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教育・研究
2025.11.11

【開催報告】廣池学園創立90周年記念特別講演「道徳と持続可能な開発目標(SDGs)―混沌とした世界で若者が取るべき実践的な一歩―」

 2025年11月6日(木)、廣池学園創立90周年を記念し、「SDGsと道徳」の授業の一環として特別講演が開催されました。講師にはナイジェリア・モラロジー研究協会理事長であり、麗澤大学道徳教育センター客員教授のオボンナ・サミュエル・オニーシ博士をお迎えしました。博士は、世界的な視点から「道徳」と「持続可能な開発」の関係を熱く語り、学生たちに深い示唆を与えました。

 冒頭、オニーシ博士はSDGsを「人間の尊厳と正義を守るための世界的誓約」と位置づけ、現代の不平等や環境問題が道徳的判断を揺るがす中で、若者こそが変化を生み出す「道徳的主体」であると強調しました。また「誰一人取り残さない」という理念のもと、包摂や思いやり、公正といった価値が持続可能な社会の基盤であり、「道徳は持続可能性の魂である」と述べました。

 博士はさらに、誠実さ・説明責任・透明性といった倫理的価値がSDGs達成の鍵であると指摘し、気候変動や責任ある消費を「未来世代への道義的義務」として位置づけました。若者の役割については、誠実なリーダーシップやグローバル市民としての行動、環境保護や平和構築、社会的弱者との協働など七つの実践的ステップを提示し、「真実を語り、橋を架け、地球の管理者となる勇気を持ってほしい」と呼びかけました。

 講演後の質疑応答では、「学生時代に学ぶべきモラロジーとは」「フェイクニュースへの責任」「道徳と経済活動の両立」など、学生から活発な質問が寄せられました。オニーシ博士は一つひとつ丁寧に応じ、道徳的判断力を磨く重要性を強調。参加者は、道徳的勇気を行動に移すことの意味を実感していました。

 本講演は、混迷する時代における「道徳」の力を改めて問い直し、学生が自らの「実践的な一歩」を考える契機となりました。

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 Population Studiesにもご参加いただきました

 2025年11月4日(火)、国際学部の科目であり、学部横断型英語プログラムUNIP(Undergraduate International Program)の一つでもある「Population Studies」では、オニーシ博士をお迎えし、交換留学生を含む約10カ国出身の学生たちと、出生力転換(fertility transition)をテーマに討論を行いました。

 「子どもがほしいか、それはなぜか」をきっかけに、社会・経済・文化が出生行動に与える影響をめぐって議論が白熱。オニーシ博士は「子どもは神からの授かりものであり、持たないことはタブー視される」というナイジェリアの価値観を紹介され、学生たちは文化的なギャップに驚きつつも、多産多死から少産少死へと移る社会のリアルを実感する時間となりました。

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