お知らせ
【開催報告】情報系研究発表会「ReIDAC2024-2025」を開催
2025年2月14日(金)、第23回目となる研究発表会「ReIDAC」を開催しました。今回も会場(校舎さつき3101教室)とYouTubeのハイブリッド形式で実施し、多くの方々にご参加・ご視聴いただきました。
本年度は、1年生1件、2年生1件、3年生6件、4年生4件の合計12件の発表が行われました。どの発表も非常に高い完成度を誇り、発表者それぞれが自身の研究成果を熱心に説明し、質疑応答でも活発な議論が交わされました。
会場では、発表を通じて学年間の交流が深まり、また、YouTube配信を通じて遠方の参加者にも研究内容を広く届けることができ、より多くの方々に本研究発表会の意義を共有する機会となりました。
そんな大変盛り上がりの見せた発表の中から、いくつかピックアップしてご紹介いたします。紹介しきれなかったものはReIDACホームページに原稿とスライドを用意しております。そちらでもぜひ、麗大生たちが情熱を注いで作り上げた力作ぞろいの発表をご覧いただければと思います。
【データサイエンス部門】取締役会の構成が企業価値に与える影響
経済学部 経営学科 経営専攻 4年 佐藤 楓馬
(原稿) (スライド)
本研究では、企業価値に影響を与える要因として取締役会の構成に着目し、「役員の多様性」と「CEOの権力関係」による影響を分析しました。石油産業29社のデータを用い、役員の年齢や職歴、学歴の多様性、およびCEOの権力集中度が企業価値に与える影響を統計的に検証しました。
その結果、役員数が多いと企業価値が低下する一方、職歴や学歴の多様性が低いほど企業価値が向上することが明らかになりました。CEOの権力集中度については企業価値との明確な相関は見られませんでしたが、外部役員数は適度なバランスを保つことで企業価値向上に寄与することが確認されました。
【データサイエンス部門】下駄歩き練習が走動作に与える影響
経済学部 経営学科 スポーツビジネス専攻 4年 中野 貴誉
(原稿) (スライド)
厚底シューズは長距離ランニングのパフォーマンス向上に効果的ですが、丸みを帯びたソールであるため姿勢が不安定となります。そこで、歩きにくい一本歯の下駄を履いてバランス感覚を養う練習をしました。このことが、ランニングの姿勢を安定させられるのかについて、センシングデバイスを用いて評価しました。
【データサイエンス部門】常磐線沿線人流を解析する
工学部 工学科 情報システム工学専攻 1年 大場 史温
工学部 工学科 ロボティクス専攻 1年 小林 莞大
工学部 工学科 情報システム工学専攻 1年 桒谷 はるな
(原稿) (スライド)
1年生しかいない工学部学生たちと雑談する中で,中学3年生という多感な時期にコロナ禍を経験したこと,麗澤大学生の多くが常磐線沿線に住んでいることが分かりました.そのため,コロナでキーワードになった「ステイホーム」や「在宅勤務」の影響を視覚化するために,常磐線沿線人流データを分析することに決めました.12月下旬にゼミ学生を中心に千葉県在住学生でメンバー決めて,データ整理作業,分析・解析を開始しました.1月中旬にはメンバーが筑波大学を訪問し筑波大学大学院から指導を受けるなど,短期集中で分析しスピード感をもってパワーポイントなどの資料も作成してくれました.残された課題も多いのは事実ですが,伸びしろの広い学生達です.今後分析内容を深め,学会発表をさせていく予定です.
【ITサービス部門】記録を未来につなぐ -陸上部向けアプリで広がる可能性-
経済学部 経営学科 AI・ビジネス専攻 3年 西田 明夏音
(原稿) (スライド)
本研究では、大学陸上部の練習記録や体調管理の効率化を目的として、専用アプリを開発しました。従来の手書きによる練習日誌では、記録の統一性の欠如やデータ活用の難しさ、フィードバックの非効率性、食事・体重管理の不十分さが課題となっていました。
開発したアプリでは、選手が練習記録・体調管理・体重測定をデジタル入力し、コーチや監督がフィードバックを記録・共有できる機能を実装しました。データの蓄積と分析により、選手の成長を可視化し、競技力向上を支援します。
【アイデア・考察部門】生成AIで3Dモデリングはどこまでできるのか?
