お知らせ
2020年度 外国語学部「卒業研究コンテスト」受賞論文について
2020年度卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。
毎年恒例となった外国語学部の「卒業研究コンテスト」は、今年で第10回目を迎えました。今年は新たな試みとして、英語の卒業コンテストも併せて行われ、9点の日本語論文と6点の英語論文が推薦されました。新型コロナウィルスの感染が拡大する中で、就職活動をしながらの資料集めや調査、ゼミ担当教員とのチュートリアルなどにおいて、平常時通りとはいかない難しさもあったかと思われます。
推薦された論文は、英文学、英語学、英語教育学、社会学、政治学、言語学、ジェンダー・スタディーズ、文化研究まで多様性に富み、皆さんそれぞれの4年間の学びの集大成といえるものでした。総勢11名の審査員による厳正な審査の結果、最優秀賞2点、優秀賞2点、佳作2点が選出されました。賞は、卒業式当日に学位記とともに受賞者に授与されました。本当におめでとうございます。
審査員一同
最優秀賞(2点)
田上 玲奈(英語・コミュニケーション専攻, 橋本富太郎ゼミ)
「寄木細工のこれまでとこれから」
本論文は、主に神奈川県の箱根と小田原に展開する伝統工芸品「寄木細工」について、その歴史や作り方、担い手などに焦点を当て、後世に残すための方法を検討した。研究を始めた当初の1年次は、200年以上続く寄木細工の歴史を追い、若手職人へのインタビューを通して得られた「後継者不足問題」にフォーカスしていた。しかし、4年次に行った他の若手職人数名へのインタビューや新型コロナウィルスの影響、および文献渉猟の結果、問題点は後継者の「不足」よりも「育成」にあることが明らかになった。そこで、職人の卵の育成において障害となる工房の事情を抽出し、育成環境の改善の糸口となる策を模索するとともに、寄木細工の伝統工芸品として終わらない価値や可能性を提示した。
【ゼミ担当教員から】この研究は3年以上にわたり、文献の精査はもちろんのこと、職人さんへの聞き取りや自ら制作を試みるなどの現場を重ね、多方面から「寄木細工」に迫った大作といえます。コロナ禍に苦労しつつも、生きた資料を自身で収集し、それをまとめ上げたことによって先進的で独自性の高い論文となりました。このような点が評価されたことをとても嬉しく思います。
富澤 彩華(英語・コミュニケーション専攻, クリスティ・コリンズゼミ)
"Montgomery and Alcott: the authors and their female protagonists"
The late 19th century novels "Little Women" and "Anne of Green Gables" have been loved by many people. In this thesis, I considered what kind of works these novels are from the perspectives of education, relationship / marriage, and employment, and explored how the life experience of the author influenced the creation of the work at the time the authors wrote them. These two novels were produced in the same period, and the two main characters, Anne and Jo, have in common that they do not focus on romance and are not influenced by the opinions of those around them, and they keep pursuing their dreams. On the other hand, there is also the point that the authors' countries are different. I wondered how the relationship between the novels and the authors' different cultural/national backgrounds affected the novels, so, for these reasons, I wrote this thesis.
【ゼミ担当教員から】It has been a pleasure and a privilege to teach Ms. Tomizawa over the past few years, and I have consistently been impressed with her hard work and academic curiosity in all our courses. In our seminar course, she always read deeply and broadly, and shared her opinions and ideas with the class. I knew that she would do an excellent job with her thesis project, but her work in comparing Alcott and Montgomery, and their beloved female protagonists, even surpassed my own high expectations. Congratulations, Ayaka, on an exceptional thesis--I am so proud of your accomplishments, and I wish you all happiness and success with your future endeavors!
優秀賞(2点)
小俣 元稀(※1 ドイツ語・ドイツ文化専攻, 瀬川真由美ゼミ)
「SNS上で使用される「笑」の機能分析」
菅野 翠(※2 国際交流・国際協力専攻, 野林靖彦ゼミ)
「廃墟の記号論-概念的実体性と時間性について」
佳作(2点)
楊 邵予(※2 国際交流・国際協力専攻, 黒須里美ゼミ)
「変わりゆく女性の自立〜日本と韓国を例に〜」
吉田 雅(英語・コミュニケーション専攻、マグダレーナ・ヨネスクゼミ)
"Cosmopolitan Localism: for good societies which make people happy"
※1 2021年度入学者よりドイツ語・ヨーロッパ専攻に名称変更
※2 外国語学部 国際交流・国際協力専攻から、2020年4月より国際学部にて新設
学部長から皆さんへメッセージ:
「卒業研究コンテスト」受賞者の皆さん、おめでとうございます!コロナ禍で文献調査もままならない中、このように素晴らしいレベルの論文を仕上げてくださった皆さんの力に感服しました。物事を知的に探求する方法を追求する喜び、自らの疑問にこだわり、深く掘り下げる経験をする意義は、大学生活を締めくくるこの大きな仕事の対価として、皆さん充分感じられたことと、論文を読んで確信しています。今年度初めて行われた英語論文の審査でも、そのレベルの高さに驚かされました。
外国語学部の多様な学びを反映した皆さんの成果を、来年以降後輩たちが受け継ぎ、さらに発展させてくれることを、期待していてください!皆さんのこれからの活躍を期待しつつ、心からの祝意と敬意を表します。
外国語学部 学部長 千葉庄寿