お知らせ
【開催報告】地域未来プロジェクト『石黒浩教授とともに考える「私たちの未来」』を開催 ―5学部が集うワンキャンパスで実現した、文理融合の学び―

2026年7月20日(月・祝)、高島市民会館において、地域未来プロジェクト『石黒浩教授とともに考える「私たちの未来」』を開催しました。
本イベントは、高島市と麗澤大学との包括連携協定を基盤に、地域との連携をさらに深めるとともに、次代を担う若者と地域住民がともに未来を考える機会として企画したものです。
当日は、高島市出身で、世界的なロボット研究者として知られる大阪大学栄誉教授・麗澤大学特別招聘教授の石黒浩教授を迎え、「いのちの未来」をテーマとした講演を実施したほか、中学生・高校生・大学生によるプレゼンテーション、石黒教授と高島市長、学生によるパネルディスカッションを行いました。
地域の未来を考えるためには、その地域で暮らす人々だけでなく、これから地域を担う若い世代の視点が欠かせません。そこで本イベントでは、麗澤大学・麗澤高等学校に加え、高島市内の中学生・高校生も企画や登壇者として参加しました。大学と地域、専門家と若者、世代や立場を越えた対話を通じて、50年後の未来について考える一日となりました。
また、会場ロビーにはヒューマノイドロボット、対話型ロボット2種類のロボットを展示しました。
ヒューマノイドロボットは高橋英之先生(追手門学院大学)および川田恵先生(近畿大学)のご協力により、ロボットが実際に動く様子も紹介され、多くの来場者の目をひきました。
対話型ロボットは会話内容や受け答えはすべて学生がプログラミングしたもので、来場者は実際にロボットとの対話を楽しみながら、AIやロボット技術を身近に体験しました。
会場前のロビーではロボットを通して未来のテクノロジーに触れる場となりました。
全学部の学生が一丸となって数か月をかけて創り上げた文理融合のプロジェクト
今回のイベントは、麗澤大学の学生が主体となって企画・運営を進めたプロジェクトです。
麗澤大学では、工学部、経済学部、経営学部、国際学部、外国語学部の学生が学部の垣根を越えてプロジェクトチームを結成し、数か月前から準備を重ねてきました。
学生たちは、プレゼンターやパネリストとして登壇するとともに、企画内容の具体化や当日の運営設計、司会台本の作成、ライブ配信、音響・映像機材の準備、会場設営、来場者対応など、多岐にわたる役割を主体的に担当しました。
準備期間中は、授業や研究、課外活動と並行しながら、高島市や登壇する中学生・高校生ともオンラインで打ち合わせを重ね、学生が役割を全うすることに全力を注ぎ、定期的に進捗確認をしながら、全員が力をあわせて一つひとつ課題を解決しながら本番を迎えました。
当日は、舞台袖で進行を確認する学生や登壇者をサポートする学生、配信・音響を担当する学生など、それぞれが責任を持って役割を果たしました。互いに連携しながらイベントを支える姿から、学生たちの主体性がうかがうことができ、企画から運営まで主体的に携わった本プロジェクトは、実践的な学びの機会となりました。
-

受付の展示物
-

学生が全てプログラミングした対話型ロボット
-
歩行型ロボットもお出迎え -
配信チームも入念にカメラチェック -
会場は多くの方たちで満員 -
機材の細かいチェックも欠かさない在学生 -
緊張しながらも堂々と司会を務める在学生 -
会場アナウンスも在学生が務めました
石黒浩教授が語る「いのちの未来」
イベント前半では、石黒教授が「いのちの未来」をテーマに講演しました。石黒教授は、2025年大阪・関西万博でプロデューサーを務めたシグネチャーパビリオン「いのちの未来」を紹介しながら、人間がAIやロボットと共生する未来について語りました。
講演では、自律的に動くロボットだけでなく、人間が遠隔操作するロボットやCGキャラクターなども広く「アバター」と捉え、人間もまた社会との関わりの中で役割を果たしているという視点から、「人間もアバターかもしれない」という問いを投げ掛けました。
また、自身の記憶や知識を受け継ぐアンドロイドを題材に、「技術的にできること」と「人間が望むこと」は必ずしも一致しないと説明しました。AIやロボットの進歩によって生活は便利になる一方、その技術をどのように活用し、どのような社会を築いていくのかを考えることが重要であると語りました。
