経済社会総合研究センター 研究活動

2008年度 地方財政分析指標の研究

プロジェクト内容

今日、地方財政制度は財政構造改革の中で極めて重要な位置を占めているにもかかわらず、補助金、地方交付税、税源委譲の三位一体の改革をめぐる論議は迷走し、新たな地方財政の姿を描き出せずにいる。その間、地方財政悪化には歯止めがかからず、地方債の残高は普通会計ベースで200兆円に上り、財政規律の回復が喫緊の課題となっている。本研究の狙いは、従来、定量的な分析が遅れていた地方自治体の財政状況を、ミクロレベルで検証することにある。個別自治体の財政格差の実態を明らかにするとともに、地方債・地方交付税制度など地方財政の構造改革のあり方を検討することを視野に置いている。自治体は破綻しないという認識の下、安易な地方債発行に依存してきた財政体質に規律付けを与える上で、自治体の財政比較は欠かせない。具体的には、①地方自治体の個別データに基づく研究(前財政構造改革プロジェクト研究成果に基づく)、②自治体の合併、広域自治体の形成と財政力、債務能力の関係についての分析、③地方財政マップの試作及び改良、④財政力比較のための定量評価手法・システムの開発、⑤連結ベースの財政分析を視野に、公営企業会計、出資団体等の財政データの収集・整理、を実施している。個別自治体の財政分析の結果を踏まえ、地方財政についての開示・公会計制度のあり方についても考察する。

プロジェクトメンバー

◎佐久間 裕秋   経済学部・教授