専門学校から編入した学生の挑戦

日常にあふれる日本語を、海外の方だけでなく、子どもや高齢者の方などにもわかりやすく伝えるために配慮した「やさしい日本語」を勉強したいと、専門学校から麗澤大学に編入した田中佑佳さん。後編では、田中さんの「やさしい日本語」にかける思いと取り組みや、編入生目線での、麗澤大学の魅力などを伺います。

※取材時、3年次生。
わかりやすい日本語で伝えることを意識した多彩な取り組み
日本学・国際コミュニケーション(JIC)専攻の中で印象に残っている授業は、「日本語と世界」です。「やさしい日本語」を用いて、日本の素晴らしいところや麗澤大学の良さを発信してみようという授業で、私のグループは麗澤大学の紹介動画を制作することにしました。
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制作した動画は、マレーシアの協定校の学生にも見てもらうことになり、留学の決め手にもなる大事なコンテンツになるということで、複数の学生に実際にインタビューして、麗澤大学の美しいスポットや良いところを紹介することにしました。動画を作成する上で、最も力を入れたのは、わかりやすい日本語で伝えることでした。出演する学生には優しく、ゆっくりとした口調で話してもらい、テロップの漢字については、「これはちょっと難しいからひらがなにしておこう」などと協議して、細部までこだわりました。
そのほかに、思い出に残っている活動は、井上里鶴先生が主催された「防災ワークショップ」をお手伝いしたことです。実は「やさしい日本語」は、防災のために生まれたものなのです。阪神・淡路大震災で多くの外国人が逃げ遅れ、被害を受けたことから、外国人にも情報伝達を的確に行うことを目的として考案された表現方法です。
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ワークショップには留学生や地域の高校生に参加してもらったのですが、私は主にアイスブレイクを担当しました。緊張している参加者同士仲良くなってもらうため、「防災バッグビンゴ」というゲームを考案しました。非常時に何を持って逃げればいいのか、避難先で何が必要となるのか、みんなで予想していきましょうというビンゴを作成しました。非常に盛り上がり、楽しく防災に関して学ぶことができた有意義なワークショップになったと実感しています。
自分で授業を企画する!? 「自主企画ゼミナール」
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麗澤大学には、学生達が学びを深めたいテーマを見つけ、学生自ら指導を受ける教員を選び、学習計画を立て、その計画に従って進めていく「自主企画ゼミナール」という制度があります。同じ志を持つメンバーと共に企画書を提出するのですが、私が企画してみたいと考えているのは、留学生の志願者も多い麗澤大学の出願関連書類に、「やさしい日本語」を用いることです。入試の書類はとても多く、複雑です。中国人の友達が、「書類に書いてあることがわからない、難しい」と話していました。書類を「やさしい日本語」に全部書き換えたら、わかりやすく、しかも絶対需要があるはずだと思いつきました。
日本語は、「いる。いらない」の表現が少し曖昧だと感じます。たとえば、「もしくは」が本当に両方必要なのか、片方だけで事足りるのか。友達は「および」という言葉も難しいと話していました。確かに、私達日本人もどのようにして正確に理解しているのだろうと不思議に思うぐらい、紛らわしいと感じます。
自主企画ゼミナールでは、まず「やさしい日本語」とは何なのか、どのようにして書き換えたらよいのか、どの言葉に言い換えられるのかについて、皆で一緒に学んでいけたらなと考えています。最終的には「留学生」を大きなテーマに置き、留学生が不便に感じていることを先回りして「やさしい日本語」に対応させていく活動ができたらいいなと思っています。日本学・国際コミュニケーション(JIC)専攻は留学生が多いので、実際にアンケートに回答してもらったり、直接ヒアリングができたりすることが大きな強みですね。
少人数にこだわるからこそ! アットホームな麗澤大学の魅力
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この大学の一番の魅力は、先生との距離が近いことです。私の弟は、学生数が多いことで有名な総合大学に通っていますが、話を聞くたびに、「課題をやっておいてください。質問は特に受け付けません」という雰囲気があるということに驚きます。私は、課題でわからない点があるとすぐに担当の先生にメールを送るようにしています。すると大体の先生は翌日には「大丈夫ですよ」「確認できていますよ」など、何かしら返信をしてくださります。
私は編入生で、友達は1人もいない状態で入学しました。通っていた専門学校は授業の時間割ができあがっていて、自分で授業を組むことはありませんでした。大学に編入してからは、履修登録など初めての経験に戸惑い、先生に「これはちゃんと提出できていますか」とお聞きすると、「うん、大丈夫だよ」「これはこうなんじゃないか」など、優しく教えてくださり、不安なく大学に溶け込むことができたことは本当にありがたかったです。先生に気後れすることなく質問できることは、麗澤大学ならではだと感じています。
好きこそ物の上手なれ! 自分の「好き」を大事に
高校生の皆さんには、自分の好きなことを大事にしてほしいと思います。私は、英単語の暗記や英文法が苦手で、特にTOEIC対策の勉強は非常に苦労したのですが、「英語が好き」「英語を喋りたい」という気持ちだけで頑張ってきました。自分の軸をしっかり持っていると力強く前に向かって行けるので、皆さんもそういう軸を大切にして、大学選びもしていってほしいなと思います!