お知らせ
天塩高大連携事業を開催 若い世代が牽引する過疎のまちづくり
2026年9月17日から20日まで、北海道北部の天塩(てしお)町において高大連携事業を開催しました。
天塩町の人口は約2,500人と、ピーク時の4分の1にまで減少しています。麗澤大学は2024年2月に天塩町と包括連携協定を、2026年2月に北海道天塩高等学校と高大連携協定を締結しており、本事業はこれらの協定に基づくものです。
本事業は、本学工学部・大澤義明教授、経済学部・欧陽君顔助教、および筑波大学・川島宏一教授の指導の下、地元高校生とともに過疎地域のまちづくりを考えるものです。本学から8名、筑波大学から2名の学生がTA(ティーチング・アシスタント)として参加し、天塩高校2年生全員の14名と、4グループごとにワークショップを行いました。
天塩・高大連携の3つの特徴
第一に、天塩高校は存続の危機に直面している生徒数60名の小規模校であり、町全体で高校の魅力化のための教育に力を入れている点です。
第二に、筑波大学による連携事業を引き継ぎ、本年度で9年目を迎え、長い時間をかけて培われた信頼関係に支えられている点です。
第三に、高大連携活動が「総合的な探究の時間」として高校の授業カリキュラムに組み込まれている点です。持続性を意識し、天塩町の地域課題を踏まえた「イベント企画」「特産品」「イベント運営」「環境保全」などのテーマを展開しています。1年生後半から自ら課題設定を行い、2年生で高大連携を含めた本格的な探究活動へとスムーズに繋げることで、地域に根差した実践的な学びを実現しています。本学学生も、現地での対面指導だけでなく、事前のオンライン授業から主体的に参加しています。
初日(9月17日) 羽幌町訪問
天売島や焼尻島の離島を抱える羽幌町を訪問しました。北海道海鳥センターにて、羽幌町教育委員会学校管理課長ならびに羽幌町議会議員より、町立北海道天売高等学校および北海道羽幌高等学校を例に、過疎地域における小規模高校の経営戦略についてご説明いただきました。
特に、離島にある天売高校が定時制であり、全国から生徒を受け入れている現状には参加学生の多くが関心を寄せ、活発な質疑が交わされました。また、羽幌町の地域おこし協力隊員より、天売島・焼尻島やオロロンライン沿岸に飛来する海鳥の魅力、空き家をはじめとする地域ならではの課題への取り組みについてご紹介いただきました。
羽幌町での地域研究の様子
2日目(9月18日) 天塩高校での活動初日
天塩高校での活動初日を迎え、冒頭で大澤義明教授による趣旨説明の後、佐藤光洋校長よりご挨拶をいただきました。続いて工学部3年・中谷健太さんが大学生から見た高大連携の意義について述べ、天塩町職員の菅原英人様より、これまで8年間の天塩高大連携の経緯をご紹介いただきました。
大澤教授による高大連携の趣旨説明
その後、2年生14名が4班に分かれてワークショップを行いました。各班では大学生2〜3名がファシリテーター役を担い、高校生の率直な意見を引き出しながら、事前学習での提案を若い目線で先鋭化させました。
データや写真を組み込んで論理構成やストーリーを明確にするなど、情報・知識・アイデアの交流を重ねるとともに、原稿を見ずに自分の言葉で語りかけることを心がけ、翌日の発表会に向けた練習に取り組みました。
天塩高校生とのワークショップの様子
また、天塩高校の全校生徒が集まった大学生キャリア講話では、工学部3年・茂木優和さんが「責任を伴う大学の自由さ」について、経済学部2年・大越耀さんが「大学生になって見えてきた高校生活の後悔3点」について、それぞれ自身の経験を交えて語りました。高校生たちは、年齢の近い先輩たちの言葉に熱心に耳を傾けていました。
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キャリア講話(茂木優和 工学部3年)
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キャリア講話(大越耀 経済学部2年)
3日目(9月19日) 発表会とパネルディスカッション
2年生による発表会には、吉田忠・天塩町長、西村聡・天塩町教育長、横山敦・天塩町議会議長をはじめ、多くの町関係者にご参加いただきました。イベント企画班、特産品班、イベント運営班、環境保全班の4班が発表し、高校生、町議会議員、大学教員から活発な質疑がなされました。
いずれの発表も、感覚的なアイデアにとどまらず、町の課題背景やデータなどのエビデンスを重視した作業を積み重ねた結果として示されたものです。
発表を受けて、横山議長、吉田町長、川島教授が順次講評を行い、川島教授は「町長、議員、高校生、町民が一堂に会し町の未来を考えること、これは小規模自治体だからこそ成り立つものだ」と締めくくりました。
