共創空間研究センター インフォメーション

【開催報告】共創空間研究センター 9月研究会を開催

 2026年9月4日(金)、共創空間研究センターにて「9月研究会」を開催しました。今回の研究会では、「AI教師と学習効果(その2:ネーミング+問題 4S+5S)課題策の発見」をトピックに、これまでの研究会で行った議論を振り返るとともに、AI教師と学習効果に関する異なる見方・視点について、参加者全員で意見交換を行いました。

 冒頭では、6月26日と7月24日の研究会で行った「AI教師の学習効果」に関する議論を振り返りました。これまでの研究会では、横軸を「AI教師は今の教育のあり方を変えられるか」、縦軸を「AIとの協働は学習効果を高めるか」とする二つの視点をもとに、4つのチームに分かれて議論を行いました。その結果、AIは学習を進める「相談役」として機能できるのではないかという意見がある一方で、教育のあり方そのものは変わらないとの考えが示されました。また、アインシュタインの「イマジネーションは知識より大切である」という言葉を引用し、イマジネーションをAIが高めることは難しいのではないかという意見も出されました。さらに、AI教師は膨大な知識や情報を瞬時に提供できることから教育のあり方を変える可能性があるものの、実体験を通して得られる学びはAIでは代替できないとの意見や、生徒一人ひとりの理解度や特性に応じた学習支援が可能である一方、AIを活用するうえでは常に疑問を持ち続ける姿勢が重要であるとの意見が挙げられました。

 続いて、今回初めて研究会に参加した国際学部の中園長新准教授から、研究内容やAIについてお話しいただきました。中園准教授は、情報教育を研究されており、小・中・高等学校において情報をどのように学び、どのように教えるかについて20年以上にわたり研究を続けています。また、情報システムによる図書館の活用など、「情報」と名のつくものを幅広く研究対象としています。現在では、インターネット検索でもAIによる要約が表示されるなど、AIを避けて通ることが難しい時代になっており、私たちはAIをどのように使っていくか、あるいは使わないのであれば、どのように生きていくかを考えなければならないと話しました。

 前回までの研究会で使用したA・B・C・Dの4つのゾーンについては、「AI教師は今の教育のあり方を変えられる」「AIとの協働は学習効果を高める」とするAゾーンの立場であると説明しました。「AI教師は今の教育のあり方を変えられるか」という問いについては、AIはすでに教育のあり方を変えており、AI教師との協働によって学習効果を高めることができるため、活用しないのはもったいないとの考えを話しました。 一方、「AIとの協働は学習効果を高めるか」という問いについては、「高めるのは人間次第」であり、AIをどのように扱っていくかは「教育の力」によって変わっていくのではないかと述べました。また、AIを単なる道具ではなくパートナーとして捉え、人間とAIの違いを認めながら同じ社会を生きていく「共生」という考えについても紹介しました。AIをどのような存在として捉えるかによって人間とAIとの関係も変わり、お互いを平等な存在として捉えることで共生できるのではないかと話しました。

  • 7月研究会で使用したA・B・C・Dの4つのゾーン

  • 各チームが話し合いをし、記載したネーミング

 その後は、A・B・C・Dの4つのゾーンについて、それぞれの異なる見方・視点の特徴を表すネーミングを考えるグループワークを行いました。4つのチームに分かれて話し合いを行い、その結果を全体で共有しました。

 チーム1では、Aタイプについて、学習のあり方を変えてくれる存在として「ドラえもん」、またAIを積極的に活用する人をイメージした「勉強オタク」という名称が挙げられました。Bタイプは、効果が分かったうえで教育をどのように変えていくかを話し合う立場として「政治家」、Cタイプについては、介護におけるヘルパーやロボットを例に挙げ、「AI学習ヘルパー」。Dタイプについては、AIに対して否定的な立場から「全然ダメ」という意味を込めた「ダメゼン」という名称が挙げられました。

 Zoomチームでは、Aタイプについて、AIがなければ動かないほどAIが教育の中心となることから、「AI主導型教育」という名称が挙げられました。Bタイプは、人間がAIに頼ることで「AIの奴隷」となり、人格が損なわれてしまうのではないかという意見が出されました。Cタイプは、人に聞くよりもChatGPTに聞く方がよい回答を得られることもあるなど、AIの便利さに着目し、「利便性重視学習」としました。Dタイプについては、学習が本来もたらす創造性をAIが奪ってしまうのではないかという考えから、「クリエイティビリティを奪う」という名称が挙げられました。

 チーム2では、Aタイプについて、AIを積極的に使い、役に立つ存在であるという考えから「最強の仲間」としました。Bタイプは、学習効果がなく、悪い方向に進んでしまうという考えから「教育の破壊者」、Cタイプは教育のあり方は変わらないものの、AIを便利に活用する「道具として便利」としました。Dタイプについては、「情報弱者」「AI不信」「現状満足」「役立たず」など、さまざまな意見が挙げられました。また、現状に満足しているためAIがいてもいなくてもよいという、AIとの微妙な距離感についても意見が出されました。

 チーム3では、Aタイプについて、「無の理」(新たな関係性)とし、知性や思考の部分ではAIが人間を超えていることに触れ、今の教育は何のために行うのか、どのような人間を育てるのか、どのような価値観を基盤として育てていくのかを議論する必要があるとの考えが示されました。また、人間はさまざまな関係性の中で形作られることから、AIも単なる道具ではなく、人間を形作る力を持つのではないかという意見が出されました。Bタイプは、AIの示す内容を鵜呑みにする「AI信奉者」、Cタイプは人間をサポートする存在として捉えました。Dタイプでは、人間とAIによる資源の奪い合いについて意見が出され、水や電力などの資源をどこに回すのかという問題が、教育現場でも起こり得るとの考えが示されました。

 各チームの発表後、大場裕之名誉教授からは、「学習効果を高める」とは何をもって言えるのかについてお話がありました。理解を高めることなのか、人間形成なのか、クリエイティビティなのかなど、どのような学習を対象とするのかによって、AIが学習効果を高める場合も、高めない場合もあると話しました。また、AIをどの部分で使うのか、AIを活用することによるプラスとマイナスを考え、マイナスのリスクにどのように対応するのかを考える必要があると述べました。

 さらに、「AIに『21世紀の教育はどうあるべきか』と聞いてみたら面白い」という参加者の意見から、実際にAIへ質問しました。AI(Chat gpt)からは、「知識をたくさん覚える教育」から「自分で考え、他者と共に学び、より良い社会を作る教育(共創空間)」へ変わっていくことが大切であり、「自分で考える力」「人と対話する力」「失敗できる力」「AI・デジタルを使いこなす力」「創造する力」「多様性を尊重する教育」「何のために学ぶのかを考える教育」が重要であるとの回答が示されました。

 今回の研究会では、「AI教師と学習効果」について、A・B・C・Dの4つの異なる見方・視点の特徴をネーミングするとともに、AIをどの部分で活用するのか、学習効果をどのように捉えるのか、人間とAIがどのような関係を築いていくのかなど、さまざまな視点から意見が交わされました。

 次回の研究会は2026年10月15日(木)に開催予定です。次回は「AIと道徳教育」をテーマに議論を行います。

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