さらに、人口減少や労働力不足といった地域課題に対しても、AIやロボットは新たな可能性をもたらすと述べました。技術が人間の仕事を奪うのではなく、人間らしい暮らしや地域文化を守るための力となる未来への期待が示されました。
石黒教授は最後に、「未来は誰かがつくるものではなく、私たち自身が考え、選び、創っていくもの」であると語り、参加者へ「人間とは何か」「どのような未来を望むのか」という問いを投げ掛けました。
技術の進歩だけでなく、人と人とのつながりや地域との関わりを見つめ直す講演は、これから始まる学生たちのプレゼンテーションやパネルディスカッションへとつながる、大きな学びの時間となりました。
-
高島市出身の石黒先生の登壇 -
真剣に未来のことを考えるきっかけになる講演
4人の若者が描いた、それぞれの50年後
続いて行われた学生プレゼンテーションでは、安曇川中学校、高島高等学校、麗澤高等学校、麗澤大学から4人が登壇しました。
世代や立場、興味・関心は異なりますが、それぞれが自らの経験や問題意識をもとに、「50年後の未来」をテーマに発表を行いました。AIや地域、文化、音楽など、多様な視点から未来を見つめた発表は、来場者に新たな気づきを与える機会となりました。
AIと共に生きる未来への問い/安曇川中学校3年 NAIKIさん
NAIKIさんは、自ら描いた一枚のイラストを用いて、50年後の未来を表現しました。
地球温暖化や宇宙開発、AI、アンドロイドなど、さまざまな未来技術を描き込みながら、特にAIと人間との関係に着目しました。
生成AIによって生活が便利になる一方で、人間がAIに判断を委ね過ぎてしまうことや、真偽の分からない情報が増えることへの懸念も提示。
また、AIとの恋愛やAIが宗教のような存在になる未来など、中学生ならではの自由な発想で未来像を描きました。
発表の最後には、イラストの中で地球が流す涙は「感動の涙」なのか「絶望の涙」なのかと会場へ問い掛け、技術と人間の在り方について考えるきっかけを示しました。
-
NAIKIさんが手がけた懇親のイラスト -
若い世代ならではの感性を活かしたプレゼン
50年後も帰って来られる高島市へ/高島高等学校2年 堀江康暉さん
堀江さんは、「50年後、高島市はあると思いますか」という問いから発表を始めました。
少子高齢化や人口減少など地域が抱える課題を挙げながら、「将来、故郷へ帰って来られる場所であってほしい」という率直な思いを語りました。
そのためには、高島市の豊かな自然や地域資源を改めて価値として発信し、多くの人が訪れたくなるまちづくりが必要ではないかと提案。
地域の魅力を見つめ直す視点から、「皆さんで一緒に高島市の未来を考えていきませんか」と呼び掛け、会場から大きな拍手が送られました。
-
産まれ育った故郷の未来を真剣に考える堀江さん -
故郷への愛が溢れたプレゼン
音楽とテクノロジーがつくる新しい文化/麗澤高等学校3年 岡 理仁さん
岡さんは、吹奏楽やピアノの経験をもとに、「音楽とテクノロジー」をテーマに発表しました。
AIやブレイン・マシン・インターフェース(BCI)、スマートグラスなどの技術が発展することで、人間の音楽体験そのものが変化していく未来を展望しました。
さらに、街ごとに特色ある音楽文化が生まれ、地域の魅力や個性につながる可能性にも言及。
「今の価値観だけで未来を判断するのではなく、新しい技術や文化を柔軟に受け入れていくことが大切」と締めくくりました。
-
音楽×AIの可能性を伝える岡さん -
自作の音楽を流しプレゼンすることでAIの拡張性を主張
各学部の学生と考えた、未来に残したいもの/麗澤大学工学部3年 前田守海さん
前田さんは、内閣府のムーンショット目標を題材に、「50年後に地域へ残したいものとは何か」をテーマに発表しました。
この発表は、前田さん一人で作り上げたものではありません。工学部、経済学部、経営学部、国際学部、外国語学部から集まった学生たちが、数か月にわたるプロジェクト活動の中で何度も議論を重ね、それぞれの専門や視点を持ち寄りながら内容を磨き上げたものです。
議論では、「技術が進歩すれば本当に幸せになれるのか」「AIやロボットによって距離や身体の制約がなくなった先に、人間らしさはどこに残るのか」「地域に残すべきものは何か」など、多様なテーマについて意見を交わしました。工学的な視点だけでなく、経済や経営、国際、言語・文化など、それぞれの学びを背景とした考えが加わることで、一つの未来像を多角的に捉える発表へと発展していきました。
