お知らせ
【開催報告】映画・舞台通訳の第一線で活躍する鈴木小百合氏による特別講義を開催
2026年6月8日に、本学にて鈴木小百合先生による特別講義が実施されました(外国語学部の渡邊ゼミと日影ゼミの合同開催)。鈴木先生は映画・舞台の通訳者として長年第一線でご活躍されており、『スター・ウォーズ』シリーズや『プラダを着た悪魔2』、『Michael/マイケル』『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』などの作品をはじめ、多くの洋画作品のプロモーションや来日イベントに携わってこられました。今回も多くの学生が参加し、これまでの豊富な経験をもとに、映画業界の舞台裏や通訳・翻訳の仕事についてお話しいただきました。
また、映画に関わる多くのスタッフが一丸となって作品づくりに取り組んでいる様子や、来日イベントやレッドカーペットでの経験談から、華やかな映画業界の裏側にある緻密な準備や責任の重さを知ることができました。
さらに、通訳と翻訳の違いについても詳しく説明していただきました。通訳は限られた時間の中で相手の言葉を瞬時に理解し、正確かつ自然に伝えることが求められます。一方で翻訳は、時間をかけて最適な表現を考えながら文章を作り上げる仕事です。英語ではそれぞれ、"interpreter" と"translator"という異なる言葉で表されていることにも触れられ、同じ言語を扱う仕事であっても、求められる能力が異なることを学びました。
また、通訳の実務についても具体的な説明がありました。そこでは、通訳者が話し手の近くに座り、小さな声で同時に内容を伝えるウィスパリングと呼ばれる通訳方法についてお話をいただき、実際に鈴木先生が経験した通訳者ならではの苦労をお聞きすることができました。その場の判断で逐次通訳とウィスパリングでの通訳を使い分けることもあるそうで、正確な言語運用能力に加え、臨機応変な対応力や現場での判断力が求められていることも知ることができました。
講義終盤でのお話では、「通訳は言葉だけでなく心を訳す仕事である」ということを紹介していただきました。鈴木さんが通訳を始めて間もない頃、関係者間の衝突を取り持った際、後に演出家の方に「心を訳すことができる通訳だね」という言葉をかけられ、通訳としての仕事の重要性を痛感したそうです。このエピソードから、通訳とは単なる言語の変換ではなく、人と人との橋渡しをする仕事であることが伝わってきました。
最近の映画業界を取り巻く環境の変化についてもお話しいただきました。近年の日本映画界では、邦画の存在感が高まる一方で、洋画を取り巻く状況は以前と比べて厳しくなっているそうです。また、映画会社の買収や組織再編によって業界の構図も大きく変化しており、鈴木先生は長年業界に携わってきた立場から、その移り変わりについて語られました。しかし、『プラダを着た悪魔2』や『スター・ウォーズ』シリーズの公開に伴って、海外俳優や映画関係者の来日イベントが最近増えており、これから洋画に明るい兆しが見られるとのことです。
さらに、AIによる翻訳技術の発達によって翻訳業界にも変化が生じている中で、人の感情や話し手の個性まで伝えることは依然として人間にしかできない役割であると述べられました。技術が進歩する時代であるからこそ、人と人とのコミュニケーションの価値が改めて問われていると感じさせるお話でした。
学生からの質疑応答では、英語力向上のための学習方法や、ジョークやスラングなどは実際にどのように訳されているのか等の質問が寄せられました。鈴木先生は、学生時代に多くの映画を鑑賞していたことや、わからない言葉や表現はすぐに調べるといった習慣を続けていらっしゃるということを紹介されました。ジョークやスラングについては、一番難しいという風に話されており、通訳者同士で助け合いながらリアルタイムでの通訳を行なっていると語られました。
本講義を通して、通訳・翻訳という仕事の奥深さだけでなく、異なる言語や文化をつなぐことの意義について理解を深めることができました。また、第一線で活躍されている方の経験談からは、語学力だけでなく、相手を理解しようとする姿勢やコミュニケーション能力の重要性、責任についても学ぶことができました。映画業界の魅力に触れるとともに、今後の学びや将来について考える貴重な機会となりました。
(英語リベラルアーツ専攻3年 藤本 優彩)











