共創空間研究センター インフォメーション
共創空間研究センターの創設にあたり
1. 設立の趣旨:
共創空間研究センター(英語名:Center for Co-creative Studies, CCS)設立にあたって、3つの狙いがある。
(1)「共創空間開発(CSD)」というイノベーション技法を実践することによって、①一人一人に新たなる気づきをもたらすこと、②このイノベーション技法を体得し、「知徳の心で、共に生き、共に成長する」理念を実現すること、③次世代と未来を共創し、麗澤から全世界に向けて、発信すること。
(2)CCSにおいて、CSD技法を用いた新たなる学問として、「共創学Co-creative Studies、CS」を確立すること。共創学とは、CSD技法を用いて、人間のマインドセット(考え方・感じ方、信念や心構え、価値観、判断基準、思い込みなど)を科学的に吟味・探究する学問である。具体的には、共有価値のあるテーマ、例えば、IKIGAI(日本に逆輸入された生き甲斐)、SDGs、ウェルビーイング、平和などを、共創空間で吟味・探究する。
(3)CSD技法を体得した共創リーダーを育成すること。
「共創空間」とは個々人の意志を尊重しつつ、ことばのキャッチボールをしながら、あるテーマ(例えば教育,平和,AIなど)に対する問いを探し、多様なる答えを探し、真実なるものを探す空間。共創空間では、自己表現だけではなく、自分には見えない盲点(ブランドスポット)に"気づき"がもたらされ、新たなる知見を得る、イノベーション技法。この空間では、1+1=2だけが答えではなく、他の答えもあることを発見する。例えば、一本のローソクの火ともう一本のローソクの火を足しても、おなじ火であるから、1+1は2ではなく、1という答えもある。この空間で"共に創る"対象は、モノ(財)でもなく、コト(サービス)でもなく、カタを創る。カタとは「考え方」「感じ方」であり、これは人生の質(クオリティ・オブ・ライフ)や「生き方」、さらには今日注目されているウェルビーイングにも繋がる。この技法はWHO(世界保健機関)が提唱する10のコア・ライフ・スキル(注)をすべて体得することができる。
(注)問題解決スキル、意思決定(判断力・実行力)スキル、批判的思考スキル、創造的思考スキル、コミュニケーションスキル、対人関係スキル、自己認知スキル、共感スキル、ストレス対処スキル、情動対処スキル。
2.活動内容:
具体的な活動内容としては、以下の8つの領域で、研究・実践する。
(1)麗澤大学の5つの学部(新設された工学部と経営学部を含む)をつなぐテーマ設定と実践。知徳一体の理念の共有化を促進。
高大連携の促進・強化。探究授業の支援ツールとしての活用(麗澤高校:25.4より)。他大学との連携(自主企画ゼミとの共創:神田外語大学など)。
(2)地域(柏市、流山市など)をつなぐテーマ設定と実践。大学の地域連携とタイアップ。
千葉大学予防医学センター(社会福祉)、柏市役所や社会福祉協議会との連携。
(3)世代(ヤング世代とシニア世代)をつなぐテーマ設定と実践。自主企画ゼミでの実施(25.4より)。
ヤング世代は、麗大生のみならず、麗澤高校や近隣の高校にも呼びかける。
(4)海外とつなぐテーマ設定と実践。学部生は、CSD技法を習得したあと、AOTS(海外産業人材育成協会)が主催する海外インターンシップに参加し、キャリア・アップにつなげる。また、教員は、海外の研究・教育機関(米・ハーバード・ビジネス・スクール、タイ・泰日工業大学TNIなど)とオンラインでCSD技法を実践し、研究交流を深める。
(5)図書館を有効活用するテーマ設定と実践。図書館利用者が減少する中で、図書館を活性化するための戦略を実践する。「図書館:自分を変え、人生を変える空間を!」 「図書館ディー」を設け、共創イベントを実践する。
(6)CSD技法を実践できる共創コーディネーター、共創リーダーを養成する。この目的のために、CSD技法による学習カリキュラムを構築する。まず、大学生向けカリキュラムを作成してから、中高生・小学生向けのカリキュラムも作成する。
(7)ウェルビーイング、オーセンティック・リーダーシップ、平和などに関する研究・共創実践(月1回)。音楽と文化をつなぐ共創空間(ピーター・ラフ)
(8)NPO法人の立ち上げ
3.活動開始時期:
2025年4月
4.主な活動場所:
図書館4階(The PIT)
5.研究センターの研究員の構成メンバー(五十音順):
研究センター長:山下美樹(国際学部・教授)、補佐:大場裕之(麗澤大学名誉教授)
