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2018.11.28|最終更新日:2020.07.31|

【開催報告】ROCK特別講演会2018後期第2回:横田拓也氏 ご講演

2018年11月17日(土)10:00~12:00
講 師:横田 拓也 氏(北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長)
テーマ:拉致問題を考える
参加者:105名

岩澤カレッジ長

岩澤カレッジ長

平成30年度麗澤オープンカレッジ特別講演会(後援:千葉県教育委員会、柏・流山・松戸・我孫子・野田各市教育委員会および柏商工会議所)の後期第2回を11月17日(土)に開催しました。北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長である横田拓也氏を迎え、「拉致問題を考える」と題してご講演をいただきました。清々しい秋の風が頬に快い天気の中、当日は105名の方々が会場に集まり、横田氏のご講演を熱心に聴講されました。

岩澤カレッジ長は講演に先立ち、横田氏は拉致被害者の横田めぐみさんの実弟であること、拉致されたのは41年前で、現在までどれほどのご苦労をされてきたかは言葉では言い表せないと語り、拉致問題は一家族の悲しみの問題ではなく、国家レベルのテロリズムであり、日本が国家としてこれにどのように立ち向かうかを、我々国民一人一人が考える契機としたいと、会場に提起しました。

横田拓也氏

横田拓也氏

講演会は横田めぐみさんの拉致事件の概要を理解しやすいように政府が制作した映像放映から始まり、その後、政府がまとめた拉致問題概要資料を基に、これまでの問題の経緯を時系列でご説明頂きました。 1987年11月におきた大韓航空機爆破事件を契機に北朝鮮による拉致事件が明るみに出たこと、2002年の日朝首脳会談までは「拉致問題」ではなく「拉致疑惑」という表現が使われていたこと、めぐみさんが居なくなってから2002年までの25年間、日本政府が何も動かなかったこと、2002年10月に5名の拉致被害者の方々が帰国された際に、誰が帰国するかは事前に知らされていたけれど、それでも姉・めぐみさんの姿をじっと期待していたことなど、一つ一つのお話から当時の様子が鮮明に伝わってきました。

また、2006年4月から「家族会・救う会・拉致議連」による訪米が始まり、横田さんたちは当時のブッシュ大統領や国防総省要人などとの面会を契機に、米国上下院公聴会や国家安全保障会議、国連でも要人との面会を重ね、拉致問題の残酷さを伝えてこられました。それらの繋がりから、2017年6月にはトランプ大統領が国連総会の演説で拉致問題に触れたことで、一層米国でも拉致問題への関心や理解が広がっていったそうです。その一挙手一投足に世界の注目が集まる米国のトップが、他国の一般人のことに触れるのは異例中の異例で、米国は正義のために戦う者に対しては深い理解があること、これらのたゆまない努力が積み重なり、日米両国による北朝鮮への圧力につながったことを強調されました。こうした家族会による米国での活動が華々しく報道される一方で、その移動中には「この訪米に何か意義があるのだろうか、姉は普通の生活を送っているのか」といつも不安になることも吐露されました。

横田さんのご両親は一人でも多くの方々にこの問題の深刻さを伝えるべく、これまで1,300回以上の講演を国内外で行なってこられました。「両親も高齢となり、41年間頑張ったが、姉との再会は叶わないかもしれない。しかし、今が勝負時。13歳のなんの罪もない子供を拉致し、偽遺骨まで提示するような国との外交は、よほど慎重に進めるべきであることを、一人でも多くの方に理解してほしいし、この問題を風化させるわけにはいかない。姉が拉致されてから日朝首脳会談までの25年間、人権蹂躙・領土侵犯とほとんど戦争行為に近いことをされていながら日本政府が無策であったことも、この問題が長引いた大きな原因である。これは拉致被害者家族だけの問題ではなく、日本国民全体に降り掛かった大きな問題であることを理解してほしい」と力強く語られました。

最後に、「我々家族会にとっての武器は言葉でしか無く、このように講演会で伝えることしかできない。だからこそ、今日感じたことを皆さんの周りの人に伝えてほしい。情報を受け身で捉えるだけでなく、正しい情報を自ら選びとってほしい。残酷な現実を理解してほしい」「これからの時代は、受身外交ではなく、言うべきことは率直に言う政治家が必要。そのためには、それを選ぶ国民の存在が求められる。この問題を国際政治の場で発言し続けないと、いつまで経っても日本をとりまく状況は変わらない」とまとめられ力強く発信されたお姿は、会場に集まった皆さんの心を大きく動かしました。

特別講演会・後期は次回で終了です。文化人類学者・静岡大学人文社会科学部教授の楊海英(よう かいえい)<日本名:大野 旭(おおの あきら)> 氏をお招きし、「ユーラシアのモンゴル草原から見た中国と日本」と題し、年明け後の2019年1月26日(土)開催予定です。

※毎年12/10~16までは「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」です。本日冒頭で上映したDVDの内容は拉致対策本部HP内でもご確認いただけます。(上映時間20分)
http://www.rachi.go.jp/jp/megumi/index.html

■前回の特別講演会の様子
2018年10月20日(土)かとうかず子氏・俳優「出会うこと 知ること 俳優ということ」

ROCK事務室