経済社会総合研究センター 研究活動

2010年度 住民主体の都市づくりの可能性に関する研究

プロジェクト内容

我が国の国民負担率は膨大な財政赤字を含めてもなお先進国の中では小さい。いわば小さな政府である。しかもその中で都市の住環境整備に充てられる予算は極めて限られている。この実態は、都市づくりは政府によるだけでなく住民もまた多くを負担しなければならないことを示唆している。一方、都市づくりにおける住民参加の役割はそうした政府機能の補完にあるのではなく、むしろ地域の実情に即した固有の社会資本整備を実現するためのものであるという議論がある。一般に都市計画の実現は開発・規制・誘導という制度的手段で実現されるが、それが規格化され過ぎると却って土地住民のニーズに合わない。より分権的に都市づくりを進める方が望まれるものが供給されることになるという趣旨である。
こうした背景のもとで「住民主体の都市計画」論が出てきているが、いまだその理論的な整理や実現のための制度のあり方については模索中である。本研究は、柏市都市マスタープランの実現過程をケーススタディの対象として、「住民主体の都市づくり」の可能性をボランタリー・ソリューション、政治過程、ソーシャルキャピタル、制度設計などの観点から探ることを目的とする。

プロジェクトメンバー

◎高辻 秀興 経済学部・教授