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2016.12.09|最終更新日:2020.07.30|

山下ゼミにて第4回ヒューマンライブラリ開催

山下ゼミ第4回目のヒューマンライブラリでは、平成28年11月15、22、29日の火曜日3週連続で、ROCK会員の方々とのコラボで『世代を超えて:語りの交差点から見えてくるもの』と題し、麗澤大学生涯教育プラザにて開催しました。ROCK会員の方々とゼミ生の年齢差は40歳~60歳と大幅に異なる世代差がありましたが、ROCKの会員の方々のはつらつとされた精神に圧倒されました。また人生の大先輩方の語りからたくさんの知恵を伝授していただきました。

ヒューマンライブラリとは、2000年にデンマークで発祥した、多種多様な語り手からお話を聞き、対話から異文化を学ぶイベントです。人が「本」(語り手)となり、さまざまな人生体験を語ります。読者(聴き手)は本(語り手)から30分間、1対1(1対5まで可)で話を聴き、自分自身についても考えることができる体験型イベントです。私たちのゼミでは、「異文化を学び、私たちを取り巻く社会と世界を包括的に考える」、「新しい自己発見」、「"いかに生きるか"を考える」、の3つを目指し実施しています。

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初日の11月15日には、ゼミ生12名が「本」として人生について語り、ROCK会員の方々8名が「読者」として本の語りに傾聴しました。この日のためにゼミ生たちは、自分たちの人生を語る練習を数回行いました。自分のことを語ることは非常に勇気の要ることですが、それぞれが立派なあらすじを作成し、当日に備えました。ROCK会員の方々の感想には「孫の世代の学生たちと真剣に話をすることができてよかった」、「現代の若本たちは一所懸命生きているという印象を持った。私たちが若者を支援していく必要性を感じた」、「自分のプライベートな話を赤裸々に語ってくれて、心の中で涙を流しながら聞いていた」などがありました。ゼミ生たちからは、「本として語ることは緊張したが、皆優しく聴いてくれた」、「ROCKの方々の話を聴いてみて、昔は自由がない環境だったが、それだけに目標や夢があった。今は苦労がない分、夢や目標をもって生きていく人が少ないのではないかと思った」、「普段、自分のことを話すことがないため、今回本となり語ることで、良い経験になった。昔を振り返りながら準備をしたので懐かしい気持ちと、あの頃の経験があったからこそ今の自分がいるんだなとしみじみ思った。」という意見がありました。

次週の2回目、11月22日には、ROCK会員7名の方々が、人生について語る練習をワークショップ形式で行いました。語り手の中には感極まり涙を流しながら語る方や、これから自分たちでヒューマンライブラリを運営してみたい意見なども出ました。

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最終日11月29日には、ROCK会員7名の方々が「本」となり語り、学生が「読者」として語りに傾聴しました。当日は語りのセッションを2回行うことで各学生が二名の「生きている本」を借りることができました。その後、「ワールドカフェ」の手法を使い、ROCK会員の方々7名とゼミ生10名が、当日の振り返りとして、この3週間のヒューマンライブラリセッションの語りから「心に響いた言葉」についてまとめました:「昔の人は強い」、「Face to face contactの大切さ」、「今できることを一生懸命やる」、「自分自身を輝かせる仕事とは、人の役に立つ仕事」、「(学生たちよ)世界へ羽ばたけ」、「若きは宝物、引っ込み思案はやめよう」、「異文化交流・人間交流」、「幅広い体験」、「熱心に話を聴いてくれることがうれしかった」、「図太く 自分の未来を考える。気にするな!」など勇気の出る言葉で作業用の模造紙が埋められていました。

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ヒューマンライブラリーの元来の目的は、社会的マイノリティーに対する偏見の低減・異文化理解ですが、今回は、世代の異なるゼミ生とROCK会員の方々の語りの共創を目的に開催しました。ゼミ生たちは、時代背景が違うことで、こんなにも生き方が違ってくるのかということを思い知らされた様子でした。また、近い将来就職を控えている4年生などは人生の大先輩が人生を生き抜いてきたご経験から、「もっと勇気を持って、失敗したっていいんだよ。一度しかない人生思い切りやってみなさい」というエールをいただき、「泣きそうになった、まるで、カウンセリングを受けているようにも感じた」という感想もありました。ここに「癒し」のみならず、「励まし」という心のサポートが確認されました。ヒューマンライブラリは世代を超えて双方向に効果のあるものだといえるでしょう。

今年度1学期の「海外で活躍する起業家・活動家から聴く」のヒューマンライブラリに引き続き、2学期の平均年齢70歳以上の方々から聴く「世代を超えて:語りの交差点から見えてくるもの」のヒューマンライブラリでは、人生の大先輩方にゼミ生たちの話も聴いていただき「語りのエクスチェンジ」ができました。そのため、お互いを深める双方向の語りができ非常に有意義でした。最後に、本イベント開催後のゼミ生たちとの振り返りの中で、ROCK会員の方のおっしゃっていた「一生勉強」という言葉が、「生きる」意味を表わしているという気づきがありました。本イベントにご協力いただきました関係者の皆様に心より感謝申しあげます。(経済学部・准教授 山下 美樹)