お知らせ
【開催報告】麗澤大学英米文化研究会 例会および総会(2026年3月11日(水))
麗澤大学外国語学部英語専攻の教員が中心になって運営している英米文化研究会(会長:日影尚之外国語学部教授)の例会と総会が2026年3月11日の午前中にオンラインで開催されました。
まず、アンドリュー・マクノートン准教授が"Defining Law: An Anthropological Opportunity(法律を定義する:人類学的な視覚)"と題する報告を、続いて日影教授が「アメリカ文化と西部劇の伝統−−映画 No Country for Old Men (2007)を中心に("American Culture and the Western Genre Tradition: Focusing on the Coen Brothers' No Country for Old Men (2007)")」と題する報告を、それぞれが英語で行い、参加者からの質問に答えて関連テーマについて議論しました。
香港を主たる研究フィールドとする社会人類学者のマクノートン准教授の報告は、検視官裁判所(Coroner's Court)という日本人には聞き馴染みのない裁判所と、2012年のラマ島船衝突事故を巡る結審までの過程の説明から始まりました。1971年以降で香港では最悪の39名が亡くなった海難事故の裁判は、2025年に"Unlawful killing"、すなわち違法な行為によって人命が奪われたが、殺人と扱うにはあまりにも多くに責任が分散されているとの裁定となりました。マクノートン准教授は、今後もこの事件について法人類学的な視座から検討を進めるとした上で、モンテスキューから始まり、ヘンリー・メイン、マックス・ヴェーバー、ブロニスワフ・マリノフスキらが法人類学に果たしてきた役割や、ポスト・コロニアル時代の法多元主義という概念の発展、そしてそれに対する人類学者の視点と関心を説明しました。
アメリカ文学や英米映画を主たる研究対象とする日影教授の報告は、西部劇とその歴史についての解説から始まり、西部劇的なモチーフが時代や国境を超えて広がっている事例(たとえばPixarのトイ・ストーリーまで含めて)を紹介しました。また、ドナルド・トランプ大統領候補(当時)が2024年7月の暗殺未遂事件の時に示した態度を含め、西部劇によく見られる「男性性(masculinity)」は現代アメリカでも受け入れられているという説明もなされました。その後報告は、アカデミー賞で作品賞を含む4部門で受賞したNo Country for Old Manの紹介と解説、映画撮影術についての解題へと移りました。そして、フィルム・ノワール的な撮影手法によって閉塞感や運命から逃れられないという感覚を提示して「フロンティアでの再起の夢」の不可能性を感じさせ、また「古き良き西部」というナラティブも終わらせたのだと説明されました。
その後総会へと移行し、新年度の役員の変更などが承認されました。
英米文化研究会はすでに30年以上の歴史を持ち、毎年例会や総会を行ない、研究誌『麗澤レヴュー』を刊行しています。同誌は麗澤大学図書館の機関レポジトリーからダウンロード可能です。
昨今、本学内外では授業実践方法などを共有するFDや研究会が増えていますが、それと合わせて教員同士が研究者としてのテーマ関心を知る機会も増やしていくべきだと考えています。総会では、活動の活性化を求める声もあり、学術的な研究会や講演会、イベントなどを今後増やしていく予定です。
(文責:田中俊弘(英米文化研究会庶務・外国語学部教授))














