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2016.12.09|最終更新日:2020.07.30|

マレーシア・サラワク大学で国際シンポジウムを開催

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 2016年12月5日、マレーシアのサラワク大学において、総合テーマを" Moralogy, Economics and Business Ethics"(モラロジー、経営と道徳)とした"UNIMAS-REITAKU Conference 2016"が開催され、約100名を超える研究者や学生が参加しました。このシンポジウムは、本学の特徴である「道徳」と「経済」の問題について、共同でシンポジウムを開催するという構想がかねてよりあったもので、本学の創立者である廣池千九郎生誕150年という記念の年に開催が実現したものです。

 シンポジウムは、中山学長の基調講演を皮切りに、本学からは中野経済研究科長、下田経済学部長、堀内経済学部教授の3名とサラワク大学からはKartinah Ayupp先生、Pei Ling Lee先生、Dayang-Affizah A. M.先生、Shafinah Rahim先生の4名が研究発表をされ、100名を超える研究者や学生が熱心に耳を傾けていました。

UNIMAS (6) 基調講演で中山学長は、「Economy, Morality and Sustainability--from the viewpoint of cultural and business studies--」をテーマとし、まず、日本が世界でも稀に見る長寿企業大国という事実に触れ、企業の永続性と伊勢神宮の式年遷宮に代表される日本文化との密接な関わりについて述べました。その中で、いくつかの事例を挙げ、企業永続の背景にある「信・誠・継・心・真」などのキーワードを紹介し、伝統の「継承」と時代に応じた「革新」の重要性を強調しました。最後に道経一体の思想の重要性をといた創立者 廣池千九郎博士の3つの格言を紹介して締めくくりました。

堀内教授は、「近世日本における「労働の精神」の萌芽:「労働」と「人格形成」に関する鈴木正三の思想」をテーマとし、労働の目的が金儲けとなってしまった現代に対し、本来日本人が持っている労働に生き甲斐を感じ、勤勉に励んだ「労働の精神」を稲盛和夫氏や鈴木正三氏に触れ、現代の労働環境の悪化や過剰労働に問題提起し、今後の労働における日本人のあり方について説きました。

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 中野経済研究科長は、「日本企業における倫理確立に向けての取り組みと管理者の倫理観-1994年、2004年、2014年の調査結果の比較をふまえて-」をテーマとし、日本の企業倫理が問われ始めた1990年頃からの20数年間に倫理確立に向けた取り組みや管理者の倫理観はどのように変化して来たのかを10年ごとに行った3回の調査から考察し、企業倫理の制度化は著しく進展したが、管理者の倫理観はそれほど大きく変わっていないことを説きました。

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下田経済学部長は、「戦後日本の経済成長における中小企業の役割とモラロジーの理念」をテーマとし、本学創始者の廣池千九郎の理念が、日本における中小企業に反映され、中小企業の高いパフォーマンスの裏づけになったことを説き、戦後及び現代において直面する危機について洞察しました。

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今回のサラワク大学との学術・研究の交流を通じ、本学では、マレーシアと日本両国の関係の深化を図るとともに、イスラム経済やイスラム圏とのビジネスに関する正しい知見を蓄積した上で、今後もより一層、グローバル人材の育成に取り組んでいきます。

 なお、今回のシンポジウムの中で、今年9月に本学大学院経済研究科経済学・経営学専攻の博士課程を修了し、現在、サラワク大学で教鞭を執っているIRMA YAZREEN BINTI MD YUSOFFさんに、博士(経営学)の学位の授与を行いました。これは、イルマさんが9月の授与式に都合により出席出来ず、今回、UNIMASの配慮により実現することが出来ました。