お知らせ
【開催報告】特別講義「カナダ観光の力」(2024年11月20日)
2024年11月20日(水)、外国語学部英語・リベラルアーツ専攻3・4年生を主対象とするAdvanced Commonwealth Studies B(カナダ研究・担当:田中俊弘教授)の授業で、カナダ観光局日本地区代表の半藤将代氏を講師にお招きして、「カナダ観光の力」と題する特別講義を開催しました。
まず、カナダが観光の目的として、「カナダの人々の経済的な豊かさと幸福度の向上」及び「世界中から訪れる観光客の人生を豊かにすること」の両面を掲げている点が紹介され、地元の人と観光客の双方が幸せになる観光の具体的な事例として、フォーゴ島、バンフ、チャーチル、ナイアガラ、そしてハイダグアイの5箇所での取り組みが、豊富な写真と現地での半藤氏自身の体験紹介などを交えた魅力的なスライドと語り口で説明されました。
頼みの漁業が廃れたニューファンドランド・ラブラドル州の小さな島が人気リゾート地となっていく過程や、動物との共存を計り、観光と環境保全を両立させようとするアルバータ州バンフ(カナディアン・ロッキーの景勝地)やマニトバ州チャーチル(ハドソン湾に面した「シロクマの首都」)の様子、滝が形を変えてしまわないように落水量を制限して、残りの水を発電に利用してきたオンタリオ州ナイアガラの取り組み、そして忘れてはならない同地の「地下鉄道」(アメリカ合衆国の黒人奴隷をカナダに逃して解放するための秘密結社)の歴史、先住民ハイダ族が観光の主体を担うようになったブリティッシュ・コロンビア州ハイダグアイ。それぞれに魅力的な観光地を存続していくための努力と工夫が活き活きと語られ、オーバーツーリズムを防ぎながら現地を活性化させる試みがカナダでどのように進められているかという説明を、受講学生たちは真剣に聞き入っていました。そして、田中教授からの質問と総括の後、授業を参観した渡邊信副学長も一緒に最後に皆で記念写真を撮影して楽しい授業が終了となりました。
以上の事例を含め、日本の観光を考える上で様々な手掛かりを与えてくれるカナダ観光の状況は、半藤氏の著書『観光の力:世界から愛される国、カナダ流のおもてなし』(日経ナショナルジオグラフィック社、2021年)でも知ることが出来ます。