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2026.03.04

【開催報告】情報系研究発表会「ReIDAC2025-2026」を開催

2026年2月12日(木)、第25回目となる研究発表会「ReIDAC」を開催しました。今回も会場(校舎さつき3101教室)とYouTubeのハイブリッド形式で実施し、多くの方々にご参加・ご視聴いただきました。 本年度は、1年生2件、2年生4件、3年生2件、4年生7件に加え、高知の明徳義塾高校と麗澤高校からそれぞれ1件ずつ、合計17件の発表が行われました。どの発表も非常に高い完成度を誇り、発表者それぞれが自身の研究成果を熱心に説明し、質疑応答でも活発な議論が交わされました。 会場では、発表を通じて学年間の交流が深まり、また、YouTube配信を通じて遠方の参加者にも研究内容を広く届けることができ、より多くの方々に本研究発表会の意義を共有する機会となりました。また、高校生においても「大学で研究した成果を発表する」という貴重な体験ができたのではないかと考えております。 そんな大変盛り上がりの見せた発表の中から、いくつかピックアップしてご紹介いたします。紹介しきれなかったものはReIDACホームページに原稿とスライドを用意しております。そちらでもぜひ、高校生・麗大生たちが情熱を注いで作り上げた力作ぞろいの発表をご覧いただければと思います。

消費者にサステナブル行動を促す訴求方法の研究

経済学部 経営学科 経営専攻 3年 宮部 幸大
経済学部 経営学科 経営専攻 3年 岩崎 将也
経済学部 経営学科 経営専攻 3年 宮田 真吾
経済学部 経営学科 経営専攻 3年 松井 大翔

指導教員:土田先生(紹介文執筆)

サステナビリティは、現代の企業戦略において重要な課題である。しかし、消費者に対してそれをどのように訴求すれば効果的なのかについては、必ずしも一致した見解が得られていない。既存研究では、自己利益を強調すべきか社会規範を訴えるべきか、あるいはポジティブな表現が有効なのか、ネガティブに不安を喚起する方が効果的なのかなど、相反する知見が報告されている。 本研究では、フードロス削減を題材とし、訴求メッセージの違いが消費者の態度や行動意図に与える影響を検証した。具体的には、自己利益訴求と社会規範訴求、さらにポジティブ訴求とネガティブ訴求を組み合わせたキャッチコピーを作成し、全国調査によってデータを収集・分析した。その結果、自己利益を強調するメッセージの方が、社会規範を強調するメッセージよりもフードロス削減への協力度を高めることが示された。また、ポジティブな表現はネガティブな表現に比べて協力度を高めるだけでなく、店舗に対する態度にもより好影響を与えることが明らかとなった。 以上の結果から、外食企業がフードロス削減を訴求する際には、「正しさ」や「責任」を前面に押し出すよりも、個人にとっての具体的なメリットを示し、前向きな感情を喚起する表現を用いることが、行動促進とブランド価値向上の両立につながる可能性が示唆された。

麗澤大学周辺地域で育つ子どもの体力を"見える化"する -地域イベント型スポーツテストは健康リスクの早期発見につながるか-

経営学部 経営学科 スポーツビジネス専攻 4年 後藤 優斗

指導教員:福田先生(紹介文執筆)

本研究は、モラロジー道徳教育財団と連携し、麗澤大学周辺地域住民130名以上の実測データを得た点に大きな価値があります。 分析では単なる平均値の比較に留まらず、Zスコア等を用いて「ばらつき」を可視化し、潜在的な健康リスクを浮き彫りにしました。 平均では見落とされがちな「低体力層」の存在を明らかにした本成果は、実社会におけるデータ活用において重要な意義を持ちます。 効率的な統計処理が可能な現代だからこそ、数値の背後にある事象と実直に向き合うプロセスを習得することは、真の課題解決に不可欠です。

第四種踏切安全化によるアクセシビリティ改善効果 -関東鉄道常総線を対象に-

工学部 工学科 情報システム工学専攻 2年 大場 史温

指導教員:大澤先生(紹介文執筆)

