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2026.06.10

JaLEC設立記念シンポジウム(後援:千葉県)を開催~日本語教育の実践と理論をつなぎ、多文化共生社会の未来を考える~

2026年5月30日(土)、麗澤大学にて「JaLEC(日本語教育共創ラボ)設立記念シンポジウム」を開催しました。
本シンポジウムは、2026年4月に設立されたJaLECの発足を記念して開催されたもので、教育関係者や行政関係者、地域日本語教育の実践者、学生など多様な立場の参加者が集い、「日本語教育の実践と理論をつなぐ―共創拠点の役割とは―」をテーマに議論を深めました。

JaLEC設立の背景と、理念を形にした出版・キャラクターデザイン

開会にあたり、学長挨拶に続いてJaLEC設立の趣旨説明と設立記念出版の紹介が行われました。

JaLECは、麗澤大学の日本語教育センター、国際学部、大学院言語教育研究科の3部門を横断し、大学と地域社会をつなぐ共創プラットフォームとして設立されました。
日本語教育を単なる言語教育としてではなく、多文化共生社会を支える社会基盤として捉え直し、研究者・教育者・学生と地域・行政・企業をつなぐ役割を担います。

また、設立の契機となったシンポジウムの内容をまとめた書籍『日本語教育はどう変わる?―「日本語の明日を考える」シンポジウム録―』も紹介されました。
日本語教育を取り巻く環境の変化や、多文化共生社会における新たな役割について議論した内容をまとめた一冊であり、JaLECの出発点となる問題意識が共有されました。

さらに、JaLECのイメージキャラクターを手がけたクリエイターのAWAJI様にもご登壇いただきました。
キャラクターデザインの制作背景や込めた思いが紹介され、日本語教育に関わる多様な人々が出会い、つながり、学び合うJaLECの姿をどのように表現したのかについて語られました。
参加者にとって、JaLECの理念をより身近に感じる機会となりました。

基調講演「現場で学ぶためにできること―理論と実践を編み直す」

基調講演では、立教大学特別専任教授の石黒広昭氏が登壇し、「現場で学ぶためにできること―理論と実践を編み直す」をテーマに講演を行いました。

石黒氏は、人は教室や大学だけで学ぶのではなく、実際の現場での経験や他者との関わりを通じて学びを深めていくことを指摘しました。
また、大学で学んだ理論をそのまま現場へ適用するのではなく、現場で生じる戸惑いや葛藤を手がかりに理論を捉え直し、実践と理論を往還しながら学び続けることの重要性について語りました。

さらに石黒氏は、教育においては知識や技能を教えるだけではなく、学習者が未来に希望を持てるよう支援することが重要であると述べました。
その上で、多様な学びの機会が広がる現代社会では、与えられたカリキュラムを学ぶだけでなく、自ら学びを選択し、自分自身のカリキュラムを組み立てていく力を育むことが求められていると指摘しました。

参加者は、日本語教育に限らず、教育や地域活動などさまざまな実践の場において、学習者の主体性をどのように支えていくかについて理解を深める機会となりました。

地域と大学をつなぐ実践報告

続いて行われた実践報告では、本学国際学部准教授の井上里鶴准教授が「やさしい日本語を活かした地域連携―富士宮市酒蔵プロジェクト―」をテーマに報告を行いました。

富士宮市の酒蔵を舞台に、地域住民や外国人住民、大学生が協働して取り組んだ実践を紹介し、「やさしい日本語」が単なる言い換え技術ではなく、人と人をつなぎ、地域の新たな関係性を生み出す手段となることが共有されました。
また、学生が地域社会の課題に直接向き合うことで、多文化共生を自らの問題として考える契機となったことも報告されました。

井上准教授は、大学が地域社会と関わることの意義について触れながら、実践を通して学生自身が学び、成長していくプロセスの重要性を紹介しました。
参加者からは、地域と大学が協働することで生まれる新たな学びの可能性に大きな関心が寄せられました。

外国につながる生徒支援から見える学び

続いて、JaLECラボ長であり本学国際学部教授の金孝卿教授が、「外国につながる生徒支援における大学生の変容―県立定時制高校での実践から―」をテーマに実践報告を行いました。

千葉県内の定時制高校において、日本語を母語としない生徒への学習支援に取り組む中で、支援を行う大学生自身にも大きな変化が生まれていることが紹介されました。生徒との関わりを通して、多様な背景を持つ人々への理解が深まり、支援する側とされる側という一方向の関係ではなく、互いに学び合う関係が形成されていることが示されました。

また、日本語教育を学校の中だけで完結するものとして捉えるのではなく、地域社会や大学との連携を通して支えることの重要性についても共有されました。参加者は、日本語教育が多文化共生社会の実現に向けた重要な役割を担っていることを改めて認識する機会となりました。

「現場との対話」から見えた共創の可能性

シンポジウム後半では、「現場との対話」と題したパネルディスカッションが行われました。

富士宮プロジェクト初代代表であり愛光学園山手日本語学校専任講師の平尾陸氏、静岡県地域づくりアドバイザーで日の出企画代表取締役の山田知弘氏、日本語教育支援員経験者の松本桜季氏、千葉県立東葛飾高等学校定時制課程副校長の佐々木健氏らが登壇し、それぞれの立場から実践を振り返りました。

議論では、大学・学校・地域が連携することで生まれる学びや、多文化共生社会における日本語教育の役割について意見が交わされました。また、現場ごとに異なる課題を抱えながらも、対話を通じて新たな価値や可能性が生まれることが共有されました。

特に、大学生が地域や学校の現場へ足を運び、多様な背景を持つ人々と関わることが、学生自身の成長につながっているという点は、登壇者に共通するメッセージとして語られました。

実践と研究をつなぐ共創拠点として

今回のシンポジウムは、JaLECの設立を広く発信するだけでなく、日本語教育に関わる多様な実践者・研究者・学生が集い、それぞれの経験や知見を共有する場となりました。

JaLECは今後も、「つなぐ(ネットワーク形成)」「学び合う(共創の場づくり)」「発信する(知の共有)」という3つの柱を軸に、大学の枠を越えて地域社会とともに学びを創り出す活動を展開していきます。

麗澤大学は、JaLECを通じて実践と研究を結び、多文化共生社会の実現に向けた新たな知の創出と社会貢献に取り組んでまいります。

【メディア掲載】

2026年6月3日付の産経新聞において、シンポジウムの様子が紹介されました。

■掲載媒体
産経新聞

■掲載日
2026年5月31日

■記事タイトル
「外国人への日本語教育、理論と実践をつなぐ 麗澤大で「共創ラボ」設立シンポ」

■記事URL
https://www.sankei.com/article/20260530-H24LPQ6YQRJNLAWGPU2J6KFJZA/

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