お知らせ

イベント
2019.07.29|最終更新日:2020.08.05|

【開催報告】ヒューマンライブラリーウィーク実施

 本学では、 経済学部の山下美樹准教授のゼミナールが中心となり2015年から「ヒューマンライブラリー」を実施・研究しています。今回は9回目となる「ヒューマンライブラリー」を、麗澤大学図書館の入り口ラウンジにて開催いたしました。

 ヒューマンライブラリーとは、2000年にデンマークで発祥した対話型のイベントです。語り手の時間を貸し出す図書館という比喩を使い、このユニークな語りの空間を提供しています。その発端は、デンマークの若者たちが 北欧最大の野外音楽祭であるロスキレ・フェスティバルで、ブースを構え始めたイベントです。様々な価値観、 経験を持つ人が「生きている本」になり人生体験を語ります。 読者(聴き手)は本(語り手)から30分間、 1対1~3で話を聴き、 自分自身についても考える機会を得ることができ、 偏見の低減や多様性に開かれた社会の実現が期待できる取り組みです。

 これまで、パレット柏、柏駅前の歩行者天国、柏の喫茶店貸切り、大学キャンパス内で、休日に地域の人々との交流を兼ねての実施、また、新宿アイランドタワーの麗澤大学東京研究センターの施設にて、起業家を語り手にお迎えし、他大学の学生を招待しての実施など、さまざまな形でのヒューマンライブラリー活動を行ってきました。

 そして今回は留学生の語りを中心にヒューマンライブラリーを行いました。毎日、キャンパス内ですれ違うだけの関わりを超え、留学生の体験談を対面で共有していただきました。今直面している異文化体験や、今に至るまでの苦悩と葛藤、克服など、豊かな体験談や思いを聞くことができました。

詳細は以下の通りです。

今回も魅力的な「生きている本」の方々にご参加いただきました。

2019年7月8日(月)、9日(火)、10日(水)、11日(木) 12:25開始

語り手とあらすじ 7月8日(月)

語り手1 パロマ・ラウレニウスさん(フィンランド出身)「わたしが日本に来た理由」

日本に興味を持ったきっかけはあるバンド。歌詞を理解しようと日本語の勉強を始め、バンドだけではなく、伝統的な文化にも興味を持つようになり、日本の高校に留学。最初は色々大変なこともあったが、日本とフィンランドの習慣が似ているところが多く生活しやすいと感じるようになりました。そんな、日本とフィンランドの共通点についてもお話しします。

語り手2 Christopher Hippachさん (ハワイ出身)「あなたが知らないハワイの魅力」

ハワイ生まれでハワイ育ち。大学はアメリカ本土のワシントン州のSaint Martin's Universityで学び、現在、そこから交換留学生として麗澤大学で学んでいます。さて、ハワイには多くの日本人が住んでいます。そして、ハワイは日本人にとって、人気の観光地です。日本人が知らないハワイの学校生活や文化の魅力についてお話しします。

語り手3 八木エドワード先生 経済学部教授(アメリカ出身)

「これからのキャリア形成に必要なこと」

民間企業から外交官に転職する過程で自らピンチをチャンスに変えた方法、転職が当たり前となった今の時代、「今後のキャリア」についてのノウハウを教えます。

語り手4 馮 雲霄さん(中国出身)「中国と日本、異なる価値観:顧客サービスの観点から」

国によって変わる人の扱い方について話します。日本の接客サービスの丁寧さ、礼儀正しさに驚きました。長期休暇で故郷の重慶に帰り、バイトで日本の接客の仕方を試してみたのですが...。わたしが体験した文化や価値観の違いについて、顧客サービスの観点からお話します。

語り手とあらすじ 7月9日(火)

語り手1 アハマド・ルバ(パキスタン+日本出身)

「日本生まれ、パキスタン育ちの私:ふたつの文化の間で思うこと」

日本生まれ、5歳でパキスタンに戻り、15歳でまた日本に帰ってきました。ふたつの非常に異なる文化の間で感じ思うこと、社会情勢、女性の人権、自分自身のアイデンティティなどについてお話します。

語り手2 永峰 弥佳(中国+日本出身)「突然の日本への引っ越し:困難を支えたものとは」

13歳で中国から日本への突然の引っ越し。引越翌日、日本語が全く話せないまま都内の中学校に入学。中国と日本の文化・習慣・行動の違いに悪戦苦闘した日々と、それを支えてくれた人・ものについてお話します。

語り手3 金 蓮抒(韓国出身)「日本と韓国を比べてみて思うこと」

韓国人がもつ日本人に対する印象や、日本に来て文化の違いで戸惑ったこと、日本と韓国の整形についての考え方の違い、そして、学歴の考え方、就職活動の違いなど、わたしがこれまで日本と韓国の違いについて気づいたことをお話しします。

語り手とあらすじ 7月10日(水)

語り手1 白 玉(中国出身)「僕の人生」

中国の両親で生まれ育ち、12歳で日本に移住。中学、高校でのバスケに没頭した日々。様々な人の出会いが今の自分を形成した。僕の体験や考えていることなど、包み隠さずなんでも話したいと思います!

