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イベント
2018.07.18|最終更新日:2020.07.24|

【開催報告】山下ゼミの主催 第6回「ヒューマンライブラリー」のイベントを開催しました。

平成30年7月8日(日)、山下ゼミの主催で、第6回「ヒューマンライブラリー」のイベントを柏市のパレット柏で開催しました。今年度 2回目のヒューマンライブラリーは秋頃を予定しています。

ヒューマンライブラリーとは、2000 年にデンマークの若者たちが、北欧最大の音楽祭であるロス キレ・フェスティバルで始めたイベントで、様々な価値観、経験を持つ人が「生きている本」になり人生体験を語ります。読者(聴き手)は本(語り手)から 30 分間、1 対 1~3で話を聴き、自分 自身についても考える機会を得ることができ、偏見の低減や多様性に開かれた社会の実現が期待できる取り組みです。今回は大学の枠を越え、街づくりの一環としてオープンな形でパレット柏にてヒューマンライブラリーを行いました。柏駅周辺は、常磐線の北の玄関口・東葛の中心地として歴史的に多様性を受け入れてきた場所であり、その多様性が、若者文化に象徴されるエネルギーを生み出し、まちを発展させてきました。現在柏駅周辺は 20 年後の将来像を描いたグランドデザイン策定 を進めており、その中で「にぎわい創出」「イメージアップ」「居心地の向上」を目標に掲げています。本企画は対話を通じた相互理解を促し、誰にとっても居心地の良い街の素地になることを期待されています。

 

 

 

 

 

 

 

今回も3年生が中心に本役集めと交渉を、4年生は企画運営に関してのアドバイスとサポートを行い、ゼミ生全員のチームワークのもと大盛況のうちに終えることができました。

 

 

 

 

 

 

今回も魅力的な「生きている本」の方々にご参加いただきました。

  1. アハマド・ルバさん(パキスタン出身 麗澤大学経済学部グローバル人材専攻1年)『日本生まれ、パキスタン育ちの私:ふたつの文化の間で思うこと』日本で生まれ、5歳でパキスタンに戻り15歳でまた日本に帰ってきました。二つの非常に異なる文化の間で私が感じ思うこと、社会情勢、女性の人権、自分自身のアイデンティティなどについてお話ししたいと思います。
  2. ト沢彩子(うらさわ あやこ) さん(A-live connect代表)『I am alive. 好きな服で生きていく:好きな服で生きるとは?』子供の頃から何度も性被害に遭い心と身体を壊しました。被害や被害後の困難、そしてそこから発信を始め、回復する過程や活動する過程で考えたことをお話します。性被害のトピックに少し疲れた方もぜひ。生きている人間であることや、ストーリーを大事にして生きたいと思っています。
  3. 武智 多恵子(たけち たえこ)さん(野田文化研究会 理事長)『戦争体験者の語り~子供の目を通して~』第二次世界大戦中に生まれ波乱万丈の幼少期を台湾で過ごす。戦争により裕福だった生活が一変。戦争体験と現代社会に必要だと思うことについてお話します。
  4. Pyae Phyo (ピピ) さん(ミャンマー出身麗澤大学卒業生)『私がお坊さんになった理由』ミャンマーについてどのくらい知っていますか。ミャンマーと日本との文化の違い、家族のありかた、そして、私がお坊さんになった理由について語ります。   
  5. 平野 景由(ひらの あきよし)さん『個人事業主 39才で取締役、44才で社長になった背景にあったコミュニケーションとは!?』大阪出身。電気系の大学院を卒業した私は、三菱電機に入社し、電子商品開発のための研究員として配属されました。そして本社海外部への異動から7つの会社を経験しました。その背景にどのようなコミュニケーションがあったのか、というお話をしたいと思います。
  6. Kaz Futawatari(かず ふたわたり)さん(KERMDE English Education代表)『ラガー+街づくりの担い手が語るラグビーの魅力』カナダ国籍を取得し、日本とカナダの二国間でラグビーを経験。日本と海外のスポーツに対する価値観の違いを認識。現在、日本ラグビー協会の重鎮的存在として、楽しめるラグビーを通じて、ラグビー普及活動を行っています。ずばりラグビーの魅力について語ります。
  7. 古谷 美桜(ふるや みお)さん(KENJAYA 株式会社賢者屋 人財開発部 部長/社長室)『決めないことに決めた。だから私は、Q(=クエスチョニング)』1993年埼玉県生まれ。幼稚園生の時から卓球を始め、小学校6年生の時にジュニアオリンピックに出場。高校2年生の時にはインターハイで活躍。大学時代も卓球に打ち込むも、新たな目標を見つけて選手生活にピリオドを打ち、ベンチャー企業を現社長と創業。思うことは、「わからないものは、わからない」私は愛の種類を分けられない。はっきりわかるのは「好き」という気持ちがそこにある、ということだけ。
  8. 宮本 千尋(みやもと ちひろ)さん(東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻博士課程2年 柏の葉サイエンスエデュケーションラボ学生代表)『空きアパートが手作りの科学館に!』今、日本では空きアパートの増加が社会問題の1つとなっています。そんな空きアパートを仲間と一緒にDIYで改修し、科学館を作りました。手作り科学館を始めたきっかけやオープンまでの道のり、そして活動を続ける中で見えてきたことなどをお話しします。読者(聴き手)の数はこれまでのHL最高の累計107名となりました(実際の来客数40名)。柏市内、県内外からさまざまな年齢層(小学生から80歳以上の方々)が参加してくださり、活気あるイベントとなりました。感想については、本役から「誰かの訳に立てる機会をいただき感謝しております」「自分自身の変化を語りながら整理できた」「読者も積極的に話しを聞いてくれ、ご自身の考えや感想もいただきとても楽しく過ごせた」「LGBTに対して知識のない人へ話すのは初めてだったので伝え方を考え直すことが出来た」。

