お知らせ
【実施報告】国際学部黒須ゼミと外国語学部田中ゼミが合同ワークショップ「超高齢社会におけるコミュニティ」を開催しました
2025年5月26日(月)、国際学部の黒須ゼミと外国語学部の田中ゼミによる合同ワークショップが行われました。黒須ゼミから15名、田中ゼミから9名、計24名の学生が参加し、地域社会の課題について体験的に学びました。
当日は、我孫子市で地域活動を行う「あびコミュコピ」より田中玲子氏をはじめとするファシリテーターをお迎えし、一般社団法人コレカラ・サポートが開発した超高齢社会体験ゲーム『コミュニティコーピング』を体験しました。開発者である上原氏ご本人にもご参加いただき、ゲームの背景や意図について直接お話を伺うことができる貴重な機会となりました。
『コミュニティコーピング』は、近年増加する単身世帯や老老世帯などに伴い、地域内でつながりを持たずに暮らす「社会的孤立」の問題を理解し、一人ひとりができることを考えるために生まれた協力型ボードゲームです。プレイヤーはそれぞれ、まちの住民としてのキャラクターを担い、得意分野を活かしながら地域の中で起こる困りごとに向き合い、他者の課題をどう読み解き、どのように支援につなげていくかを考えながら進めます。ゲームを通じて、地域課題への多角的な理解とともに、必要な支援先や地域資源へつなげる「社会的処方」という考え方に触れることができます。
ワークショップでは、学生たちは5〜6名ずつ5チームに分かれてゲームに取り組みました。ルール説明のあとにチーム内で自己紹介を行い、それぞれの役割を確認しながらゲームを進行。ゲーム中は、互いの意見を尊重しながら、どうすれば地域の困りごとを解決できるのかを話し合い、協力して課題に向き合う様子が見られました。
ゲーム終了後は、各チームでの振り返りの時間が設けられ、体験を通して得られた気づきや学びを共有しました。「相手の立場に立って考えることの大切さ」や「地域で人と人がつながることの意義」など、学生たちの感想からは、多くの学びがあったことがうかがえました。
さらにその後は、円形の意見共有ツール「えんたくん」を使ったワークに取り組みました。「より良い地域にするには、自分にはどんなことができるか?」をテーマに、学生一人ひとりが自らの考えをえんたくんに記入し、それを隣の人に回してコメントを書き合うことで、さらに対話を深めていきました。
今回のワークショップは、学生にとって社会課題を"自分ごと"として考える大きなきっかけとなり、体験を通して他者と協力する力や、自身の役割を見つめ直す力を育む貴重な時間となりました。
あびコミュコピ・田中玲子氏
コミュニティコーピングを体験する学生
えんたくんを活用したワーク
集合写真
参加学生の感想
・日本がここ数年で高齢化社会が深刻になっているのは理解していましたが、実際にどのような悩みがあるのか、解決策があるのか、深く考えたことがありませんでした。しかし、今回ゲームで体験したことによって、それぞれの悩みをどのように解決するべきなのかを理解することができました。また、グループで話し合ってみんなと協力しながら解決ができて達成感がありました。自分の地域と比較しながら自分の地域をどのようにしてより良いものにするべきなのかを見つめ直す時間がつくれて良い経験ができました。
・地域の住民が抱える悩みの多くが非常に現実的で、将来私たち自身が向き合わなくてはならない問題であることを実感しました。同時に、それらの悩みに対する解決策はすでにいくつも存在しているにもかかわらず、必要としている人に十分届いていないという現状にも気づきました。
その中で「まずは話を聞くこと」、いわゆるコーピングの大切さを改めて学びました。悩みを誰かに話すことで、気持ちが軽くなったり、自然と解決への糸口が見つかることもあります。人と人とのつながりの中にこそ、支え合いや安心感が生まれるのだと思います。そして、悩みが少しでも解決に向かえば、相談した側も、相談に乗った側も、地域に対してより愛着を持てるのではないかと感じました。身近に相談できる人がいると思えるだけで、帰る場所があるというような安心感が得られるのではないかと思います。
また、「えんたくん」で自分たちが今できること、今後やってみたいことを話し合った際、あらためて「地域のために何かを考える」という経験自体が初めてであることに気づきました。せっかく近くに住んでいるという"縁"をもっと大切にしていきたいという思いが芽生えました。まずは、日常の中で勇気をだして「挨拶をしてみる」という小さな一歩から始めていきたいです。