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教育・研究
2025.07.30

【開催報告】防衛省陸上自衛隊2等陸佐 川岸卓司氏による特別講義を実施しました

 2025年7月16日(水)、工学部の大澤義明教授が担当する講義「社会システムのデザインと技術」において、防衛省陸上自衛隊 陸上幕僚監部 装備計画部所属の2等陸佐 川岸卓司氏をゲストスピーカーに迎え、特別講義が行われました。第13回目となる今回の講義テーマは「エンジニアのキャリア形成」。現場での経験に裏打ちされたリアルな語り口に、学生たちは真剣な表情で耳を傾けていました。

 講義の冒頭では、エンジニアとしてのバックグラウンドに加えて「なぜ自衛隊に入隊したのか」「辞めたいと思ったことはなかったのか」「どのように困難を乗り越えてきたのか」といった問いを導入に、川岸氏がこれまでのキャリアを振り返りました。ご自身の経験を率直に、時にユーモアを交えながら語る姿に、教室の雰囲気は一気に引き込まれていきました。

 続く講義では、自衛隊での具体的な職務経験をもとに、「自分の中でできること・やり方・進め方の理論を確立し、それを他分野でも応用可能にしていく」という実践的な姿勢が語られました。与えられた業務や責任の中で、自分が果たすべき役割をどう見出すか、そのための「考え方のフォーマット」が紹介され、学生たちは将来を見据えながら、自らに置き換えて考える様子が見られました。

 講義の最後には、「自分のやりたいことが一生続くとは限らない。でも、やってみたいことを少しずつ増やしていけば、いずれそれが花開く。同じ仕事でも、それを楽しめるかどうかは考え方次第。自分にとって大切なことに優先順位を持つ習慣をつけてほしい」という、学生たちへの温かく力強いメッセージが贈られました。

 講義終了後には、学生たちが取り組んだ事前課題「Society5.0の視点から、地域を活性化させるための施策を提案する」に基づき、それぞれのアイデアが発表されました。たとえば、北海道天塩町を対象に選んだ学生は、同町の人口構成や"またぎ人口"をデータで可視化し、人口減少の現状を提示。その上で、広大な自然や地域の温かさに着目し、「SNS疲れ」や「自然に癒やされたい」と感じる若者にとって理想的な環境であると位置づけ、地方留学の実施を提案しました。さらに、工学的なアプローチとして、若者のニーズと地域資源とをマッチングさせる仕組みの開発にも言及。自身のアイデアと実装への道筋を、具体的に構想していました。これに対して川岸氏からは、実務的な視点からのフィードバックが寄せられ、活発な意見交換が行われました。

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      川岸 卓司 氏
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      講義の様子
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      発表する学生の様子
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      2025年7月16日付で、川岸氏は麗澤大学客員准教授に就任しました