経済社会総合研究センター 研究活動

2010年度 メコン流域開発と日本からの経済協力

プロジェクト内容

中国のチベット高原を源流にミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、そしてベトナムを流れる全長4,800キロメコン川の本流と支流が跨がる流域は約195万平方キロの面積を有しており、当該流域に関する開発は注目が集まっている。09年11月初旬に、日本政府が主催したメコン5カ国との第1回首脳会議では日本政府は今後3年間で計5,000億円の政府開発援助を供与し、当該流域において重点的に社会経済インフラ整備を支援する方針を表明した。中国を除くメコン 流域5カ国のGDPは約3,900億ドルであり、人口規模は約2.2億人であることから、当該地域の一人当たりのGDPは1,750ドルとなっている。また、5カ国は経済発展レベルが異なっている。中でも、タイは最も発展が進んでいるのに対して、ミャンマーは最貧国の発展状態に留まっている。しがしながら、人口規模、各国が賦存している天然資源、低開発の状況、異なる経済発展レベル等の諸側面から吟味すれば、今後メコン流域の5カ国は高度成長を遂げていく潜在力が高いとよく指摘されている。とりわけ、東南アジア地域における経済統合、東アジア共同体の形成、さらに中国のさらなる経済発展といった国際経済環境の中で、日本政府がこれから当該地域で社会経済インフラ整備の支援が進められば、当該地域への投資環境が確実に改善され、よってこれらの国々は国際経済との統合がさらに深化し、それが当該地域の持続的な経済発展をもたらすことを期待されよう。そうした背景を鑑み、本プロジェクトはメコン領域に下における投資と貿易の実態を調査し、その成果を、東アジア地域における生産ネットワークとのリンケージを視点に、関係国の産業構造の転換と高度化に政策の方向性を明らかにすることを目的とする。

プロジェクトメンバー

◎ラウ・シン・イー 経済学部・教授
 Tan Kim Song   Singapore Management University・准教授
 Mohamad Arip Affendy University of Sarawak Malasia・講師