経済学部
2023.12.11|最終更新日:2023.12.15|

【前編】生まれ育った町に恩返しがしたい。埼玉県横瀬町の名産品・どぶろくを活用した「地方創生プロジェクト」に挑戦

【前編】生まれ育った町に恩返しがしたい。埼玉県横瀬町の名産品・どぶろくを活用した「地方創生プロジェクト」に挑戦

経済学部の吉田健一郎ゼミナールに所属する4年次生の赤岩麻里さんと吉村俊也さんは、埼玉県横瀬町の名産品を活用して、町おこしに挑戦しています。プロジェクト名は「よこぜおさけフェス〜女子大生たちが本気で地方創生してみた」です。前編では、赤岩さんと吉村さんが本プロジェクトに参画したきっかけと、活動内容について伺いました。

赤岩 麻里
経済学部 経済学科 観光・地域創生専攻 2020年入学
埼玉県出身。実家は旅館を営んでいる。出身地の横瀬町が大好きで、地元愛に溢れている。趣味はおいしいお菓子をつくること。
※取材時、4年次生。
吉村 俊也
経済学部 経営学科 経営専攻 2020年入学
千葉県出身。大学のゼミナールで町おこしのイベントを成功させたことをきっかけに、卒業後は、地方創生事業を主としたベンチャー企業を起業したいと考えている。ストレス解消法は体を動かすこと。
※取材時、4年次生。
目次

    自分の生まれ育った町に恩返しをしたい

    ―今回の活動のきっかけを教えてください。

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    • 赤岩:私は、埼玉県北西部の秩父郡に属する「横瀬町(よこぜまち)」で生まれ育ちました。横瀬町は、人口8,200人ほどの小さな町で、水と空気のおいしい緑豊かな農山村です。私の実家は旅館を営んでおり、地元の方々にはとてもアットホームに接していただき、幸せな幼少時代を過ごしました。高校時代から、いつかこの町に何か恩返しをしたい、この町をもっと知ってもらいたいという気持ちがあったので、大学3年次の時に吉田ゼミに入り、横瀬町が採択しているプロジェクト「よこらぼ※」に応募することにしました。

    ※よこらぼ:「企業・団体・個人のみなさんが、実施したいプロジェクト・取り組みを実現するために、横瀬町のフィールド・資産を有効に活用し、横瀬町がサポートを行うのがよこらぼです。」(出典:よこらぼ https://yokolab.jp/about-us/)

    吉村:私は横瀬町に縁もゆかりもなかったのですが、赤岩さんの企画を聞いたとき、お酒にロマンを感じてビビッときました。自分たちのような若い学生がお酒のプロジェクトに関わることはあまりないので、おもしろいなと思いました。吉田先生と赤岩さんと3人で実際に横瀬町を訪れて、町長さんとお話しする機会をいただいたり、実際に醸造所を見学させていただいたりしました。その時に横瀬町の自然と人の温かい雰囲気にすっかり惹かれて、一緒にこのプロジェクトをやることを決めました。

    ―プロジェクトの採択までのプロセスを教えてください。

    • 赤岩:「よこらぼ」は、埼玉県横瀬町をフィールドにして、アイデアや企画を提案し、実際に社会実装するまでの流れを体験できる仕組みです。私と吉村さんのふたりで企画書を考えるところから始めました。採択の条件として、新規性を重要視されるということでしたので、学生ならではの目線を大切にしようと決めていました。そして、何度も町を訪れ、これからの観光資源になりうるものをくまなくリサーチしました。

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    リサーチに一番時間をかけ、町長さんとお話しさせていただいたり、地域住民の方にたくさんヒアリングをさせていただいたりしました。その中で、今若者の日本酒離れが加速していることを聞いたので、若者においしく楽しく日本酒を飲んでもらうために、横瀬町の地域資源(どぶろく「花咲山」および横瀬町産の野菜や果物)を用いて実際に日本酒を楽しめる場所を提供することを目標としました。

    そして、2022年秋、「よこぜおさけフェス〜女子大生たちが本気で地方創生してみた」というプロジェクトが、横瀬町に正式に採択されました。

    大人の中に飛び込んで、一気に身についた社会性

    ―途中、苦労や困難はありましたか?

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    • 吉村:横瀬町は全国でも有数の「どぶろく特区」です。ほかにも横瀬町名産のお酒はありましたが、どぶろく「花咲山」の認知度アップを第一の目標と定めました。数あるお酒の中でも「どぶろく」は私には全く馴染みのないジャンルで、若い人たちに敬遠されがちな「どぶろく」のハードルを下げるため、オリジナルカクテルを開発することにしました。このレシピ開発の過程が大変で、幾度となく色々と試行錯誤しました。結果的にどぶろくにはミルクが合うことが分かりました。お酒を扱う飲食店に飛び込んで、お店の方に飲んでもらい、アドバイスをいただいたりもしました。

    赤岩:正直カクテルを開発していく上で、たくさんの壁にぶつかりました。成年したばかりでお酒の知識は全くなかったので、一から必死に勉強しました。両親はお酒に強かったので、私もお酒が飲める体質だと信じ、口当たりのよいカクテルを「おいしい」と次々に試飲していたら、酔ったりもしました(笑)。

    • ご協力いただいた飲食店の方々は、皆さん温かく、親身になってオリジナルカクテルの開発に協力してくださいました。その時に開発したオリジナルカクテルは、2023年春に横瀬町で開催した「よこぜおさけフェス」で販売したのですが、多くのお客様からご好評いただき、とても嬉しかったことを今でも鮮明に覚えています。ほかの社会人の団体との共催でもあったので、学生気分のままではできないところに、新たな責任と自覚も生まれました。ゼミナールの担当教員の吉田先生にも、たくさんお力添えいただき感謝しています。

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    どんどん広がっていった人の輪

    ―活動を通して学んだことを教えてください。

    赤岩:人との縁の大切さですね。自分の夢に向かって頑張っていると、周りに助けてくれる環境があって、その周りの方々からまた「こんなところでコラボしてみたらどう? あんなところではどう?」とお声がけいただき、どんどん人の輪が広がっていったことに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。大学生一人ではできることに限りがありますが、町が一丸となってサポートしてくださったということに、心から感銘を受けました。自分も大人になった時に、こういうふうに若い人を助け、役に立ってあげたいなと思います。

    ―この活動は今後も続きますか?

    吉村:今年もまだ続きます。春のイベントに出店した際に感じたのですが、横瀬町は車社会なので、車で来場された方も多く、お酒を飲めない方がいらっしゃいました。今度は夜にお酒を飲みながらゆっくり過ごせるビアガーデンであったり、町の祭りに挑戦してみたいと思います。あとは、私たちがレシピ開発したオリジナルカクテルを今度は商品として販売できたら良いなという想いがあり、実際に商品化を目指し、今でも頑張っています。

    ―後編では、お二人が麗澤大学に入学したきっかけや、吉田ゼミの魅力、将来の夢について伺います。

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