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教育・研究
2025.10.17
【開催報告】台湾「有事」シミュレーションの特別講義
国際学部の「国際情勢分析上級A」(阿部亮子准教授)で、兼原信克特別教授の講義が実施されました。講義では、まず、日中関係と台湾の歴史が説明されました。明治維新による「日本人」アイデンティティーの確立、民主主義と産業の発展、日中戦争、蒋介石が台湾に逃れたこと、中ソ対立、毛沢東の文化大革命、冷戦終結後の中国の改革開放、胡錦涛と江沢民の政治、習近平の登場、台湾の地形、児玉源太郎と後藤新平による台湾の統治や民主化の歴史が説明されました。
その後、仮に台湾統一に、軍事力が行使された場合の日本社会への影響の想定が紹介されました。人民解放軍の軍事演習の実施、米国における情報機関の大統領への報告、株価や円の暴落、外国籍の民間船舶が南シナ海を迂回し、ロンボク海峡以東を通るようになると、エネルギーや食糧を輸送している商船の海運保険を含む輸送費用が高額になること、海底ケーブルが切断され、衛星通信以外の通信が使用不可になるなど、日本社会へのリスクがあること、人民解放軍の着上陸作戦は難しいと思われること、日本の中小企業の備えに課題があるといった見解が示されました。
授業終了後には、台湾の淡江大学に留学経験のある学生と兼原先生との間で、台湾の文化についての意見交換も行われました。兼原先生は、2月に、「世界地域社会論-日本の外交-その歴史と課題(安全保障を中心に)-」の集中講義も予定しています。