お知らせ
【開催報告】廣池学園創立90周年記念特別講演「中国と台湾―危機と衝突の政治学」
2026年5月18日(月)、「現代中国入門B/アジアの国際関係入門」(担当教員:清水麗教授)の授業において、廣池学園創立90周年記念講演「中国と台湾―危機と衝突の政治学」を開催しました。講師には、東京大学東洋文化研究所教授・麗澤大学客員教授の松田康博先生をお招きしました。松田先生は麗澤大学の卒業生であり、慶應義塾大学大学院にて博士号を取得後、2008年より東京大学に着任。中国・台湾関係研究の第一人者として国内外で活躍されています。
「現代中国入門B/アジアの国際関係入門」では、現代中国を中心にアジアの国際関係や外交政策、戦後国際秩序などについて学んでいます。また、日本にとっても重要な課題である「台湾海峡の平和と安定」について、中国と台湾の関係の歴史的展開を踏まえながら理解を深めています。
本授業では、国際秩序が大きく転換している現在、「何が変わり、何が変わらないのか」を自ら考える力を養うことを目的に、歴史を紐解いてきました。これまで授業で扱った冷戦後の国際秩序や台湾海峡問題の学びをさらに発展させることを目的に、本特別講演が実施されました。
今回の記念講演では、中台関係の歴史的変遷から現在の国際情勢まで、幅広いテーマについて解説が行われました。中国は長年、「一つの中国」原則のもとで各国に外交的圧力をかける一方、経済成長によって台湾との力関係を変化させてきた経緯が紹介されました。また、「統一」「独立」「現状維持」をめぐる台湾社会の動向や、台湾人・中国人としてのアイデンティティの変化についても説明が行われました。
中国歴代政権の対台湾政策についても解説があり、鄧小平時代の「平和統一・一国二制度」から、習近平政権下で強まる軍事的圧力や対外強硬姿勢まで、中国の対台湾政策が時代とともに変化してきたことが紹介されました。特に、香港における「一国二制度」の変化が台湾社会にも大きな影響を与えていることが指摘されました。
中国による武力統一の可能性についても議論され、松田先生は、軍事的威圧を背景に台湾を屈服させる「強制的平和統一」の可能性について言及する一方、中途半端な軍事行動はロシアによるウクライナ侵攻のように長期化する危険性もあると分析しました。
また、「習近平の蔣介石化」という視点から、中国側に「軍事的に台湾を取れない」と再計算させることの重要性についても語られました。日本・台湾・アメリカが抑止力を着実に高め、中国に対して軍事的成功が見込めない状況を作り出すことで、中国が想定するタイムテーブルの変更を迫ることが重要であるとの見解が示されました。
講演後には質疑応答も行われ、学生からは「イランに対する中国の今後の対応」など、国際政治に関する積極的な質問が寄せられました。
今回の特別講演を通じて、学生たちは台湾海峡問題をはじめとする現代アジアの国際情勢について、歴史的背景と国際政治の両面から理解を深める貴重な機会となりました。












