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教育・研究
2025.11.10

【開催報告】廣池学園創立90周年記念特別講演「グローバル地域研究:日本とアフリカの経済関係の現状と展望~混迷する世界の中で若者に期待するもの」

 2025年11月5日(水)、廣池学園創立90周年記念特別講演「グローバル地域研究:日本とアフリカの経済関係の現状と展望〜混迷する世界の中で若者に期待するもの~」を開催しました。講師にはナイジェリア・モラロジー研究協会理事長、麗澤大学道徳教育センター客員教授のオボンナ・サミュエル・オニーシ氏をお迎えし、堀内一史特別教授による通訳で実施されました。

 本特別講演は、堀内一史特別教授が担当する授業「国際地域研究入門」にて行われ、学生たちは国際的視点を学ぶ貴重な機会となりました。

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 講演では、「Perspectives on Japan-Africa Relations(日本とアフリカの関係:ODAなどによる発展支援)」「Comparative Analysis of Japan and Africa(日本とアフリカの比較:国数・人口・GDP・言語・民族)」「Japan and Africa Continent at a Glance(日本とアフリカ大陸の概観)」「Historical Evolution of Japan-Africa Economic Relations - The TICAD Series From One to Nine(日本とアフリカの経済関係の歴史的発展 ― TICAD第1回から第9回まで)」といったテーマを通して、データと歴史の両面から日本とアフリカの経済関係が解説されました。

 オニーシ氏は、日本とアフリカの経済関係が1950年代に始まり、他国が資金支援を中心とする中で、日本はアフリカ諸国の「自立支援」を重視してきたことを強調しました。単なる援助ではなく、互いの尊重と協働による「WIN-WINの関係」を目指してきた姿勢を紹介しました。

 さらに、経済関係を超えた「文化資本(Cultural Capital)」と「道徳資本(Moral Capital)」の重要性についても述べました。文化資本については、社会学者ピエール・ブルデューの理論を引用し、「文化資本とは、人が社会的成功や社会的地位の向上を目指す際に活用できる社会的資産のことであり、現代社会で成功するために必要な"ツール"を与えてくれる重要な要素である」と説明しました。一方で、道徳資本は人格の卓越性や美徳を持ち、それを実践する力を指し、経済関係を支える人的要因であると述べました。

 講演の最後には、「日本とアフリカの間には、まだ互いに知らないことが多く、それが"見えない壁"となっている」と指摘し、「この壁を壊すためにも、文化交流を通じて相互理解を深めることが大切である」と呼びかけました。

 締めくくりとして、日本・アフリカ両国の若者に向けて「文化交流や共同プロジェクトを通じて互いを理解し、サステナブルで強固な関係を築いてほしい」とメッセージを送りました。学生たちは、日本とアフリカの関係を経済だけでなく文化・道徳の観点から捉える視点の重要性を学び、熱心に耳を傾けていました。