経済学部 経営学科 経営専攻 2年 白石 翔万
経済学部 経営学科 AI・ビジネス専攻 2年 鈴木 悠治郎
経営学部 経営学科 ビジネスデザイン専攻 1年 笠原 由衣
経営学部 経営学科 ビジネスデザイン専攻 1年 澁田 優歩
(原稿) (スライド)
近年、生成AIの進化により、3Dモデリングの分野でもAIの活用が進んでいます。本研究では、AIを用いた3Dモデリングの現状を検証し、その可能性と課題を明らかにしました。
研究では、Generative Designの活用事例を紹介し、Fusion360とPythonを組み合わせた設計支援の可能性を探りました。さらに、ChatGPTを活用してSTLファイルを直接生成する試みも行いました。その結果、AIは基本的な形状作成や設計の補助には有効であるものの、複雑なデザインや細部の制御には課題があることが分かりました。特に、自律的な設計を実現するためには、AIの精度向上とモデリングソフトとの連携強化が不可欠です。
【ITサービス部門】屋台運営におけるDX化の試み
経済学部 経営学科 AI・ビジネス専攻 4年 大野 伊周
経済学部 経営学科 AI・ビジネス専攻 4年 石川 大地
経済学部 経営学科 AI・ビジネス専攻 4年 小谷 海翔
(原稿) (スライド)
本研究では、学園祭における屋台運営のデジタル化(DX化)を目的として、売上管理システムを開発・運用しました。従来の屋台運営では、手作業による集計ミスやリアルタイムでの売上把握の難しさが課題となっていました。
研究では、スマホでの注文受付、計算ミス防止のレジ機能、売上情報の自動集計、ダッシュボードによる情報共有と意思決定支援を備えたアプリを開発しました。学園祭で実際に運用した結果、初日は運営効率の向上やリアルタイム分析の実現など、DX化の効果が確認されました。しかし、2日目は人手不足とアプリ開発者不在により従来方式に戻ってしまい、データの即時性・正確性の低下が発生しました。これらからアプリの有用性が証明されると同時に属人性の高さという課題が明らかになりました。
【データサイエンス部門】動画コメントのテキストマイニング:誹謗中傷コメントの自動抽出はどこまで可能か?
外国語学部 外国語学科 英語コミュニケーション専攻 4年 宮沢 拓弥
(原稿) (スライド)
卒業論文で取り組んだ謝罪動画のコメントのテキストマイニングの分析結果が思わしくなかった、ということで、ReIDACがよい再チャレンジの場になりました。ディープラーニングの技術でコメントをポジティブ・ネガティブ・ニュートラルに分類してからTF-IDFで重要キーワードを抽出した結果、ネガティブコメントに典型的な「こいつ」「馬鹿」「言い訳」といったキーワードが抽出できました。時系列分析の結果、いずれもコメントの数自体は炎上後急激に下がるものの、ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルなコメントの確かさの平均値がブレ続ける、いわば「静かにくすぶり続ける」ようなパターンがある動画が見つかりました。
やりたいことを実践する
学生達はゼミや授業の時間に教員指導のもと、自分達で悩みながら研究テーマを設定し、試行錯誤しながら文献研究、調査、そして、システム開発などに取り組んできました。また、昨年末から予稿論文の準備をすすめ、担当教員からは何度も指導をうけながら論文を完成させ、さらに発表スライドの作成や口頭発表練習など、発表ぎりぎりまで準備を重ねてきました。
発表者は皆、大勢の聴衆の前で緊張しながらも自分の研究成果を立派に披露し、やり遂げたという充実感であふれていました。
発表者の皆さん、そしてご参加・ご視聴いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後もReIDACが、学生の研究成果を発表し、学びを深める貴重な場として発展していくことを期待しています。