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イベント
2016.07.07

【開催報告】第3回「ヒューマンライブラリー」のイベントを開催しました。

 

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平成28年7月1日(金)、山下ゼミの主催で、第3回「ヒューマンライブラリー」のイベントを麗澤大学東京研究センターで開催しました。ヒューマンライブラリーとは、2000年にデンマークで発祥した、多種多様な語り手からお話を聞き、対話から異文化を学ぶイベントです。人が「本」(語り手)となり、さまざまな人生体験を語ります。読者(聴き手)は本(語り手)から30分間、1対1(1対5まで可)で話を聴き、自分自身についても考えることができる体験型イベントです。私たちのゼミでは「異文化を学び、私たちを取り巻く社会と世界を包括的に考える」「新しい自己発見」「“いかに生きるか”を考える」の3つを目指し実施しています。

 今回は、第一部に『わたしの生き方:世界的に活躍する起業家・活動家から聴く』と題し、 起業家・活動家の方々を“本”役として「いかに生きるか」をテーマにヒューマンライブラリーを行い、第二部には全体で「ワールドカフェ」という手法を使った振り返りを行いました。

 今回も魅力的な生きている本の方々にご参加いただきました。

 

1)一般社団法人AOH会長/代表取締役 伊藤 紀幸さん「事実を如何に解釈するか。肯定的解釈をすることで人生は変えられる」

2)株式会社コンビンスアイ 代表取締役 齋藤 良さん 「皆と同じように生きること、自分自身の人生を歩むこと」

3)株式会社Action Talks 代表取締役 佐々木 愛梨さん 「(失うもの)より(得るもの)に着目することで広がる未来」

4)一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構、事務局長付、宇宙ビジネスコーディネータ 高山 久信さん

  「宇宙の仕事は、わが人生 ―考え方ひとつで人生は変わる―」

5)歌手 Qi Fang(チー・ファン)さん「インターナショナルに生きる為に私が身につけた幾つかのアイデンティティー」

6)ルフィーさん「戦略コンサルの眼鏡に映る日本人にとっての不愉快な事実、血沸き肉躍る可能性」

 「読者」(聴き手)には、駒澤大学でヒューマンライブラリーをゼミで実施されている、坪井健先生と4名のゼミ生、日本フィランソロピー協会から宮本栄さん、本校の職員、そしてゼミ生らを含め計18名を招待し閉じた形で行いました。司書は3年生のゼミ生6名が務め、4年生のゼミ生も数名参加しました。 

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ヒューマンライブラリーの元来の目的は、社会的マイノリティーに対する偏見の低減・異文化理解ですが、今回、参加いただいた企業家の方々の中にも、大企業から独立し起業した背景には、異端児、マイノリティーとしての経験があったというお話もありました。その起業した背景には、他には語ることのなかった「心を打つストーリー」が秘められていました。現在活躍されている企業家の方々の「見える部分」は「氷山の一角」であり、「見えない部分」には壮絶な経験や、運命的所与を受け止めた「決意・覚悟」、「自分と人との比較を止める」こと、「発想の転換」、「自分を信じ解放していくことの勇気」などが語られていました。

 さらに、そもそも「マイノリティー(少数派)とは何か」という問いも挙げられました。様々な意見の中からの気づきとしては、「マイノリティーは世界を変えるパワーを持つことができる」、「自分自身が人を惹きつける付ける磁石となる」、「自分自身の心の羅針盤を持つことで、グローバル社会の荒波をも乗り越えていくことができる」などがありました。日常生活の中での生きづらさ、社会や組織の中での理不尽さをどのように受け止め、変化を起こす原動力に変えていくかについて考えさせられる贅沢な時間でした。

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 本役の方々からのコメントには「自分を振り返るよい機会となった」「読者の方々が真剣に話を聴いてくれて嬉しかった」などがありました。また、読者のコメントには「たくさん元気をいただけた」「お話を聴いて、ものの見方が180度変わった」「地球自体がマイノリティーであると知った」「起きていない将来のことは心配しない」「辛い経験は自分に何を教えようとしているのかを考える」「行動力を付けることが大切」など様々な感動が伺われました。本になってくださった企業家の方々に対する、話を聴く前と後での印象は「自分とは違う」「遠い存在」というものから「親しみを感じた」「私と同じ人間である」に変わり、改めて親密な距離間での「対話」の効果を実感しました。

 司書(ゼミ生)の活動については、就職活動中の4年生も応援に駆け付け受付を担当、3年生は会の進行、第二部の「ワールドカフェ」を使った振り返りのファシリテーションを行いました。それぞれが担当部分を自発的に行い、ゼミ生からは社会人基礎力をつけるよい経験となったとのコメントがありました。全体を振り返り、PBLは非常に労力と時間を要するものですが、大学外の方々と協働することで、社会との繋がりや発展性が期待できることを実感しました。最後に、本イベントにご協力いただきました関係者の皆様に心より感謝申しあげます。(経済学部・准教授 山下 美樹)