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2025.12.10

【実施報告】五感とアートで学ぶ対話の力 ― 柏陵高校との高大連携授業報告

2025年11月26日(水)、本学外国語学部と柏陵高校による高大連携プログラムの一環として、花田太平准教授ゼミによるダイアローグ(対話)の体験授業を実施しました。高大連携プログラムは全3回で構成されており、第一回目では中国語と韓国語の授業体験、第二回目では大学生の授業に参加してドイツ語を体験し、そして第三回目となる今回はダイアローグの体験授業を行いました。

テーマは「非言語コミュニケーションで知るあなたとわたし」。当日は柏陵高校から11名の生徒が参加し、五感を使ったワークやアート体験、哲学対話に取り組みました。

はじめに、花田准教授より「対話とは何か」についてレクチャーが行われました。対話は、会話(カンバセーション)や議論(ディスカッション)とは異なり、互いの"違い"や"痛み"を基盤に相手を尊重しながら関わり合う創造的な営みです。否定的な態度をとらず相手の人格を大切にすること、「聞く」と「話す」を丁寧に分けること、自分の経験や感情を大切に語ることなど、対話において大事にしたい姿勢が紹介されました。

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続くアクティビティ1では、花田ゼミ4年生・佐々木真子さんが「五感ワーク」を実施しました。普段は他者の評価や情報に左右されがちな"感覚"に意識を向けるため、あえて五感に集中し、自分自身の内側にある感覚を見つめ直すワークです。生徒たちは麗澤大学の緑豊かなキャンパスに出て、聴覚・触覚・視覚など五感で感じたことをメモに書き留めました。「落ち葉のざらざらした触感」「鳥のさえずり」「紅葉の鮮やかさ」など、各自が感じた気づきが丁寧に記されていました。最後には二人一組のペアで感想を共有し、「普段意識していなかった感覚」について語り合いました。

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アクティビティ2は、同じく4年生の川津せりさんによる「DIALOGUE×COLLAGE ― 内面世界を見つめるアート体験」。外側の情報に目が向きがちな日常から一歩離れ、自分の内面にある世界をアートで表現するワークです。生徒たちは雑誌の切り抜きを自由に選び、はさみやクレヨンといった幼い頃に親しんだ道具を使って、二人一組でコラージュ作品を制作しました。丁寧に素材を選ぶグループ、ダイナミックに用紙いっぱいに紙を貼るグループ、クレヨンを手でぼかして質感を出すグループなど、それぞれが創意工夫を凝らし、個性豊かな作品が完成しました。作品発表では、「この青は地球をイメージしました」「シティガールを表現しました」など、思いを込めた表現が語られ、聞き手からも「どの部分がお気に入りですか?」など活発な質問が寄せられました。

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最後は、花田准教授による「哲学対話」で、これまでの非言語ワークを振り返りました。投げかけられた問いは2つ。「①非言語でつながることは可能か?言語のコミュニケーションとどう違うのか」「②大人が一時的に"子どもに戻ること"は逃げなのか」。5~6名のグループに分かれ、生徒たちは一人ずつ自分の考えを丁寧に言葉にしました。

・病気などで言葉を話せない人もおり、非言語でつながることは十分可能である。むしろ言葉を使えないからこそ、非言語でどのように思いを伝えるかを意識する必要がある。
・英語が苦手で言語が通じなくても、海外の人とはジェスチャーなどを通して関わることができる。
・「子どもに戻る」ことは決して逃げではなく、過去を振り返ることで自分の強みを再確認する機会にもなる。
・子どもと同じ目線に立つことで気持ちが楽になることがある。一時的に子どもに戻ることは良いことだと思う。

など、多様な視点から意見が交わされました。

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授業の振り返りでは、「言語を学ぶ方法は一つではないことを知った」「高校の授業より、皆とコミュニケーションを取りながら学べて楽しかった」「非言語コミュニケーションも大事だと実感した」などの声が寄せられました。

今回の体験授業は、生徒の皆さんにとって、言葉に頼らないコミュニケーションの可能性や、自分の内面と向き合う新しい学びを体感する貴重な機会となりました。本学ではこれからも、高校生が学びへの関心を広げられるような取り組みを続けてまいります。

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柏陵高校との高大連携について

高校生に大学での主体的な学びを実際に体験してもらうため、2022年に高大連携協定を締結。外国語学部、国際学部、工学部とこれまで様々な学部と連携。2025年は外国語学部と工学部が連携を実施。