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【開催報告】第2回公開研究会 高 巖教授

平成25年12月14日、平成25年度第2回公開研究会が校舎あすなろにて開催されました。今回の研究会では、麗澤大学経済学部の高巖教授に、「企業を巡るグローバル・リスクと海外腐敗行為問題への対応」というテーマで講演して頂きました。
グローバル化が進む中、企業の活動は国内に留まらなくなってきました。ニュースや新聞に目を向ければ、私たちは「グローバル」、「国際」、「世界」という言葉をすぐに見つけることができます。しかし、企業の活動がグローバル化する一方で、企業倫理についての視点は国内に留まったままなのではないか。今回の講演で、高教授はこの疑問に対する答えを私たちに示してくれました。
今や、グローバル展開する企業は、「反競争的行為」および「海外腐敗行為」への対応を抜きにして事業活動をできない状況と言えます。反競争的行為や海外腐敗行為への国際社会の対応は大きく変化してきました。例えば、「域外適用が進展してきたこと」、「莫大なサンクションが課されるようになったこと」、「不正行為が簡単に摘発できるようになったこと」です。つまり、このような変化は、企業のグローバル・リスクが急激に拡大していることを意味しています。事実、日本企業も含め、様々な企業は、反競争的行為や海外腐敗行為の摘発を受け、莫大な罰金や制裁金を課されてきました。
高教授は、このような動きの中、日本企業の海外腐敗行為への対応が遅れていることを指摘しました。なぜなら、日本企業は、海外腐敗行為に対応するための体制が整っていなく、現場任せの活動を行っているからです。そのため、企業は、進出する国のリスクを見極め、組織として適切に対応することが求められています。特に、「不正な意図」がないことを立証する記録や証拠を残していくことが重要なのです。
高教授の講演は、今まさに企業が直面しているグローバル・リスクに関するものであり、講演後には、様々な分野の方から質問が投げかけられました。
最後に、高教授は、グローバル・リスクの潮流を捉え、企業を変えていくのは経営者であることを強調しました。目まぐるしく変化する国際社会の中で、経営者たちが、如何に舵を取っていくのかが注目されているのです。

(大学院生・記)

講師の髙 巖教授
講師の髙 巖教授
講演の様子
講演の様子