     

     

 

読者から「日常ではなかなか聞けないお話が聞けて充実した時間を過ごせた」「時間もショートで丁度良い」「次回は子供も参加させたい」「複数のプレゼンターから選び参加できるのが楽しく、同じテーブルに集まった人ともトークをし、話が広がるのも面白い」「人の話を聞くことは自分の価値観を広げるためにも大切だと改めて思った」「30分があっという間だった」。司書(ゼミ生)から「4年生のサポートがあり、チームワークがとれていた。しかしもう少し主体的に動ければよかった」「本役の方への尊敬の念が増した。自分に起きた大きな課題を乗り越えて自分らしさを見つけられていると思うし、自分をよく知っていると思った。私も自分について語れるぐらい自分を知りたいと思った」「人を理解しようとすることや、相手の良いところを見つけるようになった。人は見た目だけでは分からないのと、少し話したくらいではどんな人か分からないので」「生まれ育った環境、地域、国でいろいろな考え方があり、自分の普通がその人にとって普通ではなく、その人の普通は自分にとって普通じゃないということを知り、もっと自分と違う考え方の人のことを知りたいという気持ちになった」「HLを開催した後では人を見た目で判断しないよう気を付けるようになった」などがありました。

イベントの最後のミニコンサートでは、本役のお一人である平野さんに三線演奏者の松下さんが加わり、「愛燦々」「愛の賛歌」2曲を披露してくださいました。心和む演奏と歌声に癒される寛ぎのひとときとなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしたちゼミでは「異文化を学び、私たちを取り巻く社会と世界を包括的に考える」、「自己発見」、「いかに生きるかを考える」、の3つを目指しヒューマンライブラリーを実施しています。過去6回を振り返り、学生が主体となってイベントを企画・運営することで、社会人基礎力や汎用的能力が向上し、多様性に対して寛容になるといった変化がゼミ生個々に見られます。改めて、ヒューマンライブラリー開催にあたりお世話になりました、柏市国際国流教会、UDC2、大学関係者の方々、参加者の方々に山下ゼミ一同、深く感謝申しあげます。(学校教育研究科/経済学部准教授 山下美樹)