生成AIの急速な進展は、人間の役割と教育の意義を根源的に問い直している。既存の知識の組み合わせや統計処理が自動化される時代において、人間にしか担えない営みとは何か。本発表は、その問いへの実践的応答として位置づけられる。本学と協定を締結している関東鉄道との連携のもと、昨年5月の常総線における現地調査、11月の同社部長による講義を通じて、現場の葛藤と制度的制約を直接的に把握した。本発表は、その現場課題から立ち上がったものである。
地方に多数存在する第四種踏切は安全性の名のもとに制度的縮減を迫られている。第一種への格上げか、廃止か。しかしこの二択自体が、地方鉄道を疲弊させ、地域の生活基盤を弱体化させている。格上げは莫大な費用を要し、経営を圧迫する。廃止は生活動線を断ち切り、人口流出を加速させる。安全合理性のみを評価軸とする制度設計は、地域活性化という政策目標と根本的に矛盾している。
本発表は、この制度設計そのものを疑う。第四種踏切は本当に「なくすべき存在」なのか。逆に『増やすべき存在』ではないのか。関東鉄道などにより提供された非公開データを基盤に、積分幾何学による厳密な古典的数理定式化と360度カメラによる最先端の計測技術を統合し、従来とは異なる安全性評価指標を構築した。これは単なるデータ分析ではなく、地方鉄道に関する制度の再設計への提案である。
本発表が示すのは、既存の統計パッケージや生成AIでは到達し得ない思考の領域である。生成AIは既存構造の最適化には長けているが、評価軸を転換し制度の前提を組み替えることはできない。現場の本質を見極めて数理構造を単純化し、異分野技術を統合して新たな判断基準を創出する営みこそ、人間の知的創造の核心である。本発表は、地方鉄道の将来像のみならず、「生成AI時代における研究の意味」そのものを提示する挑戦である。

ドイツ語初心者むけ独習システム構築の試み

外国語学部 外国語学科 ドイツ語・ヨーロッパ専攻 4年 濵﨑 遥

指導教員:千葉先生(紹介文執筆)

ドイツ語初学者ではない、大学でドイツ語を学んでいる学生に好適な、ドイツ語の語彙・文法の自習アプリケーションを自作しました。パソコンでも携帯でも学習できるようにWebベースのサーバ・クライアントシステムとし、PHP言語をもちいて構築しました。ドイツ語検定試験の各レベルに対応した語彙・文法データベースを作成し、問題を生成します。ログインや履歴管理の機能のほか、自作の単語を追加して学習できる機能なども実装しています。ほぼ完成しているドイツ語検定試験のレベルA1のデータセットについて、今後学内でシステムの稼働試験をおこない、ドイツ語学習者に実際に試用してもらって機能の改善をはかる予定です。

大学での課外活動所属が学生の幸福度に与える影響

経済学部 経営学科 経営専攻 4年 名地 弘明

指導教員:横田先生

本研究は、麗澤大学の学生を対象としたアンケート調査(有効回答78件)に基づき、大学での課外活動への所属が学生の幸福度にどのような影響を及ぼすのかを実証的に検討したものである。分析の結果、課外活動に所属している学生は、所属していない学生と比べて有意に幸福度が高いことが明らかとなった。また、単に所属しているという事実だけでなく、活動内での「所属感」が高いほど幸福度が高まることも示された。一方で、参加頻度そのものよりも、活動に長期間関わることが幸福度と関連している点も興味深い知見である。本研究は、学生の幸福度向上に向けて、活動への参加促進だけでなく、安心して役割を担い、継続的に関われる環境づくりの重要性を示唆する成果となった。

ドライバーのストレス解消のための柏市周辺の交差点信号切り替わりタイミングの研究

工学部 工学科 情報システム工学専攻 2年 圓城寺 隼人
工学部 工学科 情報システム工学専攻 2年 鬼塚祐樹
工学部 工学科 情報システム工学専攻 2年 亀甲皓翔
工学部 工学科 情報システム工学専攻 2年 岸健太
工学部 工学科 情報システム工学専攻 教授 宗健

指導教員:宗先生(紹介文執筆)

非常に身近な赤信号の待ち時間を統計的に分析したものです。ゼミの学生が自宅から大学までの通学路にある信号を撮影してデータ化し、分析に適した形にデータを整形して、記述統計とクラスター分析を行ないました。分析結果からは、1)青信号が平均79続く快適な道路、2)赤信号も青信号も50-60秒くらいの普通の道路、3)赤信号が平均79秒も続く待たされる道路、4)30秒程度と短いサイクルで赤と青が切り替わる生活道路に分析できることがわかりました。地図情報会社との打ち合わせも行い、ナビゲーションへの信号時間の表示、信号サイクルを考慮したルーティングなど様々な実装形態が考えられる発展性の高いこともわかりました。

SMART食堂ひいらぎプロジェクト エッジAIによる人流計測・予測システムの実装と行動変容の検証

工学部 工学科 情報システム工学専攻 2年 畔上 昂大
工学部 工学科 情報システム工学専攻 2年 髙波 知弘
工学部 工学科 情報システム工学専攻 2年 本野 健斗

指導教員:新井 亜弓 先生(紹介文執筆)

