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教育・研究
2014.11.26|最終更新日:2020.07.30|

「会計学原理」特別講義を実施

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11月11日(火)に「税を考える週間」の一環として、倍 和博経済学部教授の「会計学原理B」の講義に横尾税理士事務所所長の横尾一徳先生(税理士)をお迎えして特別講義を開催しました。横尾先生はわが校と「高大連携教育の協定」を結んでいる千葉県立柏陵高校のご出身であり、受講生の中には同校の後輩を含む100名を超える学生が出席して熱心に講義に耳を傾けていました。

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講義は最近のグローバル化が進む経済社会において、企業の実態を表わす財務諸表がさまざまなタイプの会計基準に影響を受けはじめており、そうした状況においてわが国の会計や税務はどのように対応すべきかについて具体的な事例を交えてお話しいただきました。具体的には、国際財務報告基準(IFRS)の導入をめぐって、世界の会計基準を統一する(One world One Rule)際に留意すべき点を税理士の立場から言及されました。

 企業の実態を示すことに主眼を置くIFRSの適用の是非が問われているのは、証券市場に株式を公開する大企業に限定さており、わが国の大部分の企業は株式を証券市場に公開していない中小企業が占めている現状を踏まえると、中小企業にIFRSを適用すれば税法上の「確定決算主義」の堅持が困難になるなど、さまざまな問題が生じる可能性があると警鐘を鳴らされました。そうした中でわが国の会計基準設定機関である企業会計基準委員会(ASBJ)が日本版IFRS「修正国際基準(JMIS)」の公開草案を公表し、わが国の会計基準とIFRSとの乖離を解消する方向に舵を切りはじめるなど、課題解決に向けて糸口を模索する段階にあるのではないかと述べられました。

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最後に、これらの問題を克服するための税理士の職務について、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」(税理士法第1条)点を強く訴えられました。このお言葉は、税理士資格の取得や簿記検定にチャレンジする当大学のREPPL(税理士)コース生をはじめとする受講生の心に響いたようで、皆、益々の研鑽を誓い、講義は終了となりました。