石渡秋(フリーライター、NPO設立立案)、Kaushik Chaudhuri(インド・Shiv Nadar University、准教授)、露木かおり(国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)・専門員)、ピーター・ラフ教授、藤野真也(日越大学VJU、JICA専門家、前国際学部・准教授)、目黒昭一郎(経済社会総合研究センター・客員教授)、永井四郎(麗澤大学名誉教授)
新規メンバー:黒須里美(国際学部・教授、図書館長)、宮下和大(国際学部・教授)、ヨネスク・マグダレーナ(国際学部・准教授)、三谷夏美(麗澤高校・中学メディアセンター、司書教諭)、内田加奈美(神田外語大学・講師)、ソニア(SONIA ELISA DA COSTA MAPANGA NHALUNGO、モザンビーク政府・首相官邸補佐官)、諏訪部正孝・横田 比呂志・佐竹正彦(麗澤オープンカレッジ)、森基(流山市ゆうゆう大学・生涯大学、小学校特別支援学級介添員)
6.これまでの実績:
このCSD技法は、大学(学部・大学院)・図書館4F(The PIT)や学会、公的研修機関や政府(経産省・外務省)、さらには地域の市民大学(麗澤オープンカレッジ、流山市ゆうゆう大学)や高校等で実践しており、かなりの成果を収めている。まさに、この技法は国境を越え、世代を超えて通底する真実の愛に根ざした技法。経済産業省が支援する人材育成機関であるAOTS(海外産業人材育成協会)では、アジアおよびアフリカ・中南米の経営管理者やJICAの国費奨学生として日本に滞在しているアフリカ人留学生など対して実践し、好評を得ている。(下図の写真を参考のこと)。
図書館4F(The PIT)での共創実践(2025.1.9)
AOTS・JICAの研修(2024.2.5~2.9)での「伝統」に関する共創風景
麗澤オープンカレッジでの共創風景(2024.02.15)
ウェルビーイング=自分にとって"よい存在"・・・・・・・・テーマ:「あこがれている存在」
➨自分にとって、「あこがれている存在」は人ですか、それとも、人以外ですか? (ヨコ軸)
それは(その方)は、自分の人生、生き方にとって大切ですか? (タテ軸)


【参考】「共創空間」とは何か
「共創空間」とは、多様な"(モノでもサービスでもない)カタ(考え方・感じ方⇒型)"を共に創る自由な場。"カタ"の源泉である自らの理性と感性が刷新され、他者との関係性の中で生かされていることに気づく場です。この場を開発する技法を共創空間開発技法(CSD)と呼んでいる。
この技法は、異なる価値観を持つ人々が協働することによって、共有知を発見し、個人および集団にとっての創発効果・相乗効果<気づき>をもたらすイノベーション技法(図1)です。また、この技法は、共創空間を体験することによって、自らの盲点に気づき、自由意志に基づき(強制ではなく)、マインドセット<思い込み>をカイゼンする技法(図2)でもある。
CSDを体験することによって、コア・ライフスキルを習得し、永遠の愛に至る道を発見できる。
<理性・感性を刷新する>イノベーション技法
注:理性には合理性(損得)・論理性だけではなく、倫理性(善悪)も含む。また、感性は、好き・嫌い、直観などをさす。義務的判断、律法的判断などはDゾーンで行う。
マインドセット<思い込み>をカイゼンする技法
この技法では、あるテーマ(認識対象)に対する自分の考え方・感じ方を「見える化(客観視・共有化)」するだけではなく、認識主体である自分の価値観や固定観念に光が当たり、「自らの盲点に気づくこと」の意義(意味)が、図2に示されている。
あらゆるテーマ・トピックについて、他者から学ぶか否かという判断軸(ヨコ軸上)と自分を吟味するか否かという判断軸(タテ軸上)から形成される「共創空間」に入ると、本当の自分とは一体何者なのか、という問いに向き合う。この問いに対する多様な答えから自分の正体に気づく。本当の自分とは、高ぶる自分、盲目な自分、殻に閉じこもる自分、無関心・孤独な自分であり、そのような自分であっても、愛されているという真実に気づくこと。
共創空間は、「One for All,All for Oneの空間」、「モチベーションが向上する空間」、「自分と向き合う空間」、「真理(永遠の愛)に対して拓かれた空間」である。
私たちが神を愛したのではなく、神が私たちを愛し、私たちの罪(隔ての壁)のために、なだめの供え物としての御子(イエス)を遣わされました。ここに愛があるのです。 (聖書、第1ヨハネ4-10)
Hiroyuki Oba, Professor Emeritus, Reitaku University, Japan + Co-creative team