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教育・研究
2026.07.28

【開催報告】流山市長 井崎義治氏による特別講義を実施

2026年7月8日(水)、麗澤大学の授業「社会システムのデザインと技術」(担当:大澤義明教授)において、流山市長の井崎義治氏を特別講師に迎えた講義が行われました。

講義の冒頭で大澤教授は、昨年度に続き井崎市長に講師を依頼した理由として、井崎市長がデータやエビデンスに基づく政策決定を重視していること、「母になるなら、流山市。」に代表されるように、若い世代に選ばれるまちづくりを長期的に進めてきた点を紹介しました。さらに、麗澤大学のキャンパスの一部や学生の生活圏が流山市に位置していることにも触れました。

今回の特別講義では、「流山市の経営戦略~これまでの歩みと未来への展望~」をテーマに、人口減少時代においても発展を続ける流山市の取り組みについて、実際の自治体経営の視点からお話しいただきました。

井崎市長からはまず、流山市がかつて直面していた二つの大きな危機について紹介がありました。一つは急激な少子高齢化の進行、もう一つはつくばエクスプレス沿線の大規模な区画整理事業です。2003年に井崎市長が就任した当時、すでに区画整理事業は進行しており、開発は止めることができない状況でした。その中で、流山市は都市開発を単なる宅地造成で終わらせるのではなく、市の政策が及ぶ範囲を最大限活かして、緑を回復し、住み続ける価値の高いまちへと転換することを目指しました。

その象徴的な取り組みとして紹介されたのが、2006年に始まった「グリーンチェーン認定制度」です。これは、開発によって失われる緑を少しでも回復し、環境価値や景観価値を高めるための制度です。井崎市長は、都市化が進む中でも街路樹や公園、公共空間への植栽を進め、「都心から一番近い森のまち」を築いてきたことを説明しました。

また、流山市の成長戦略として、「交通利便性の向上」、「緑豊かな良質な住環境の維持・向上」、「快適で楽しい都市環境の創出」、「住みたいまちとしてのブランド化」という4つの方向性が示されました。つくばエクスプレスの開業や道路交通の整備などによって移動の利便性を高める一方で、地域資源を活かしたイベントや流山本町のまち並みを活かしたツーリズムなど、定住人口と交流人口の双方を意識した施策が進められてきました。

子育て世代を意識した政策についても紹介がありました。流山市では、共働きの子育て世代をまちづくりのメインターゲットに位置づけ、保育環境の整備や駅前送迎保育ステーションの設置など、子育てと仕事の両立を支える取り組みを進めてきました。さらに、従来と同じ働き方を続けることが難しくなった方を支援するため、女性向け創業スクールを展開し、シェアキッチン・シェアオフィスの取り組みにも発展しています。

講義後半では、学生2名による即日課題発表が行われました。1人目の学生は、現在は子育て世代が多く住む流山市において、将来的に高齢化が進んだ際、現在の政策と住民ニーズとの間に差が生じる可能性があると指摘したうえで、住宅のバリアフリー化補助や、介護・医療費に備える積立サービスなどを提案しました。これに対し井崎市長は今後も住みたいまちとして選ばれ続け、住宅の資産価値が保たれるためには、住環境や都市環境、行政サービスの充実が重要であると述べました。

2人目の学生は、地域開発による自然の減少や、つくばエクスプレス沿線と駅から離れた地域との格差に着目し、自然を活用した大型施設の整備を提案しました。これに対し井崎市長は、流山市の緑は大切な資産であるとしたうえで、市内にすべての機能や大規模施設を持たせることの難しさにも触れました。そのうえで、近隣地域や全国各地の施設と役割分担し、連携していく視点の重要性を示しながら、今後も流山市の緑を減らさず、可能な限り増やしていく施策を展開していきたいと述べました。

今回の特別講義を通じて、学生たちは、社会課題の解決には一つの施策だけでなく、都市計画、環境、交通、働き方、子育て、地域経済、ブランディングなど、複数の視点を組み合わせて横断的に考えることが重要であると学びました。現役市長から自治体経営の実践や政策判断の背景を直接聞くことで、社会システムをデザインすることの難しさと面白さを実感する機会となりました。

  •   講義で登壇された流山市長・井崎義治氏

  •   特別講義の様子

  •   学生の提案発表

  •   講義終了後に撮影した記念写真


学生の感想

・流山市の隣にある松戸市に住んでいますが、流山市には遊びに行ったことがある程度で、市の政策についてはあまり知りませんでした。今回の講義を通して、流山市がどのような考えでまちづくりを進めてきたのかを知ることができ、とても勉強になりました。特に、昔と現在の年齢層別人口のグラフを見たとき、少子高齢化という言葉をよく聞く中で、流山市では若い世代が増えていることに驚きました。

・今回の講義を通して、まちづくりは簡単なものではないということを学びました。私は森を活用した施設を提案しましたが、一つの課題を解決しようとすると、別の地域課題や制約も出てくるため、自分の意見だけで押し通すことはできないのだと感じました。また、参考にした群馬県の施設と流山市では土地の広さや条件が異なることも分かり、今後は提案を考える際に、場所の広さや地域の特性までしっかり調べる必要があると感じました。

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