共創空間研究センター インフォメーション
【開催報告】共創空間研究センター 4月研究会を開催
2026年4月24日(金)、共創空間研究センターにて「4月研究会」を開催しました。今回の研究会では、2025年度の準備期間を経て、本格始動した共創ワークのテーマ「対話型AIは役立つか?」を深堀し、「家庭における対話型AIの役割」について意見を交わしました。
冒頭では、これまでの研究会の内容を改めて振り返りました。第1回研究会では、「対話型AIは自分や人類の成長に役立つか」を軸に意見交換を行い、大場裕之名誉教授より、「AIを活用するためには、自分自身の土台をしっかり築き、自ら考えることが重要である」とのアドバイスが共有されました。第2回研究会では、AIの判断におけるプラス面とマイナス面について議論を実施。また、CSD(共創空間開発)技法に基づくJICA研修において、日本文化に根付く「カイゼン」の考え方に繋がる共創空間の意義についても共有されました。第3回研究会では、「教育」「介護」「職場」「家庭」の領域からAI活用の具体的な場面について共創を行った後、2026年度の研究テーマを「家庭」と「教育」の2つに絞り込みました。
続いて、電通が実施した「対話型AI利用」に関する調査結果が共有されました。調査では、10代を中心に対話型AIの利用率が高く、「勉強」「雑談」「恋愛相談」など幅広い用途で活用されていることが紹介されました。また、「心の支えになってほしい」「褒めてほしい」といった情緒的価値を求める傾向が若年層に見られることも共有され、家庭内でのAIの役割について考えるきっかけとなりました。
その後、まずは、横軸「対話型AIは親の代わりになれるか?」を設定し、一人ひとりの意見を横軸上にマグネットを貼っていきました。その後、3チームに分かれて、意見共有を行い全体で共有をしました。
「親の代わりになれる」とする参加者からは、「対話型AIは利用者の雰囲気を察し、親身に相談に乗ってくれる存在である」、「親が知らないような情報を提供してくれる」といった声が挙がりました。また、ネグレクトやDVなど家庭環境に課題を抱えるケースにおいては、「不完全な親よりもAIのほうが子どもにとって良い支援者となる可能性がある」との意見も共有されました。さらに、児童相談所の現場や養護支援の分野においてAIを活用することで、家庭内の悲劇を未然に防げるのではないかという視点も示されました。
一方、「親の代わりにはなれない」とする参加者からは、「AIはあくまで機械知であり、生身の親にはなれない」との意見が出されました。特に、「親子間の摩擦や葛藤、異なる価値観のぶつかり合いを通じて、人は成長していく」という考えが共有され、AIによる一方的な情報提供だけでは、人間同士の相互成長にはつながらないのではないかとの指摘がありました。また、「AIに蓄積されている情報の偏り」や、「子どもに対して本当に適切な回答ができるのか」という懸念も示されました。
さらに、参加者自身の家庭経験をもとに、「親から受けた厳しさや優しさが人格形成に大きな影響を与えている」といった意見も共有されました。「家庭にはそれぞれの個性や歴史、ルーツがあり、その中で育まれる経験や感情はAIでは代替できないのではないか」との声も挙がり、人間同士の関わりの重要性について改めて考える機会となりました。
また、「AIが家庭に入り込むことで、家族間の会話が減少する可能性があるのではないか」「都合の良い回答ばかりを受け取ることで成長する力が弱まるのではないか」といった考えも示され、AIとの向き合い方について多角的な議論が展開されました。
続いて、縦軸の問いとして「対話型AIは兄弟の代わりになれるか?」を書き足し、改めてホワイトボード上にマグネットを配置し、ゾーンごとのグループに分かれて共創ワークを行いました。
Aゾーン「AIは親と兄弟の代わりになれる」という見方を選択したチームからは、「ネグレクトやDVなど家庭環境によっては、AIのほうが良い支援者になる可能性がある」との意見が挙がりました。また、少子化が進む中で、「AIが兄弟のような相談相手になることも考えられる」との声も共有されました。一方で、「Aゾーンは最も恐るべき存在である」との意見もあり、人がAIに感情移入し、支配されてしまう危険性についても話し合われました。
Bゾーン「AIは親の代わりになれるが、兄弟の代わりにはなれない」では、「兄弟関係には、生身の人間同士だからこそ生まれる衝突や助け合いがある」との意見が共有されました。かつての大家族では、兄や姉が親代わりとなって幼い弟妹の世話をするなど、家族内で自然に役割が形成されていたことが紹介され、「一般的な支援はAIでも可能かもしれないが、関係性の中で生まれる感情や経験までは再現できないのではないか」との考えが示されました。また、「何人兄弟のどこで育ったかという経験知」「感性や情愛の共有」はAIには難しいとの声も挙がり、兄弟関係の持つ独自性について議論が深められました。親子関係と兄弟関係の違いについて考える時間となりました。
Dゾーン「AIは親と兄弟の代わりにはなれない」では、「親や兄弟との摩擦や切磋琢磨の中で人は成長していく」との意見が多く見られました。また、「AIは人間の脳や感性を分析できても、間違いを起こす存在であることを前提に考える必要がある」との指摘もありました。4人兄弟で育った参加者からは、「家族の中で愛情を求め合う経験こそが人生の縮図だった」との体験談も共有され、人間関係を通して育まれる感情や成長はAIでは代替しにくいのではないかという考えが示されました。
さらに、クロス(原点)の中央付近に意見を置いた参加者からは、「家庭にはそれぞれ異なる個性や事情があり、AIがどこまで入り込めるかは非常に微妙である」との意見が挙がりました。また、「AIの回答を参考にすることは良いが、それを鵜呑みにして失敗した場合、誰が責任を取るのか」といった問いも共有されました。加えて、「兄弟関係は五感を通じて形成される部分があり、言葉だけでは再現できないのではないか」といった視点も示され、AIと人間の本質的な違いについて考察が行われました。
研究会全体を通して、参加者それぞれが自身の家族経験や価値観をもとに、「対話型AIと人間との関係性」について多角的に考察する機会となりました。急速に進化するAIと向き合い家族における人間らしい成長をどのように構築していくかという、本質的な問いについて理解を深める研究会となりました。
活発な議論が続く中、本研究会は盛況のうちに終了しました。
次回の共創空間研究会は、5月29日(金)13時30分より開催予定です。















