経済社会総合研究センター 研究活動

2010年度 国内金融派生商品市場における流動性リスクに関する研究

プロジェクト内容

金融派生商品(デリバティブズ)は、機動的なヘッジを可能にするツールとして重要な役割を果たしてきた。我が国においても、債券先物や株価指数先物、そしてそのオプションなど、多くの金融派生商品が上場され取引機会は広がっている。
しかしながら、債券先物と日経平均株価指数の直近限月を除いて、その取引参加者は少なく、期待される市場の価格形成機能が果たされているとは言い難い。例えば、TOPIXは多くの市場関係者が注視する指標ではあるが、その先物への関心は高くない。また、より個別性の高い市場についても、2001年に不動産投資信託(J-REIT: Real Estate Investment Trust)市場が東京証券取引所に開設され、2008年6月16日からこれを原資産とする先物とオプションの取引が開始されたが、最近では取引が成立しない日も珍しくない。
流動性が低い市場では実際の買値と売値の差が広がることが経験的に知られており、それが実需を持たない多様な投資家に敬遠される要因となっていることが多い。しかし、取引参加者が限定されることによって、適正価格より離れた価格でしか売買できないとすれば、実需を持つ投資家にとっても金融派生商品が持つ本来のヘッジ機能を発揮することができない。
本研究では、国内の金融派生商品市場を対象として、こうした流動性の低い金融派生商品の市場価格と理論価格との乖離(スプレッド)、ならびにそのスプレッドの幅を規定する要因について検討することを目的としている。

プロジェクトメンバー

◎佐久間 裕秋  経済学部・教授
 小野 宏哉   経済学部・教授 
 高辻 秀興   経済学部・教授 
 籠 義樹    経済学部・准教授
 上村 昌司   経済学部・准教授 
 [協]宗國 修治 みずほ第一FT金融工学第一部・部長