天塩高校生の発表の様子
参加者の投票により、イベント運営班の「あなたの心をLock On」が1位に選出されました。同班は、10月31日に麗陵祭で開催される麗澤大学地域連携シンポジウム、および11月1日に筑波大学の学園祭で開催される筑波大学高大連携シンポジウムに参加することとなりました。
続いて「若い世代が本音で考える天塩の未来」をテーマにパネルディスカッションを実施しました。本学からは国際学部2年・小林由佳さんと欧陽助教がパネリストとして参加し、「高大連携で見えた天塩」「デジタルネイティブから見た天塩」「これからの天塩・道北と向き合う」の3つの切り口から、若い世代による自由闊達な議論が展開されました。
通常、市町村の政策決定は行政や議会を通じて丁寧かつ慎重に形成されるものです。しかし本事業では、天塩の地域課題という大きな枠組みに対し、高校生が考えた提案を、議員や町長、行政職員、町民、高校教員、天塩町の地域おこし協力隊など地域の関係者が一堂に会する場で議論し、予算化まで検討されました。
即時性、透明性、そして開かれた雰囲気が確保されたこの発表会とパネルディスカッションは、まさに健全なタウンミーティングの様相を呈していました。
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パネルディスカッションの様子
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集合写真_高大連携シンポジウム2026
最終日(9月20日) 道北地域の施設・名所を見学
本学参加者は2グループに分かれ、トナカイ観光牧場、幌延深地層研究センター、宗谷岬を訪問しました。各地での見学を通じて、道北地域の雄大な自然や地域の特色に触れるとともに、深地層研究への理解を深めました。
本学参加学生のほとんどにとって、今回が初めての北海道訪問でした。道北の豊かな自然と地域の方々との温かい交流を通じて、少子高齢化に直面する天塩町が本高大連携事業に寄せる大きな期待を肌で感じた4日間となりました。

稚内から見た景色
学生リーダーとして過ごした天塩での4日間
工学部3年 中谷健太
今年度は、これまで8年間にわたり活動を支えてくださった筑波大学大学院の先輩方からバトンを受け取り、麗澤大学の学生が主体となって運営する最初の年となりました。
私は10名のTAをまとめる学生リーダーとしてこの活動に携わりました。
初めての天塩
私が初めて天塩町を訪れたのは、今年2月の事前体験のときです。
真冬の天塩町で目にしたのは、これまで見たことのない海に沈む夕日でした。
そして、経験したことのない厳しい寒さでした。
その一方で、町の皆さんがとても温かく迎えてくださったことが強く印象に残っています。
「また天塩に来たい、この高大連携に関わりたい」と思うようになり、大澤先生に夏の高大連携活動への参加を強くお願いしました。
そして数か月後、今度は学生リーダーという立場で再び天塩を訪れることになりました。
参加する側から運営する側へ
初めて学生リーダーを務めたことで、これまでとは違った視点から高大連携に関わることになりました。
この活動には、高校生や高校の先生方、天塩町の方々、大学生や大学教員など、立場や環境の異なる多くの人が関わっています。
その全員が立場を越えて、「人づくり」と「まちづくり」という同じ目標に真摯に向き合っていることを知りました。
大学生の視点だけで考えるのではなく、それぞれの立場からこの活動がどう見えているのかを想像しながら、多くの人と一緒につくり上げていく。
その難しさと大切さを実感した4日間でした。
何年経っても、また天塩へ
以前、天塩高大連携にTAとして参加し、現在は社会人として活躍されている筑波大学卒業生の先輩方3名が、東京から天塩まで再び足を運び、シンポジウムに参加してくださいました。
この活動を通して築かれてきた信頼関係の深さに、強く感動しました。
また、シンポジウム会場から見える天塩川の川べりのブランコは、欧陽先生が学生時代にTAとして指導された高校生たちの提案から生まれたものだと知りました。
これまでの長年の活動が、実際に地域に形として残っていることを実感しました。
さらに、羽幌町の視察では、離島・天売島にある天売高校が、私の母校である松戸南高校と同じく、3年間または4年間での卒業を選べる「三修制・四修制」の定時制高校であることを知りました。
驚くと同時に、強い興味を持ちました。
帰りの飛行機から道北の壮大な景色を眺めながら、これからも天塩とその周辺地域に継続的に関わり、貢献していきたいと強く思いました。











