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教育・研究
2013.07.10

【開催報告】6/29公開研究会ジェシカ M.ウォーネル 氏

平成25年6月29日、平成25年度第1回公開研究会が校舎あすなろにて開催されました。 
 アメリカノートルダム大学のジェシカM.ウォーネル氏をお招きし、「Notre Dame approach to teaching business ethics」というタイトルで講演して頂きました。同氏は、麗澤大学外国学部の客員研究員でもあり、短期間ではありますが本学で講義も担当されています。 
  
 国際社会において企業の倫理的行動に対する声が高まる中、企業倫理教育は注目されています。しかしながら、企業内で人材を教育していくのは容易ではありません。特に、人々の意思決定を変えていくという企業倫理の分野では、それはなおさら困難です。今回の公開研究会で紹介されたアメリカノートルダム大学では、体系的に企業倫理教育を実践し、倫理的意思決定のできる人材を国際社会に輩出しています。そこでは、人々の倫理的意思決定を「自覚」、「判断」、「行動」という段階に分け、それぞれを改善することを企業倫理教育の目的としています。学生たちは倫理的問題に対し、関連するステークホルダーや発生する義務などの多様な視点を持ち、カリキュラムを通じて問題の解決に向けて取り組んでいきます。 
 同大学では、「ethics game」というインターネットを利用した企業倫理教育も活用されていました。その内容は、人々が倫理的問題に直面した時のケースが多数用いられており、学生たちが各局面において、自分たちなら実際にどのような意思決定を行っていく必要があるのかを確認することができます。このような新しい取り組みは非常に興味深く、講演後は、これに関連する質問や補足説明が行われました。 
 ウォーネル氏は、企業倫理教育の教育効果についても研究を行っています。「道徳的感受性」、「道徳的判断」、「道徳的動機」、「道徳的責任」という4つの枠組みを利用して、学生たちの倫理的意思決定への評価を行っています。同氏からは、企業倫理教育を受けたことで、倫理的問題を認識する力が高まったという研究結果も報告されました。 
  
 アメリカノートルダム大学では、道徳心を持った人材を育成することを目指しています。このような人材の道徳的視点を重視する視点は、麗澤大学と共通している部分であると考えられます。そのため、ウォーネル氏が両校で、研究活動を進めることは非常に意義があり、麗澤大学とアメリカノートルダム大学との交流を通じて、企業倫理教育はさらに洗練されていくことが期待されます。大学の社会的責任として、企業倫理教育は、今後さらに注目されていくでしょう。

(大学院生記)