【大学の授業シリーズ】
【前編】国際学部だからこそ「日本」を、そして「事実」を知ることが大事 ~Japan Studies in English II"から学ぶ~

今回は国際学部 国際学科の授業である"Japan Studies in English II"に潜入し、その授業を担当するモーガン先生から様々なお話を伺います。

ラーメンは和食?アメリカ人の先生と英語で「日本とは何か?」を考える
「皆さんは、アメリカで食べられている回転寿司は『和食』だと思いますか?今日の授業では、『和食』とは何かを考えていきます。では最初に質問です。 皆さんが好きな和食は何ですか?教えてください」オンライン上でモーガン先生が英語で問いかけると、学生はチャット機能を使い、思いのままに、様々な和食を回答していきます。
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本来であれば授業中、声を出して発言するところですが、オンライン上ではチャット機能をフル活用しての発言。まさにニューノーマルな授業形態です。
この"Japan Studies in English II"の授業には、国際学部国際学科の1年次生、約20名が受講し、そのうち半数が中国、韓国、マレーシア、ベトナムからの留学生です。
「好きな和食は何か?」という問いの答えのひとつに「ラーメン」がありました。すると先生は、「ラーメン?ラーメンは和食ではなく、中国の料理ではありませんか?このように、皆さんが大好きで『和食』だと思っている料理にも、実はメイド・イン・ジャパンではないもの(和食ではないもの)がたくさんあるのです。
では次の質問です。そもそも、『和食』とは何だと思いますか?皆さんの考えを聞かせてください」モーガン先生は学生への問いかけを続けます。学生は「食べる人に喜んでほしいという気持ちがあるのが和食ではないか」などと各々自分の考える意見をチャット内にコメントします。
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"Japan Studies in English II"の授業は基本的に英語で進めていますが、その内容は「日本とは何か?」を考えるものです。取り上げるテーマは『和食』以外にも『アイヌと沖縄は日本か?』や『アニメ・鬼滅の刃について』などジャンルも多岐にわたります。日本の歴史、文化、政治、宗教、芸術と、できるだけ多くの様々な側面から日本を見ることにより、日本がどういう国なのかを探っていきます。
そもそも、国際学部の学生はなぜ、日本について学ぶ必要はあるのでしょうか?日本人なのだから日本のことはもう知っているのでは?と思う人もいらっしゃるかもしれませんね。
「正しい日本」を世界へ伝える人になるための授業
世界には、皆さんが思っている以上に日本への理解が深く、日本に友好的な人たちがいます。その一方で、日本に対する誤解や偏見を持っている人もたくさんいるのです。日本人である皆さんが日本の歴史や文化をきちんと理解しないまま海外へ行き、誤解や偏見にもとづいたバッシングを受けたらどうでしょう?きちんと反論できますか?
「事実を知る」と「世界が変わる」
事実を偏りなく平等に調べれば、アメリカが決してもう終わりなどというほど、悪いことばかりではないことがわかるはずです。この事実を世界中の人が知っていれば、あの痛ましい事件は起きなかったかもしれません。このように、人々が劇的なフェイクヒストリーに溺れ、誤った行動に走った結果が、2020年の一連の暴動なのだと私は考えています。事実を知らないということは、とても危険なことです。世界中で起こる争いや対立を解決し、私たちが幸せになるためには、思いこみをなくし、フェイクに惑わされず、事実を知らなければならないのです。
世界で起こる問題に対して「事実」を見つける。授業ではその特訓します
その役割を担うのが大学での学びです。そこで、私の授業では、その特訓のために、常に私はソクラテスの役割を果たそうとしています。ソクラテスは古代ギリシアの哲学者で、全ての事物に対して疑問を提示し、誰彼かまわずしつこく質問しては、相手の答えの不備や間違いを指摘するので、煙たがられていました。しかし、「事実」を知るためにはそのような特訓が必要です。ここで犠牲になるのは私でしょう。
学生には、これらの授業を通し、事実をもとに、世界の様々な問題について考えられるようになってほしい。このような考え方ができる人が増えていけば、様々な誤解は解け、世界は今よりももっと平和になるでしょう。平和のカギは、「ファクト」なのです。