この発表では、大学食堂の混雑という身近な課題を取り上げ、混雑時のピーク緩和に役立つ「混雑予測を準リアルタイムに発信するシステム」を紹介しました。開発では、AIによるカメラ画像解析、限られた計算資源でも動く準リアルタイム処理、機械学習を用いた混雑予測、APIを介した予測結果の配信、ウェブ表示といった、データサイエンスの社会実装に必要な技術要素を各学生が分担し、工夫を重ねて完成させました。 実証実験では、混雑情報の発信がピーク緩和に一定の効果をもたらす可能性が示され、待ち時間に伴うストレスの軽減にも寄与し得ることが確認されました。個々の技術的な工夫を統合し、実際に稼働する一つのシステムとして仕上げるためのコミュニケーションとチームワークの重要性が伝わる発表でした。

おにぎりトコトコ-食べようおいしいおにぎり-

明徳義塾高等学校 2年 今井 里紗
明徳義塾高等学校 2年 財津 璃愛
明徳義塾高等学校 2年 柏井 姫夏
明徳義塾高等学校 2年 瀧本 千宝

紹介文執筆:新井 優太 先生

本発表は、歩行が健康に与える効果を市場調査および校内アンケートによって分析し、その成果をもとに開発された健康促進アプリ「おにぎりトコトコ」の提案です。歩数を米粒に換算し、1万歩でおにぎり1個を完成させる仕組みにより、達成感と行動変容を促す設計となっています。高大連携授業「スポーツデータサイエンスの応用実践」において、最優秀賞を受賞した意欲的な成果です。

Raspberry Pi を用いた街歩き記録システムSTREETの開発

麗澤高等学校 1年 須藤 央稀
麗澤高等学校 1年 横田 理人
麗澤高等学校 1年 若山 陽斗
麗澤高等学校 1年 荒井 祐璃

指導教員:野口先生(紹介文執筆)

本取り組みは、地域防災における「現場での入力負担」という課題に高校生が向き合い、技術的解決を図った探究成果です。流山市のデジタル防災マップは有用である一方、現地でのフォーム入力に時間を要し、民生委員・児童委員にとって大きな負担となっていました。生徒たちは実際の街歩きを通して課題を体感し、「現場では入力させない」という発想のもと、Raspberry Piを活用した手のひらサイズの街歩き支援システム「STREET」を開発しました。ボタン一つで写真とGPS情報を記録し、QGISで活用可能な形式へ自動変換する仕組みにより、操作を大幅に簡素化しています。ユーザビリティと社会実装を両立させた点が高く評価され、本作品は第3回全国情報教育コンテストにおいて入賞(646作品中)。同時に協賛企業賞も受賞しました。さらに、電子情報通信学会総合大会ジュニア&学生ポスターセッション(選奨発表)にも採択され、学術的にも評価されています。地域と協働し、技術で課題解決に挑んだ意義ある実践です。

大学における個別指導のための予約システム開発

経済学部 経営学科 AI・ビジネス専攻 4年 星野 誓志

指導教員:別宮先生(紹介文執筆)

本取り組みはキャンパス内の学習支援施設であるiStudioの活性化のために行われた予約システムの研究開発であり、本ゼミにおけるDX研究の実践例です。iStudioは学生が自習する他、対面で教員に質問する場としての役割をもっています。しかしこれまでの運用では学生が利用したい時間を予約しても、質問したい内容に対応できる教員が不在である可能性がありました。そこで今回新たな予約システムを開発し、教員のシフト管理とデータを共有することで、希望の学習内容にマッチした教員の出勤時間・空き時間に予約ができるようになっています。メール自動送信による連絡機能や教員シフトをワンタップで複製する機能など運営側の工数削減も実現します。予約情報や学習実績などのデータ蓄積も行うため、施設利用状況の分析も可能になりました。

大学駅伝における属性と戦略の分類

経済学部 経営学科 AI・ビジネス専攻 4年 名田 悠花

指導教員:新井 優太 先生(紹介文執筆)

本研究は、箱根駅伝予選会10年分のラップデータを用い、多次元尺度構成法(MDS)により大学の走力構造と戦略を可視化したものです。第101回についての分析では、1つ目の軸が後半区間の安定性(集団走の度合い)、2つ目の軸が前半逃げ切り型か後半追い上げ型かという展開を示す軸と解釈できます。予選会突破校は後半の安定性が高い傾向があり、麗澤大学は集団走の構築に課題がある可能性が示されました。

やりたいことを実践する

学生達はゼミや授業の時間に教員指導のもと、自分達で悩みながら研究テーマを設定し、試行錯誤しながら文献研究、調査、そして、システム開発などに取り組んできました。また、昨年末から予稿論文の準備をすすめ、担当教員からは何度も指導をうけながら論文を完成させ、さらに発表スライドの作成や口頭発表練習など、発表ぎりぎりまで準備を重ねてきました。

発表者は皆、大勢の聴衆の前で緊張しながらも自分の研究成果を立派に披露し、やり遂げたという充実感であふれていました。

発表者の皆さん、そしてご参加・ご視聴いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後もReIDACが、学生の研究成果を発表し、学びを深める貴重な場として発展していくことを期待しています。