お知らせ
麗澤大学名誉教授の大貫啓行 氏が講演
平成27年度麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田各市教育委員会および柏商工会議所)の前期第1回目が10月17日(土)に開催し、大貫 啓行 氏(麗澤大学名誉教授、NPO危機管理能力開発機構理事長)を迎え「日本の底力 -持続可能な安全安心社会の再構築-」と題して講演を行いました。当日は213名の方々が参加し、熱心に聴講されました。
大貫氏は30年間、外務省・警察庁・警視庁・防衛庁等を歴任され、その後は本学の教員として20年努め、まさに「危機管理一筋の人生」を送ってこられました。こうした大貫氏の知見を、大変興味深く聞くことができた講演会となりました。
大貫氏はまず、「我々日本人は成功体験にとらわれ過ぎているのではないか」と指摘されました。日本は一人当たりのGDPは世界で27位、アジアの中でも4位に落ちている現状で、「Japan as a NO,1」時代は過去の栄光であるにも関わらず、その成功体験にとらわれている印象がある。これまでの歴史からも、日本が他国を非難をする時は、落ち目の時だと述べられました。
次に、中国の経済状況に言及されました。中国経済が危ないと叫ぶ有識者が多い中、GDP成長率が7%と落ち込んではいても、中国の人口13億人という現実を見逃している人が多い。日本の人口規模に置き換えて考えると、中国の成長率は日本の2~3倍と同等であるため、中国経済を決して見逃すことができないと解説されました。
本題の日本の安全安心社会に踏み込み、「元少年A」について言及されました。元警察官僚の氏の見解としては、Aに対して警察による強制捜査が踏み切られるか否かは「世論がどう反応し、社会的に事件価値が高いかどうかが重要になる」と述べられました。つまり、メディアが取り上げ、世論がどのような反応を示すかによって、警察の動きに影響が出ると言及されました。
さらに、現行少年法について論評されました。氏は、「少年法はアメリカの理想をベース、性善説に則ってつくられた法律であるが、現実社会は性悪説ととらえても間違いではない。少年犯罪の責任を成年犯罪と比較して減刑化する現行法ではなく、現行法より厳罰化することで本人の責任をより問うことが、更生を助けるのではないかという論調に持っていきたい」と持論を展開されました。
最後に氏は、日本は「島国気質のため閉ざされた視点で物事を考えがちであるが、やはり成熟外交を目指していくべきである」と訴えられました。 インドネシア新幹線が「白紙撤回」してしまった例等を挙げられ、どちらが正しいかは時間が経たないとわからないものの、中国経済界の柔軟性を高く評価され、氏は「日本は閉ざされた世界である。中国のような強かさがなければいけない」と訴えられました。
講演終了後は、活発な質疑応答が行われ、盛大な拍手とともに講演会が終了となりました。