そうした議論を踏まえ、前田さんは、VRやアバターが普及し、場所や時間の制約を超えられる未来であっても、目的地へ向かう移動の時間や、その土地ならではの文化、人とのつながりには変わらない価値があると提案しました。
また、高島市の「かばた」を例に挙げながら、地域文化は自然に残るものではなく、人々が守り、受け継ごうとする意思によって未来へ継承されていくと説明しました。テクノロジーが発展する時代だからこそ、人間が残したいと思うものこそが、未来へ受け継がれていくという考えを示しました。
最後に前田さんは、「50年後に残るものは、人から残したいと思われたものだけです」と語り、「あなたが50年後に残したいものは何ですか」と会場へ問い掛けました。
各学部の学生が専門や価値観の違いを越えて議論を重ね、一つの答えを導き出したこの発表は、ワンキャンパスだからこそ実現した文理融合の学びを象徴するプレゼンテーションとなりました。
-
5学部を代表してプレゼンに臨む前田さん -
ワンキャンパスで文理融合の学びを実現している麗澤大学の学びを体現したプレゼン
高島から考える50年後の未来
最後のプログラムでは、パネルディスカッション「高島から考える50年後の未来~地域・自然・文化、そして『人』のつながり」を実施しました。
パネラーとして、石黒浩教授、高島市長の今城克啓氏、高島高等学校2年の渡邊遥揮さん、麗澤大学国際学部2年の小林麻生さんが登壇し、司会進行は麗澤大学の黒須里美副学長が務めました。
高島市を故郷とする石黒教授、地域行政を担う今城市長、高島市で暮らす高校生、地域連携活動を通じて高島市を「第二の故郷」と感じるようになった大学生という、それぞれ異なる立場から、地域の未来について意見が交わされました。
議論では、学生プレゼンテーションを振り返りながら、人口減少や若者の流出、地域文化や自然の継承、AIやロボットが地域社会にもたらす可能性など、多様なテーマについて対話が展開されました。また、地域に根付く人と人とのつながりや、外から訪れた人を温かく受け入れる文化など、高島市ならではの魅力についても意見が交わされました。
石黒教授は、未来を考えるうえで大切なのは、AIやロボットなどの技術そのものではなく、「どのような社会をつくりたいのか」を人々が対話を通じて考え続けることだと語りました。技術と地域、人とのつながりを融合させながら未来を創っていくことの重要性が共有され、会場全体で未来への思いを深める時間となりました。
-
世代・立場を越えたパネルディスカッション -
多様なテーマを展開する黒須副学長
-
色々な方からの話を価値ある意見として受け止め、高島市の未来を語る今城市長 -
県外から見た高島市の魅力を語る小林さん
-
若い視点で高島市の未来を語る渡邊さん -
多様な意見に対して専門的な切り口でリアクションする石黒先生
地域・世代・文理を越え、未来をともに創る
イベントの最後には、企画・運営に携わった学生たちがステージに集まり、会場から大きな拍手が送られました。
今回の地域未来プロジェクトは、学生が用意されたイベントを運営するのではなく、自ら企画し、多くの人と協力しながら一つのプロジェクトを形にする実践的な学びの場となりました。
また、工学部、経済学部、経営学部、国際学部、外国語学部の学生が学部の枠を越えて協働したことは、文理融合の学びがワンキャンパスに集約された麗澤大学だからこそ実現できる学びを象徴する取り組みでもあります。
さらに、高島市の中学生・高校生、大学生、地域の皆さま、行政、そして研究者が一堂に会し、それぞれの立場から50年後の未来について語り合ったことで、地域と大学がともに未来を考える新たな価値を生み出しました。
AIやロボットが進化する時代だからこそ、人と人とのつながりや地域文化の価値を見つめ直し、未来を担う若い世代が自ら考え、行動することの大切さを共有した本イベント。参加した学生一人ひとりにとっても、地域社会とともに未来を創る意義を実感する貴重な機会となりました。
当日の様子がわかる以下のコンテンツもお楽しみください!
▼フォトギャラリー/Creative Director Yoh ▼
▼アーカイブ(6カ月間限定)▼
▼イベントサイト▼
https://reitaku-lab.github.io/mirai/