語り手2 陈之婷(中国出身)「日本の学校生活の経験から感じた"違和感"」

中学生時代に、日本語も全く話せず、日本に対して何もわからないまま日本に転学した。日本での生活になじむまでかなりの時間を要しました。友達の作り方、人間関係の保ち方などがわからず非常に苦労しました。現在の大学生に至るまでの経験を振り返り、中国と日本文化を俯瞰した視点からその違いについてお話しします。

 語り手とあらすじ 7月11日(木)

語り手1 馮 雲霄(中国出身)「中国と日本、異なる価値観:顧客サービスの観点から」

国によって変わる人の扱い方について話します。日本の接客サービスの丁寧さ、礼儀正しさに驚きました。長期休暇で故郷の重慶に帰り、バイトで日本の接客の仕方を試してみたのですが...。わたしが体験した文化や価値観の違いについて、顧客サービスの観点からお話します。

語り手2 西山幹太(日本出身)「日本人と韓国人のダブルとして生きてきて」

韓国人と日本人のダブルとして、身内に韓国人がいます。ふたつの文化の違いのなかで、私が経験している、楽しいこと、すてきなこと、学ぶことなどについてお話しします。

語り手3 張 厳軍(中国出身)「わたしイズムを貫く」

中国の安徽省出身、2015年高校卒業後、横浜にある日本語学校に入校。そして、2017に麗澤大学に入学しました。結構マイペースに生きています。社会の習慣に合わせることよりも、自分らしく生きたい。この私の話を聞いて、皆さんの生き方についても聞いてみたいと思います。

語り手4 豊岡ジュナリン(フィリピン出身)「フィリピンから日本へ:私は私の冒険物語り」

日本に来る前と、来てから印象の変化、日本という異国の地で不安と挑戦を乗り越え、今ここにいるわたしの冒険談をお届けします。

語り手5 チュック(ファン テイ タン チュック)(ベトナム出身)「ベトナムの文化と日本での体験」

ベトナムの家庭の食事の様子、一般的な食べ物、お正月の祝い方や、ベトナムの北と南の文化の違い、そして、私が驚いたベトナムと日本の違いについて話します。例えば仕事の仕方、時間の使い方、列に並ぶ?並ばない?などについて話します。こられを聞くことで、ベトナム旅行が10倍楽しくなると思います!

 今回は、3、4年生が共同して本役集めと交渉を行い、ゼミ生全員のチームワークのもとよい語りの空間提供することができました。聴き手としての参加者も、各テーブルに5,6名という人数が集りました。

参加者からの感想は、語り手からは、「皆が集ってくれて、それだけで感謝です。」「自分の話をじっくりと聞いてくれて、嬉しかった。」。

聞き手からは、「もっとこのような機会を設けてほしい。」「韓国の兵役の話を身近に感じた。韓国は大陸と陸続きなんだと改めて感じた。」「自分たちが留学生のために、大学で居やすい環境を作る必要があると感じた。」「ダブルとしての経験を聞くことができてよかった。」「ベトナムでは笑顔などの顔の表情、すみません、という言葉の使い方、時、が異なることが分かった。」「フィリピンの文化でうらやましく感じるところがあった。」「異文化を知ることができた。もっと開催して欲しい。」「ハワイに一回は行きたいと思った。魅力がたくさん!」「フィンランドと日本の文化の相違点がわかった。」「八木先生のお話を聞けて、これからの社会について必要なことが聞けた。」他、さまざまな気づきについて、感想をいただきました。

コーディネーターのゼミ生たちからは、「参加者が質問も積極的にしてくれてよいHLを開くことができた。」「準備の時に、本役ともっと連絡がきちんと取れればよかった。」図書館に居る学生たちにHLの案内をしたが、あまり関心を示さなかったので、参加を促す工夫が必要だ。」などの意見がありました。今後もこのような反省点を踏まえ、ゼミ生一同、継続していきたいと考えております。

 改めて、ヒューマンライブラリー開催にあたりお世話になりました、本役の方々、図書館職員の藤島亨様をはじめ、浅井由紀子様、伊藤淳子様、椎葉裕実様、その他ご協力いただいた職員の皆様に、山下ゼミ一同、深く感謝申しあげます。
                                  (学校教育研究科/経済学部准教授 山下美樹)