学生相談室コラム Vol.1 - 推薦図書『赤毛のアン』
2019.5.31

学生相談室 推薦図書:『赤毛のアン』(原題: Anne of Green Gables) 
                                著:L・M・モンゴメリ 訳:村岡花子

麗澤大学がプリンス・エドワード島大学と提携を結んだというニュースを聞いて、とても嬉しくなりました。大好きな「Anne」のふるさとですから。

Anne=アンが主人公の『赤毛のアン』は有名な小説で、アニメや映画にもなっていますから、一度は耳にしたことのあるタイトルだと思います。

生まれてすぐに両親を亡くしたアンは、相当の苦労を経て、マシュウとマリラというきょうだいに引き取られます。その家、「グリーンゲーブルズ」があるのがプリンス・エドワード島です。

アンはとてもおしゃべり。迎えにきたマシュウに、あれも素敵、これが素敵、と話し続けます。迎えたマリラは閉口します。その姿は、間を作らないことによって、自分が捨てられる隙を相手に与えないようにしているようにも感じられ、いくらか胸が痛むシーンです。

アンは優しいマシュウとツンデレ気味のマリラのもとで、長い手足と痩せっぽちの身体、豊かな感受性と知性をのびやかに育てていきます。心から愛する親友、切磋琢磨するライバル、アンの才能を育てようとする恩人との出会い、順調な人生。

あるときそれがふと、崩れます。そこでアンのとった選択は、アンが最も大切だと感じるものを、大切にする行動でした。

そのときの言葉が印象的です。高校を卒業したときには、未来はどこまでも見通せるまっすぐにのびた一本の道であった、と振り返ったアンは、こう続けます。「いま曲がり角にきたのよ。曲がり角をまがったさきになにがあるのかは、わからないの。でも、きっといちばんよいものにちがいないと思うの。それにはまた、それのすてきによいところがあると思うわ。その道がどんなふうにのびているかわからないけれど、どんな光と影があるのか―どんな景色がひろがっているのか―(中略)それはわからないの。」

この言葉は、わたし自身が大切に抱き、苦境にあるときに唱えてきたものです。みなさんの中にも、まさに今、曲がり角を前にされている方もいらっしゃるかもしれません。予想していた未来の喪失は、いったんは人から歩く力を奪います。でも、もしかしたら、その曲がり角の向こうにこそ、すばらしいものが待っているかもしれない。その道なりの美しい景色があるかもしれない。さあ、歩きだしてみませんか?

非常勤カウンセラー 阿部千香子