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2026.07.02

【実施報告】デンマークのオープンダイアローグ実践家を迎え、対話セッションを実施

2026年6月26日(金)、外国語学部の花田太平准教授のゼミナールにおいて、デンマークから来日中の哲学者Benjamin Jensenさんを迎え、有志学生との対話セッションを実施しました。

Benjaminさんは、オープンダイアローグ/対話的実践、リカバリー、芸術文化、コミュニティ形成、組織開発などを横断して活動する実践者です。現在は、コペンハーゲン近郊のLyngby-Taarbækにあるリカバリー志向の支援センター「Støttecenter Hjorten」に勤務するほか、デンマークの自治体で行われている市民向けのオープンダイアローグ研修プログラムの共同開発にも携わり、講師を務めてきました。また、デンマークにおける公式のオープンダイアローグ団体「Open Dialogue Denmark」の理事も務めています。

哲学者Benjamin Jensenさん

今回のセッションは、参加者同士が同じ場に集い、互いの声に耳を傾けながら進める対話の時間として行われました。冒頭では、学生とBenjaminさんが輪になり、自己紹介を行いました。

Benjaminさんは、自身がオープンダイアローグに出会うまでの歩みについて紹介しました。幼い頃から「なぜ人は本当に話したいことを話さないのか」という問いを抱いていたこと、哲学や文学を学ぶ中で、言葉が人を開くこともあれば、分類し閉じ込めてしまうこともあると感じてきたことを語りました。さらに、自身の経験を通して、診断や役割、肩書きなどによって人を一面的に捉えるのではなく、その人の経験や声に丁寧に耳を傾けることの大切さを伝えました。

セッションの中で特に印象的だったのは、Benjaminさんが「分類しない言語」について語った場面です。言葉だけでは表しきれない思いや感覚に触れる方法として、アート、音楽、ダンス、ライティング、自然の中を歩くこと、ただ共にいることなどを挙げ、それらを通して人は互いにつながり直すことができると説明しました。参加者からは、自分にとって大切な家族の記憶や、身近なものに込められた思いについて語る声もあり、世代や国を越えた対話が生まれました。

後半では、花田准教授より「教育におけるケアに根差した対話実践」について紹介がありました。花田准教授は、教育の場では、学生の沈黙や提出物の遅れ、発言の少なさなどが、当事者の文脈から離れたところで「意欲がない」「構成力が足りない」といった評価の言葉に置き換えられてしまうことがあると指摘。そのうえで、学生が自分の経験や迷い、不安を教室の外に置いてくるのではなく、安心して持ち込める場をつくることの重要性を語りました。

また、教育の場における対話では、ただ早く問題を解決するのではなく、学生自身が考え、ためらい、意味を見つけていく時間を大切にする必要があると説明。教室の中心を教員が占めるのではなく、あえて「空けておく」ことで、学生一人ひとりの声が見えてくるような場づくりを目指していると話しました。

最後に参加者は、セッションを通して感じたことを共有しました。学生からは、「これまでは対話の中で意見をまとめることが大切だと思っていたが、まとめることで一人ひとりの声を奪ってしまうこともあると気づいた」「沈黙の時間にも、それぞれが感じていることがあり、聞くこと自体が大切な参加なのだと感じた」「価値のあることを言わなければならないと思っていたが、自分の経験や感情を共有することも、誰かの内側に影響を与えるのだと感じた」といった声が聞かれました。

今回のセッションは、デンマークと日本、実践者と学生が同じ場に集い、言葉や身体感覚、沈黙を含めた多様な対話のあり方について考える貴重な時間となりました。

  •            セッション冒頭の自己紹介

  •            小グループでのダイアローグ

  •           花田准教授による対話実践の紹介

  •              全体での記念撮影

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