お知らせ
【開催報告】千葉県主催「若者と一緒に考える地域活性化セミナー」を開催しました
2025年11月18日、千葉県主催「若者と一緒に考える地域活性化セミナー」を、本学工学部の授業「麗澤流エンジニアB」(担当:大澤義明教授・須永大介准教授)の一環として開催しました。本セミナーは、人口減少社会における地域の現状を理解し、若者が自らの将来(ライフデザイン)や地域社会との関わりについて考える機会を提供することを目的に、県内の大学等で実施されているものです。当日は、本学工学部の学生115名が受講しました。今回は、前熊本県知事で本学特別招聘教授の蒲島郁夫氏を講師にお迎えしました。なお蒲島氏は、本年11月3日に発表された秋の叙勲において「旭日大綬章」を受章されています。
冒頭の趣旨説明では、須永准教授より、地域活性化の基本的視点として全国および千葉県の人口推移が示され、2050年には居住地域の約5割が少子高齢化地域となる見込みであることが説明されました。また人口減少に対し、人口戦略会議の提言を紹介し、
続く講演では、蒲島氏が「逆境の中にこそ夢がある」という自身の信念を軸に、これまでの歩みと地域づくりへの考えを語りました。高校卒業後に地元の農協で働いたこと、21歳で農業研修生として米国に渡り、厳しい牧場勤務のかたわらネブラスカ大学での学科研修で"学問の喜び"に出会ったことが紹介されました。その後、働いて渡航費を貯め再渡米し、ネブラスカ大学農学部に条件付きで入学。研究に没頭するなかで新たな夢として政治学を志し、ハーバード大学へと進み博士号を取得したという、挑戦の連続の道のりが語られました。
研究者としてのキャリアを経て、61歳で熊本県知事に就任。県政では「創造的復興」を掲げ、「県民の総幸福量の最大化」を政治の目的とする"蒲島理論"のもとで熊本地震からの復興に取り組んだ経験に触れました。また、逆境からの復興を成長につなげていくうえで、「不可能を可能にする」という自身の思いを貫いてきたことも紹介されました。

セミナーの趣旨と人口減少の現状について説明する須永大介准教授
自身の経験を交え、地域づくりについて語る蒲島郁夫氏の講演
パネルディスカッションでは、工学部2年次生の大塲史温さん、阪本飛夏さん、佐伯果音さん、下平優和さんが登壇し、講演を受けての疑問や関心をもとに意見を交わしました。「音楽業界で成功したい」という夢へのアドバイス、逆境でのモチベーション維持の方法、地域の違いに応じた働き方の工夫、外部の人との出会いをつくるにはどうすべきかなど、多様な質問が投げかけられ、蒲島氏が経験を踏まえて丁寧に回答しました。
あわせて、「地域とどう関わるか」というテーマについて、4名それぞれが自身の経験や思いを語りました。
● 大塲史温さん
工学部に先輩がいない環境の中、筑波大学院生と行ったフィールドワークの経験を交えながら「現地に行くからこそ得られるものがある」と語り、地域課題に向き合ううえでの"現場の学び"の重要性を強調しました。
● 阪本飛夏さん
遠方の地域を実際に訪れた経験から、「足を運ぶことで地域の空気や課題を肌で感じられる」と述べ、地域を理解する第一歩として、行動する姿勢の大切さを共有しました。
● 佐伯果音さん
「場所や年齢を問わず多様な人と交流し、地域に貢献したい」と、自らの将来像を語り、多世代・多地域とのつながりを積極的につくっていく意欲を示しました。
● 下平優和さん
自身の住む地域だけでなく、より過疎化が進む地域にも視野を広げ、「治安を守る地域活動に携わりたい」という具体的な目標を示しました。
ディスカッションの最後には、蒲島氏より「未来のエンジニアに期待すること」として、夢を持ち、逆境を前向きにとらえて挑戦し続ける"楽観性"の重要性が示されました。また、一人ひとりが社会への貢献のあり方を考え、一歩踏み出すことで社会はより良くなるとのメッセージが学生に送られました。
閉会にあたり、千葉県総合企画部政策企画課政策室 副主幹の石崎優孝氏より、「学生が現地での体験や地域の人との交流を通じて確かな成長を遂げていることを実感した」との講評がありました。急速な人口減少と高齢化が進むなか、地域課題や将来像を考える機会として本セミナーが有意義であったことが述べられました。
最後に徳永学長より、「本セミナーを出発点として、地域を良くしようという気持ちをさらに高め、本学が掲げる"世界と地域に貢献するグローカル人材"として成長してほしい」とのメッセージが贈られ、セミナーは盛会のうちに終了しました。

パネルディスカッションの様子
工学部 佐伯果音さん

工学部 下平優和さん
講評を行う千葉県総合企画部政策企画課政策室 副主幹・石崎優孝氏

旭日大綬章受章を祝し、学生代表から蒲島氏へ花束を贈呈
セミナー終了後、登壇者と学生で記念撮影











