経済社会総合研究センター インフォメーション
【開催報告】ルーマニア、ブカレスト大学客員教授の鳴尾眞二氏が講演
5月26日、麗澤大学経済社会総合研究センターの公開研究会を開催しました。ルーマニアのブカレスト大学、経営管理学部の客員教授であり、本学経済学部の大場裕之教授による「共創空間開発」プロジェクトの研究協力者である鳴尾眞二教授から「市場経済化は東欧に何をもたらしたか?移行経済ルーマニアの20年間を検証する」というテーマで約2時間にわたりお話を伺うことができました。
1989年、当時のチャウセスク政権の独裁体制を倒し、その後EUの加盟国になるなど、一見自由民主主義や市場経済の世界へ順調に移行しているかのように見えるルーマニアですが、その実情を探ると、新たな国づくりへの不明瞭なビジョン、民主主義や市場経済に対する様々な「誤解」により引き起こされた問題が山積しているようです。7年間のルーマニア滞在経験をお持ちの鳴尾教授による、ご自身が経験されたエピソードを交えながらの解説は非常に興味深く、革命後22年経った現時点でも実はまだ今回のテーマである「市場経済化」を論じられるレベルには至っていないことなどが紹介されました。ジャスミン革命以降、数々の革命で旧体制が倒されている中東、また東日本大震災を機に国の新たな形を考えなくてはいけなくなった日本が、今後しっかりした目標を持って国づくりをするためにも、ルーマニア事例は大変参考になりそうです。
質疑応答ではフロアから多数の質問が寄せられました。特に今回は仕事の関係でルーマニアを訪問された経験をお持ちの方、またルーマニアと同じく社会主義から資本主義へと移行中のカザフスタンを訪問された経験をお持ちの方などが参加されたこともあり、講演の内容を踏まえながらルーマニアの政治、経済、社会、教育などあらゆる分野に関する密度の濃い質問や意見交換が行われるなど、大変有意義な時間を過ごすことができました。
(麗澤大学 大学院生 記)







